第2話 寝取られ返す
情報を聞いていく内に心が壊れ、なにもかも終わりだと思ったけれど、瑠海さんが優しい言葉を掛けてくれた。
「瑠海さん、ありがとうございます」
「いいの、隼くん。あなたの気持ち、すごくよく分かるから」
「……え」
「私もね、大切だった旦那を奪われたから」
そうだったんだ。
瑠海さんにもそんな辛い過去があったんだ。
しかも、親友だった人に奪われてしまったらしい。
「俺……朱音のことを本当の妹と思っていたし、でも、好きだから恋人とも思っていた。向こうも、あどけない笑顔で接してくれました。けれど、アレはすべてウソだったんだ。朱音は、俺のことなんてどうでもよかったんだ」
確かに俺は、他の男と比べると容姿だとか勉強だとか大きく劣る。けど、高校生になってからは努力して、せめて朱音だけは幸せになって欲しいと思い、学費を稼ぐためにバイトまでしていた。
でも、そんな俺の稼いだ金さえも、朱音は千城先輩に
怒りが込み上げた。
殴ってやりたいとさえ思った。
俺を利用するだけ利用して……他人の男に金を渡していたんだ。なんて裏切りだよ。
「千城はお調子者だから。前の旦那に似て、顔も良くて身長もあるから……モテるのよ」
「でしょうね。よく女子と歩いているところを見かけました」
「ごめんなさい……」
「瑠海さんが謝る必要はありませんよ。それより、そろそろ千城先輩が帰ってくる頃ではありませんか?」
「そうね。大体この時間ね」
先輩が部活をしていないことは知っていた。となると朱音とデートでもして、18~19時には帰ってくると推測できる。今、丁度その時間に差し掛かっていた。
すると、玄関から“ガチャッ”と音がした。
帰ってきたらしい。
俺は、瑠海さんをクローゼットへ押し込めた。自分の姿を隠しつつも、素早く隠れて様子を伺う。
『ただいま母さん。……あれ、いないのかな』
千城先輩は、母親を探しているようだった。
でも、見つからずソファに腰掛けていた。
俺は小声で瑠海さんにささやいた。
(……瑠海さん。千城先輩が俺の妹を寝取ったように、俺も瑠海さんを寝取らせてください。それが大人の責任の取り方でしょう?)
(しゅ、隼くん……。でも、私は30のオバさんよ? いいの……?)
(全然オバさんじゃないですよ。瑠海さんは芸能人にいてもおかしくないレベルですよ)
(嬉しい。こんな私でも良ければ隼くんの好きにしていいわ)
同意を得て、俺は緊張しながらも瑠海さんの服を脱がしていく。手が震えるせいか、上手くいかない。
瑠海さんが察してくれて、自分で服を脱いでいく。……おぉ、凄い。
朱音よりも大人の魅力があって、俺は一瞬で下半身が爆発しそうになった。
すごい……すごすぎる
俺はこれから、千城先輩がくつろいでいる目の前で……朱音にしたようなことをし返してやるんだ。
いや、
俺は瑠海さんを愛してしまった。
純愛だ。
だから、このクローゼットの中でゆっくりと瑠海さんを愛する――。
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