食洗機

 「大人はお金で時間を買うようになるんだよ。」ある日の誰の言葉かは分からない。いやむしろ、誰の言葉でもなくて、一つの通念として社会に広がっているものだろうか?少なくとも、私はこの言葉を学生時代、何度も耳にしてその全ての機会において理解することができないでいた。

 がしかし、社会人になり、食洗機を購入した。様々な理由があるが、主たるものは「時短」である。まさに、お金で時間を買ったのだった。

 感無量。タンク式なので水は手動で入れなければならないが、あとはボタン一つで洗い物が終わる。手洗いのときには十五分ほどかかる洗い物が、ものの三分で終わるようになった。

 そして私は、時短によって得られた十二分間を、ツイッターのTLを見て過ごした。

 さて、食洗機を手に入れたことで、一ヶ月に十二分✖️三十日=三六〇分=六時間の時間を手に入れた。その時間について考えるとき、我々はすでに不適切な思考を始めている。「食洗機」に何かを感じたのであれば、ぜひ「モモ」を読んでいただきたい。

 大人は、お金で時間を買い、買った時間で何を得るのだろうか?

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