解釈

カメレオン

　カメレオンといえば、擬態するために場所によって色を変えるイメージがあるが、それを得意とするのはカレハカメレオンのような、数種類のようである。人々がイメージするエボシカメレオンといった種類は、むしろ気分や体調によって体色変化を起こす。怒っていれば黒い模様が出て、暑ければ白くなり、寒ければ黒く、威嚇する時は派手になる。ちなみにメスがオスを拒絶する時も派手になるらしい。

　随分素直で、可愛らしい生き物だと思った。人間が、カメレオンのような体色変化を起こしていたらどうなっていただろう。

　妻とイオンを散歩すれば、周りの男はきっと嫉妬しているだろうからみんな派手になるだろう。そんな自分はリラックスしているから白くなる。

　それで横を向いたら妻に黒い模様が出ていたらどうしよう。慌てて私は緊張して真っ黒になるかもしれない。

　会社で働いている時、ちょっと暑いな、冷房入れようかな、と思って全体を見たら白い人や黒い人もいて、暑かったり、寒かったり、色々なんだなと思うんだろう。それでも、「冷房つけますか？」って聞いたら、みんなキョロキョロして全員手を挙げるんだろうな。

「あ、いや、自分は今ちょっと緊張で黒くなっているだけで、決して寒いからじゃないので大丈夫です！」とか若手が言って。

　そう考えると、気分や体調が色で見えないのは、すごくいいことかも知れない。見えないから、相手の気持ちを推し量って、思い遣るのも大変だけれど、見えないから嬉しかったり驚いたりする。

　心って、ハートを赤く塗りがちだけれど、それって血液の色じゃないか。これから私は、ハートは色々な色で塗って派手にしてやろう。

　見えないから、せっかくだから威嚇してやる。