この変態

第19話





 その晩、祐輔とは色々話した。


 魂を元に戻す方法。


 幽体離脱の件。


 集中治療室に行く計画も一応立てていた。


 まだ実践する気にはなれないが、いつまでもこの体にいるわけにはいかない。




 「あんた彼女いんの!?」


 「そりゃいるだろ。もう高2だぜ?」



 スマホのパスワードを教えてもらって、ラインの連絡を返していた。


 その中にいたんだ。


 「彼女」が。



 「お前は?」


 「…何?」


 「彼氏だよ彼氏」


 「別に…」



 さてはいねーんだろとからかってくる。


 殴りたいが触れない。


 仕方がないから自分のほっぺたをつねった。


 コイツの体を痛めつけてやりたくて。



 「やめろよ。イケメンが傷つくだろ」


 「どこが?」


 「…まあお前に彼氏はできねーか。しょうがないしょうがない」



 このクソ野郎…


 彼女からはメッセージが来てた。


 「大丈夫?」って。


 …っていうか、普通に可愛いな


 写真を見せてもらったら、どう考えても釣り合わない人が出てきた。


 一体どこで捕まえたの?


 …まさか、この人のこと騙したりしてないよね?



 「人を犯罪者扱いすんな」


 「だって、おかしくない?」


 「よく見ろよ」


 「ん?」


 「俺だよ俺。文句の付け所がないだろ」


 「…」


 「なんで黙るんだ?」



 その顔見てたら腹が立つから近寄んないでくんない?


 この子は多分見る目がないんだろうなぁと思う。


 残念だけど、早く別れてしまったほうがいい。




 「で、なんて返信すんの?」


 「ああ、テキトーに」


 「心配してくれてるんだよ?」


 「…ええっと、じゃあ「元気です」って」



 ふざけてんの?


 元気ですって何!?


 もっと他に言うことあるでしょーが


 心配してくれてありがとうとか



 「じゃあお前が打てよ」


 「なんで私があんたの彼女と連絡しなきゃいけないの?」


 「しょうがないだろ。今はお前が「俺」なんだから」



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る