魔法少女暴走
♂の下半身にあるうまい棒を咥える女の子。
黒を基調とした衣装に身を包み、こちらを見てニコニコと不気味な笑みを浮かべている。
デジャブである。
「えっ……何してんの…………」
「んふふ〜♡食べてるの♡」
そういう事じゃない。
何でそれをしているのかを聞いているのだ。
美香は学年の中でも上から数えた方が早いほど成績が良い筈だが…R18の事になると知能指数が下がるんだろうか……
「何で……?」
寝起きで寝ぼけているのかもしれない。
昨日の事がトラウマ過ぎて夢を見ている可能性だって捨てきれない。
取り敢えずもう一回夢の世界に…とはならない。だって、それを目の前の魔法少女が許してくれないから。
「食べたいから…?」
咥えながら器用に喋る美香。
時計を見るとまだ五時…せっかくの日曜日の朝なんだから寝かしてほしいのだが…
「美香……一旦離れて…はぁ……」
「りょーくんが言うなら…んぇぁっ…」
朝から憂鬱な気分だ…
俺に見せつけるように糸を引いて俺のアレから口を離した。
はいこれ、と俺のベットの横に置いてるティッシュを何枚か取って美香に渡す。
「あ、大丈夫だよ」
「は?」
何が大丈夫なんだろうか。
俺が大丈夫じゃないから渡しているのだが…
と思っていたら美香が手を上にかざした。
「見ててね、りょーくん。」
すると、周りに真っ黒な粒子が現れ美香に向けてゆっくりと収束していく。美香が粒子に完全に包まれて俺の目の前に真っ黒な半球型のドームが出来上がった。
直後にそのドームが弾け真っ黒な粒子が部屋中に散らばった。
「ほら!どう?りょーくん!」
「ん?」
どうと言われても何をしたのか分からなかった。
見た感じ美香は先程と何も変わってないし…
だが美香はどう?と目を輝かせて俺の反応を待っている。
見る場所が違うのか…?
俺は美香の頭から足先まで、流れる様にゆっくりと見てゆく。
「そんなに見つめられると恥ずかしいよ…」///
照れたように俺を見つめる美香。
俺が寝ている時、ベットに不法侵入して咥えてるような奴が恥じらいを語るな。
再度じっくり上から下まで流れる様に見ても、何が変わったのか分からないので正直に聞いてみることにした。
「え、さっきと何が変わった?」
「ホントに分かんない〜?りょ〜く〜ん?」
ニヤニヤしながら俺に近付いて俺の胸に頭をゴシゴシと擦りつけてる。
美香の耳についている
取り敢えず美香を引き離……せなかった。昨日もそうだったが、どれだけ俺が力を入れても美香は微動だにしない。
本当はまだ寝たいのだが仕方が無い。
俺は身体を後ろに倒して美香から離れる。
「わ〜えへへ〜」
俺という壁を失った美香は、勢いそのままにベットにダイブした。
「ちょっ…美香!」
「ふぇ…?」
耳飾りが俺のベットに突き刺さっていた。
美香をすぐに起き上がらせて、ベットを確認する。
耳飾りはベットシーツを貫通し、コイルマットレスに傷を付けていた。
「えぇ…母さんになんて言おう………」
美香が魔法少女になって…なんて言っても母さんは信じてくれないだろう。
別に使えない訳では無いので、このまま完全に壊れるまで使い続ける…という選択肢があるが……
俺が頭に手を置いて考えていると、美香がベットの前に立った。
「ねぇねぇりょーくん、ちょっと見てて!」
美香はベットの穴が空いた部分に手をかざすと、その周りに真っ黒な粒子がポツポツと現れ始めた。
先程と同様に周りの粒子が収束し、穴が空いた部分を隠すように小さな半球型のドームが現れた。
また先程と同様にドームが弾けて、真っ黒な粒子が一面に広がった。
「どう!?凄いでしょ!」
驚いた。その一言に尽きる。
先程まで切り裂かれたようにベットに空いていた穴が完全に塞がっていた。塞がっていたというよりも穴が空く前に戻ったようだった。
穴があった場所を触ってみても何も無い。縫合した跡も重ねた跡も無い。
「え、これ何したの?」
「えへへ〜気になる〜?」
「うん」
「じゃあ、頭撫でて」
「はいはい…」
美香が頭を突き出してきたので、言われたとおり頭を撫でる。
美香によく頭を撫でさせられるので美香の髪質は良く知っている。
別に髪に関する知識がある訳ではない…が、俺の勘違いでなければ、魔法少女状態の美香の髪質は明らかに上がっている。物凄くサラサラでずっと触っていたくなる。
「りょーくん?今日はいつもより長く撫でてくれるね。私は嬉しいけど…どうかした?」
「あぁ…いや……すまん」
「むー…もっと撫でてくれてもいいのに……言わなきゃ良かった……」
美香が残念そうに顔を膨らませる。
何も言われなければ、俺もずっと触っていたかもしれない。それくらい触れていて心地良い肌触りだった。
色々と聞きたいことはある。
なんで魔法少女に変身してんの?
どうやって家の鍵突破した?
なんかいつもより髪サラサラじゃね?
心なしか胸もデカくないか?
などなど、他にも沢山…だが、今聞くべき事はベットに何をしたのか…だ。
「それで美香、ベットに何をしたんだ?」
「んー?あ〜それね。簡単だよ。そのベットの時間を巻き戻したの。」
「は?」
時間を巻き戻した?
確かにベットの穴は、開けられる前のように綺麗に塞がっていた。
でもそんな事……いや、ペルペルが魔力の使い道は無限とか言ってたな。
もし本当に時を戻せたりするなら、壊れた物を直したりする事ができるんだよな…
この前、美香が壊したゲームのコントローラーも直ったりするのか?
「それは凄いな!それじゃあこの、この前美香が壊したコントローラーも……」
「あ、ごめん。それは無理」
即答である
いつもの美香ならば、一応やってみる?という流れになって取り敢えず魔法発動…みたいな感じになると思っていたのだが……
こうも即答するとなると、美香自身に何か確信のようなものがあるのだろう。
でも一応聞いてみる。
先程のベットを見せられては、直らなくても良いから一回チャレンジして欲しいという、気持ちの方が強い。
「なんで?」
「なんかね…この魔法、私が使うと三十分くらい前まで戻すのが限界みたいなの……」
美香がこう話すという事は何回か試したのだろう。でなければ美香はこんなにも確信を持って話す事はしない。
このコントローラーが壊れたのは一週間前。
自称ではあるが、三十分前までしか時を戻せないのならば、直す…いや、戻す事は不可能だ。
三十分時を戻せるだけでも充分凄いのだが…
ん?あれ…待てよ?
「え、じゃあさっき自分にやったのって…」
「そう!自分の口の中を綺麗にしたの!まぁ、まだ少しベタベタするんだけど……」
どんだけ前から咥えてんだこいつは。
というか少しベタベタするということは、それ以上前からやってたって事だよな?
前の時も起きた時には咥えているから、美香のテクが上手いかどうかは知らないが、俺が発射したかどうかといつから咥えてたかを取り敢えず確認しておこう。
「あのさ美香」
「ん?なーに?りょーくん」
「お前いつから咥えてたの?」
「えーっとね〜……家を出たのが三時くらいでしょ?そこからりょーくんの部屋探索して…」
部屋の主が寝てる間にこいつは部屋を探索していたらしい。
この真っ黒い衣装は隠密効果みたいなのがあるんだろうか?
いつも美香から密着してくるけど、もしかしてその気になったらバレないで、俺の部屋のモノ盗ってくとかできるんじゃないか?
これ気になり出したらきりがないな。後で色々と検証して見よう。
「つまり?」
「まぁ…ニ時間くらいかな?」
そうか…道理でベットシーツが一部分だけ濡れてる訳だよ。
「ちなみにさ」
「うん。」
「美香が咥えてるときに俺発射した?」
「うん。」
「何回?」
「二回」
「どんな味だった?」
「りょーくん味」
「そうか」
「うん。」
「………………」
「………………」
何だこの会話は。
俺も何を聞いているんだって話だし、りょーくん味って何なんだ。
美香にはそういうの判別できるんだろうか?
いや、自分が出した子供の素の詳細な味なんて知りたくない。考えるのはやめよう。
この意味の無い会話のせいで、部屋の中に沈黙が走ってしまっている。
こういう時、大抵美香が何か言い始めるのだが、今日は違う。ずっと俺の顔を見てる。じっと見てる。見つめてる。
やっぱ美香って可愛いよな。
顔は整ってるし、ボンキュッボンを体現したような身体付きしてるもんな。
性格はちょっと危ないけどな。
「ん?」
部屋の窓がコンコンとなっている。
よく見ると、外側に何か白くて(以下略)がこちらを見て窓を叩いている。
取り敢えず窓を開けてやった。
心なしか疲れているように見える。あのあと何があったんだろうか…
「ペルペル大丈夫か?」
「ちっ………」
今、美香が舌打ちしたかもしれない。いや、したなこれ、ペルペル見て不機嫌そうな顔してる。
「そういえば、何で美香と一緒に来なかったんだ?てっきり補助妖精って常に付いてるもんだと…」
するとペルペルは、自称魔法少女の補助にあるまじき衝撃発言をした。
「今まで美香さんの部屋に、ロープで巻かれ吊るされておりました……」
「え?」
「違うの!聞いてりょーくん!」
ここからよく分からない美香の長い長い言い訳が始まった。
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