小川

 好きな温泉の外に、人工の滝とそこから流れる小川がある。私はその温泉のベンチに座る。

 水や火といった絶えず流動的なものは、かつて西洋ではこの世の真理とも思われることがあったほどに人々を魅了してきた訳だが、納得である。

 目から耳から、その「静けさ」を与えてくる。この永続的な矛盾は、美しい。

 永続的な矛盾という点では、人の心も同じだろう。あれやこれやと、永続的に人は悩む。

 小川もその行先を不安に感じたり、分岐点があれば左に行くか悩んだりしているのだろうか。

 ああ、また私は悩んでしまった。

 目を開け、耳を澄ますとしよう。

 小川は、唯流れるのみである。

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