間章 それぞれの決意

それぞれの決意

 夜明け前。フォースター大尉の“処遇”についての業務があらかた終わり、そろそろ仮眠を取ろうかとしていた時だった。

 息せき切った様子の副官からの報告を聞いて、ヴィンターフェルトはき、と目を細める。


「……遂に、か」


 報告の内容。それは、〈スタストール〉が一斉に進出を開始してきたというものだった。つまり、今度こそ再開される。〈スタストール〉の侵攻が。世界を絶望の淵へと叩き落とした、あの悪夢の再演が。

 深く息を吸って、吐く。冷徹と決意の声音で、フリーヴィスは副官へと告げる。


「司令官殿に連絡を。……今度こそ、こんな無意味な連鎖を終わらせる時が来た」




  †




 同時刻。こらちも同様の報告を副官から聞いていたフリーヴィスは、それを聞き終えてそろそろと席を立っていた。

 決意の灯った空色の瞳が、眼前の副官へと差し向けられる。


「遂に俺達も動く時が来た。……二人のことはお前に任せていいんだな?」

「勿論です」


 こくりと副官は頷く。こちらも決意の灯った、あおの瞳がフリーヴィスを見つめていた。


「なら、後は任せたぞ」


 そう、言い置いて。フリーヴィスは執務室を後にした。

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