第42話
「あら、よぉ来たね!」
「お、お邪魔します!」
農作業服を着たおばさんが、元気な声で迎えてくれた。
親戚の人みたいだった。
「ね、こっちこっち」
家に着くなり先輩に呼ばれ、裏庭まで歩く。
なんだろう?
洗濯物が、ベランダにかかってた。
それにしても広いなぁ
畑が3つも4つもあるよ。
おまけに池まで。
「じゃ、よろしくね」
…え?
なにが?
背の低い物置小屋の木陰で、バツの悪そうな顔をする先輩。
パチンッ、と手を合わしながら、私の方を見ていた。
え、え?
よろしく…?
って?
「なにが…ですか?」
「彼氏役!話は合わすからさ」
彼氏役??
彼氏役とは?
「どういう意味ですか?」
「ん?この前学校で言ったでしょ?」
「…ええっと、ちょっと記憶が曖昧で…」
会話に困ったら、ひとまずこれでいこうという話になっていた。
“頭を打ってるせいで記憶が飛び飛び”という設定。
都合よくごまかせるんじゃないかということで、採用させてもらった。
…で、それはいいとして
「彼氏…役…?」
「忘れたの?」
忘れたというか、彼氏「役」って、どういう意味?
…よくわからないんですけど
「この三日間だけ、彼氏役になってくれるって言ったじゃん」
なんのことですか、それ…
祐輔の方を見ると、そっぽを向かれた。
おいこら、何か知ってんでしょ!?
彼氏役って何???
「彼氏役…って、なんですか…?」
「だから、おばあちゃんが祐輔君のファンだから、この三日間は、ね?」
………………………
………………
………えっと
……どういう
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