第46話 約束
目の前に大きな城が聳え立っている。
隣にはロンバルドさんの家らしき一軒家もある。
こんなただっ広い場所でなんでこんなにぴったりくっつけて城を建てたのか謎に苦しむ。
まわりにはめちゃくちゃ土地があるっていうのに…
「ここが魔王の城か…」
「ごめん、アイザック、おれここ知ってた。ごめん…」
キルトが突然ポロポロと泣き始めた。
「なんだよ?なんで泣くんだよ?」
「だって、『魔王を倒しに行こう』ってなった時、すぐにここにお前を連れて来ることができたのに…」
「バカだな、お前。いいんだよ、そんなこと。オレが魔王の城は世界の果てにあるってずっと言ってたんだから。こんなとこにあるって思ってなかったから。」
「アイザック…いいやつだな。」
「それより、キルトはいいのか?『魔王を倒す』ってことは、魔族に反旗をひるがえすことになるけど?」
「魔王に反旗をひるがえしたいと思っている者たちの方が、魔物には向いています」
「あなたのような魔王を待っている魔物がたくさんいます。」
…誰が言ってたんだっけ?
「それは、いい。おれは人間が好きだし、何よりお前が好きだから。」
「オレもお前が好きだよ。全部済んだら、一緒に温泉に行こうぜ!それで、一緒に温泉卵食べよう。まだ食べたことないだろ?」
キルトが少し笑った。
「本当に、魔王を倒したら、魔物と人間は仲良くなれると思う?」
「うん。魔王の力が封じられたナギの村では、魔物が人間と仲良く暮らしていた。魔王さえいなくなれば、みんな仲良くなれるんだ。」
「そっか。あのさ…」
「何?」
「もしさ、もし魔王を倒しても何も変わらなかったら、一つだけお願いを聞いてくれないか?」
「いいよ。」
「約束。」
「うん、約束。」
「じゃあ、行こうか。」
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