第45話


 「ごめんね、無理言っちゃって」


 「いえいえ、そんなの気にしなくていいですよ!」



 なにがどうなってそうなっちゃったのかがよくわかってないが、こんなやつで良ければ使ってください。


 …というか、他にいい人はいなかったんだろうか?


 祐輔が、先輩に相応しい「彼氏役」になるとは思えませんが。



 「むしろ、こんなヤツで良かったんですか?」


 「こんなヤツ?」


 「ああいや、こんな“俺”で」



 うわッ


 めっちゃ言いにく!


 つい「私」って言っちゃいそうになるんだよね。


 私は別に構わないんだけど、祐輔のヤツがうるさくて



 「全然!むしろありがとうって感じ。おばあちゃん一目惚れでね?祐輔君のこと、カッコ良かったって」


 「カッコ良さなんて微塵もないと思いますが…」


 「そんなことないよ?」


 「えぇ!?」



 おばあちゃんには悪いけど、コイツがカッコいいなんてありえない。


 へんなことしか言わないんだよ?


 すぐグズるし。



 祐輔は小学生の時から野球をやってた。


 中学では、全国でもトップクラスのピッチャーだった。


 「俺はいつかメジャーに行く!」


 それが口癖だった。


 子供の頃から。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る