第4話 口ぐせ
放送室に呼び出された。
「金、出せ」
私は勇気を出して言った。
「嫌です」
どうしてもお金だけは渡したくなかった。
「お前に断る権利はない」
そう言って、Kは休む間もなく私を殴り続けた。私は心が折れた。だから、
「はい、出します。ごめんなさい。」
と言った。Kは溜息をついて言った。
「とっとと出せ」
私はKに茶封筒に入れた10万を渡した。Kは中身を確認し、その場を立ち去っていった。私はその場にうずくまり、溜息をついた。
ガチャ―
放送室のドアが開いた事に私は気づいたが、振り返る気力もなかった。背後から聞き慣れた声がした。
「何か、あったのか」
私は答えることも、目を合わせることもなく「大丈夫です」と言って、部屋を出た。
とっさに出たその言葉は私の口癖だった。「大丈夫」という言葉…。
正直に弱音を吐けない自分がすごく嫌いだ。
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