第3話 村で何してますか?筋トレです。
彼は心の中で自分に誓った。筋肉がこの世界での生き抜くための鍵であるならば、彼は最大限に自分の肉体を鍛え最大限の筋肉の力を引き出し、困難を乗り越えていく覚悟を決めた。
異世界の住人の青年は、悠斗の反応に興味深そうな表情を浮かべた。悠斗は異世界の住人の視線を感じながら、青年へ気になっていたことを聞いてみた。
「この世界に来た人間は『転移者』と呼ばれ、さまざまな能力を持つんだよな?例えば、筋トレをすることで筋力のレベルが上がって、それに応じたスキルや魔法を使うことができるようになるってことなのか?」
「その通りだ。」
青年は頷きながら、悠斗の質問に答えた。
「なるほど……。それで魔物や悪魔たちと対抗するのか。ところで、俺の名前は悠斗っていうんだけど、君は?」
悠斗青年に自己紹介をした。
僕の名前はレオナス・アブスリンガー。レオって呼んでくれていいよ。自己紹介を忘れてしまい申し訳ない。」
レオは思い出したように申し訳なさそうに自己紹介をした。
「よろしく、レオ。」
悠斗はレオに手を差し出して握手を求めた。
「こちらこそ、よろしく。悠斗。」
2人はお互いに微笑みながら挨拶を交わし、そして、これからのことについて話し合った。この世界の状況と筋トレをすることで身に付くスキル、魔法について情報についてだ。
悠斗がレオから教えてもらったのは以下のことであった。
①この世界にはレベルという概念がある。
筋トレをすることで様々なスキルや魔法が身に付くということらしい。
ただし、人それぞれ、上半身や下半身の特徴によって成長は変わる。
例えば、下半身の強化が得意な人は、足から繰り出す技や魔法を覚え、上半身の強化が得意な人は、両手などから繰り出す技や魔法を覚えるらしい。
②モンスターや魔物を倒すことで生計を立てられる。
モンスターは基本的に倒すと魔石を落とすので、それを冒険者ギルドで換金して生計を立てることができる。
また、モンスターから取れる素材を売ってお金を稼げる場合もある。
③スキルや魔法は火、水、風、光、闇の5属性があり、それぞれ初級~上級までのランクがある。各属性に適正があり適性が高いほど威力も上昇する。
そして最後にレオは、この世界の常識として以下のことも教えてくれた。
1.筋トレのギルドへの登録はだれでも登録できる。0歳の赤ちゃんでも登録できる。
2.筋トレのランクはE、D、C、B、Aと上がっていく。
3.Eランクで駆け出し筋トレ馬鹿であり、Dランクで初心者筋トレ馬鹿として認められる。
Cランク以上では。”そこそこ”の筋トレ馬鹿として扱われるようになり
Bランクでは、”一人前の”筋トレ馬鹿に、Aランクでは”人にアドバイスできる”筋トレ馬鹿になるとのことだ。
3モンスター討伐の依頼を達成することで報酬を得ることができる。
他にも細かいルールがあるが、説明はこのくらいであった。
そして、レオは、悠斗に提案をしてみた。
「もしよろしければ、僕の村に案内してあげようか?」
そのレオの言葉に、悠斗は驚きを隠せなかった。
「村がある...だと?!」
しかし、悠斗は追いていくのは危険かと思ったが、こんな雪原であてもなく歩き続けることの方が問題だと考えた。
そして、レオが暮らす村への案内が、悠斗とこの異世界で暮らす住人たちの交流をさらに深めるチャンスかもしれないとも感じた。悠斗は頷いて微笑みながら、レオの提案を受け入れた。
「それはありがたい!ぜひ村を案内してくれるなら、喜んでお願いしたい!」
悠斗は、レオに、そう答えた。
村へ向いながら悠斗は、レオの言葉からこの異世界の特殊な状況についてもっと詳しく知ることができた。
「こちらの世界では、筋肉の力こそが全てだ。この厳しい環境で生き抜くためには、強靭な肉体が不可欠。魔物や悪魔との戦い、過酷な環境、それらに打ち勝つためには、筋肉こそが最も重要な武器なんだよ。」
レオが真剣な表情で語りだしたその言葉に、悠斗はこの世界の現実を改めて感じた。
◇◇◇
村に到着した時、村に広がる筋肉を鍛えるための施設や訓練場に驚いた。その村に住む異世界の住人たちは、日々の生活の中で筋肉を鍛えることを大切にしている様子が伺え、この異世界の過酷な状況に対する備えの一環が感じられた。
「こちらが訓練場だよ。ここでは様々なトレーニングを行い、筋肉を鍛え上げている。」
レオの案内で、悠斗は広大な広場の中に訓練場が広がっている様子を見ることができた。積雪を防ぐ屋根付きの体育館のような訓練場の中では、個々のトレーニングエリアが設けられ、さまざまな種類のトレーニングが行われていた。
訓練場にいる住人たちは日々、自らの肉体を鍛えることで生き抜く力を高めているようだ。
レオは目の前を指差し、
「例えばあのエリアでは、腕力を鍛えるトレーニングが行われているんだ。大きな石を持ち上げたり、木の幹を振り回したりすることで、腕の筋肉を鍛えているんだよ。」
そこには、大きな石や木の幹が置かれており、住人たちが汗を流しながらそれらを駆使してトレーニングを行っていた。
さらに奥のエリアでは、高い壁や障害物があり、腕力とジャンプ力を駆使して壁を乗り越えるトレーニングが行われていた。
「あっちの池では、水中での筋力トレーニングが行われている。水の抵抗を利用して筋肉を鍛えることで、全身の力を高めているんだ。」
レオの案内で、悠斗は池の中で住人たちが水中で激しく動きながらトレーニングを行っている姿を見ることができた。水の中でのトレーニングは、通常の重力下では得られない効果的な筋肉の刺激を与えるとレオから説明を受けた。
悠斗はその光景を見つめながら、これから自分が鍛え上げる筋肉がこの過酷な環境での生存に活かされることに希望と興奮を感じていた。彼は異世界での新たなる冒険に向け、筋肉の力を駆使して生き抜く覚悟を新たにしたのだった。
そして、悠斗は緊張と興奮が入り混じった気持ちを抱えつつ、隣にいるレオに向かって声をかけた。
「レオ...お願いがある。俺は違う世界から来た者だが、この村の施設や設備で筋トレをさせてもらって私の筋肉を鍛えることはできないだろうか?」
レオは、悠斗の言葉に知ってたよっという表情でニンマリと笑顔で笑った。
「アハハハハ!いいよ、いいよ、大丈夫!でも、この村の村長から了解をもらわないといけないから村長に今すぐに会いに行こう。村長は”筋骨の戦神(きんこつのせんじん)”と呼ばれ、村一番の筋肉の持ち主だ。」
「え、えっと、本当に?!」
悠斗は目を見開いて驚きの声を上げた。
◇◇◇
レオに村長の自宅を案内された。
村長の自宅は、立派な大木の造りで、鍛錬された鉄で装飾されていた。
「村長に悠斗のことを話ししてくるからちょっと外で待っててくれ」
レオは悠斗に、そう告げて村長の自宅の玄関を開けて室内へ入っていった。
5分ほどしてレオが村長の自宅の玄関から外へ出てきた。
「OK、OK!!村長がぜひ、悠斗に会ってみたいってさ!」
そして、悠斗は村長の自宅の玄関から奥の居間へ通され、村長と会うことができた。
居間には豪華な飾りつけはなく、シンプルで実用的な部屋が広がっていた。
村長自身は居間の椅子に座り、悠斗を迎え入れると同時に、温かな笑顔を浮かべ
「君が新しくやってきた人間だろう?」
村長は深い声で尋ね、村長は大きな体で両腕を広げて悠斗を歓迎してくれた。
初めて会う村の村長である"筋骨の戦神"の姿は、まさに力強さと風格を兼ね備えていた。彼の体躯は鍛え抜かれた筋肉に包まれており、その存在はただただ圧倒的だった。
身長は高く、180センチ以上に及ぶ立派な背丈を持っていた。幅広い肩から広がる胸板は、まるで岩のような頑強さを感じさせた。
彼の腕は太く、筋肉がびっしりと盛り上がり、特に腕部の筋肉は恐ろしいくらい鍛え上げられており、その力強さは一目で分かるほどだった。
村長の顔は鋭い輪郭を持ち、鼻筋が通っていて両目は隻眼であり、この世界で生き残っていく厳しさの覚悟と知恵を宿している力強さと知性が融合した雰囲気が漂っていた。
悠斗は自己紹介を兼ね、この村で筋トレをしたいことを村長にお願いしてみた。
「はい、村長。私は違う世界から来た者で、こちらの世界で自分の筋肉を鍛えることに力を入れたいと思います。ですので、この村で鍛えさせてくださらないでしょうか?
村長は少し黙って悠斗を見つめ、その後に満足そうに頷き
「いい心意気だ。筋力と勇気を重んじるこの村にふさわしい考え方だな。君の言葉に耳を傾けよう。」
村長の言葉に背中を押された悠斗は、この日から、筋トレと冒険への情熱を胸に秘めて、村の訓練場で日々鍛錬に励みだした。彼は住人たちと共にトレーニングを行い、その知識や経験を分かち合いながら、お互いの力を高めていくことになるのだった。
第4章: 「筋トレの始まり」へ続く
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