いけいけ勇者様21

最上司叉

第1話

そして結婚式当日。


俺たちは支度を整えると魔族の女の結婚式場に向かった。


魔王は相変わらず憂鬱そうな顔をしている。


途中の店で花束とお祝いの品を買う。


さすが上流階級が住む街だ。


俺たちとは毛色が違う人達ばかりだ。


住んでるのは魔族なんだが。


とそこへ教会みたいな建物が見えてきた。


「あそこか」


「そうみたいだね」


「立派なとこだ」


「うん」


俺たちは少し場違いな感じをしながら建物に歩いてく。


建物の近くまできたら執事がドアの前に立っているのが見えた。


「ようこそお越しくださいました」


「久しぶりね」


「これはこれは魔王様」


執事は魔王にそう言うと深々と礼をする。


「お招きいただき光栄です」


魔王も礼を返す。


「立ち話もなんですから中へどうぞ」


俺たちは建物の中に入った。


俺たちが中に入ると一斉に皆がふり返る。


「これは魔王様ではありませんか」


「魔王様ですって!」


「あらヤダ本物」


皆一斉に魔王のところへ来て魔王に話しかける。


魔王は適当にあしらいながら席へ着く。


「魔王様こちらの方々は?」


「そうですわ、紹介してくださいな」


魔王は少し困惑気味だ。


魔王は渋々俺たちを紹介した。


「?」


俺たちは不思議そうな顔をして魔族の人達に挨拶した。


魔族の人達はなにかヒソヒソと会話している。


俺たちは気にもとめずに席に座っていた。


これは後で聞いたことだが魔王は俺たちが悪く言われるのが嫌だったのだ。


「新郎新婦様の入場です」


時間がきたのか突然アナウンスがあった。


ドアが開き皆一斉に注目する。


魔族の女は気分が優れないような顔をしている。


俺はつわりが酷いのかと思っていた。


魔族の女は俺たちに気づき睨んできた。


魔王は少し悲しそうな顔をしている。


俺は訳が分からない。


なんでおめでたい日に新婦は不機嫌なのか。


それとは対象的に新郎はご機嫌だ。


そして結婚式は始まった。


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