将来の夢ランキングのTOP10に、必ず「YouTuber」がランクインする時代になった。もう何年も前からだ。大人は「YouTuber」が将来の夢という子どもたちに危惧しているが、それは何故なのだろうか?

 問題は、「夢」という日本語にある。「夢」と「安定」は、本来合致している必要はない。幼児が夢に、アンパンマンを掲げても、愛らしく思うだろう。しかし、学校において小学生が夢を描く時間には、「職業」の規制が言葉にせずとも生じている。むしろ、子どもたち自身が自らの内に、職業を書くという規制をもっているように感じる。

 その原因に「安定」が表れる。「将来の夢」→「将来の自分の姿」→「継続的な安定性」→「職業の選択」という段階的なすり替えが生じているのだろう。どの段階で過ちが起きているのかといえば、「継続的な安定性」である。これは完全に、社会からの押し付けでしかない。

 YouTuberが否定的に受け止められるのは、YouTuberになること自体は、誰しも容易になれる、つまり、容易に叶えることができる夢であり、YouTuberになることがイコールで安定に結びついていないからだ。

 例えばYouTuberが、YouTube側が契約している動画投稿会社のクリエイターのみが配信できる仕組みになっており、YouTuberを夢みる人はまずその会社に内定をもらわなければならないとなれば、否定的な感性はどこか減るように思う。

 夢をもたない大人たちは、幼心の夢を叶えたから夢がないのだろうか?否,全員がそうではないはずである。家族ができ、就職ができ,安定を手に入れ,且つ安定の継続が求められるから,夢を放棄したのであろう。

 そして何より大切なのは,そんな夢を叶えた訳ではない日常を、「幸福」と感じているからだ。夢の出番は終わったのである。

 夢とは、そういうものではないだろうか?

「夢」とはもっと、無防備で、大胆不適で、不安定なものでいいのではないだろうか?

 そう思い、二十五歳になった今、将来の夢は「小説家」であると掲げよう。安定を手に入れ、幸福を感じてる中で求める「夢」は、自分にどんな物を齎すのか。楽しみである。

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