結露

 珈琲店で出てきたアイスコーヒーの結露は、本を読んでいた二時間弱のうちに、サウナにでも入ったかのようにグラスの側面を流れていた。そして、結露まみれのカップを持ち上げると、下のコースターから「おかわり半額」の文字が見えた。突然、自分の時間の中に「商売」が侵入してきた嫌悪が生まれた。と同時に,そもそもこの空間こそが商売であることを自覚して、とっととお暇したくなってしまった。

 商売のコツは、いかに商売としないかであろう。

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