なんでアイツの体に…?

第1話




 ———ッ…!



 ひどい頭痛が、頭の中に疾る。


 目の奥が熱い。




 ………………



 ……



 …


 誰かの話し声…?


 でも、…誰?



 長い時間が、あっという間に過ぎたような感覚が、そばにあった。


 へんな暑苦しさと、走馬灯のような映像。


 広い海と、見渡す限りの緑の大地が、目の前に広がっていた。


 水面にさざめく光と、影。



 誰かが隣にいた。


 誰かが…



 …わからない


 私が知ってる人だとは思う。


 顔も、声も。


 目を奪われるほどの眩しい星空の下で、巨大な流れ星が、水平線の彼方へと流れ落ちた。


 地面に横たわる、座礁した船。


 潮風に靡く、草原。



 波の音がそばに聞こえて、それでも、耳の奥に触れる何かが、通り過ぎる風の行方を追いかけていく。



 はっきりしない意識。


 ぼんやりとする記憶。




 …ここは、どこ…?



 昔に来たことがある気がする。


 遠い昔、——子供の頃の時期に、一度。




 「………夏、……三夏!」




 誰かが私を呼んでる。


 …そうだ



 早く起きなきゃ




 今日は確か水曜日だ。


 早く起きて、学校に行く支度をしなきゃ




 「…う、うーーーーん」




 頭が痛い…



 …思うように、体に力が入らない




 重い瞼を開くと、天井が見えた。



 …私の部屋じゃない…?



 …えっと、ここは…?

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