第67話
先輩達は集まって何かを話し合っている。
話がまとまったのか先輩の1人がアレンの元にやってきた。
「悪いんだけどちょっと付き合ってくれ」
「構いませんけど、どこに?」
「付き合いのある薬師のところにな」
「薬師ですか?」
「前にお前に回復ポーション飲ませただろ?それもその薬師のもんなんだよ」
「そんなこともありましたね」
「安く売ってもらうために定期的に手伝いをしててな」
回復ポーションは結構値段が張る。
大した収入もないはずの先輩達が何故持っていたのかと思ったら特別な伝手があったようだ。
「さてと。暗くなる前に着きたいから急ぐぞ」
「はい」
アレンは先輩の後を追いかけて歩く。
先輩は街を出て森の中をぐんぐん歩いていく。
時折、誰かにつけられていないか確認している様子も見受けられた。
「先輩。何か気になることでもあるんですか?」
「今から行く薬師は腕はいいんだがな。正規の薬師じゃない。だから、他人に居場所を知られるわけにはいかないんだ」
「違法薬師ですか?」
「そうだ。だが、悪人じゃない。お前は何で薬が高いと思う?」
「高価な薬草とかを使うからじゃないですか?」
「まぁ、一部の薬はそうだけどな。原因は薬師組合さ」
「薬師組合が原因?」
「薬剤の知識を得るのに金をとる。そして材料にも組合が手数料をかけている。だから、薬ってのは基本的に高い」
「そんな組織なくなってしまえばいいのでは?」
「世の中そんな単純なもんでもないんだぜ。一部の地域でしか取れない特殊な材料なんかもある。薬師組合はそういった物を必要な地域に届けてくれる」
「難しいものなんですね」
「まぁ、特殊な材料が必要な薬なんて俺らは一生かけても買えないけどな」
先輩はそう言って笑っている。
「それで僕らはそんな人のところで一体何を?」
「基本的には薬草の採取とか専門知識のいらない雑用だな」
「僕に出来ますかね?」
「最初は手取り足取り教えてやるから心配するな」
「はい」
暗くなりはじめた頃、森に隠れるように立っている小屋に辿り着いた。
「着いたな」
「ここがそうですか」
先輩は慣れた手つきで小屋の中に入っていく。
アレンもその後に続いた。
中は薬の材料と思われるものが吊るされていたりする。
アレンは興味深くてそれらを見ていた。
先輩は奥にずんずんと進んでいく。
奥の机に突っ伏すように小屋の主と思われる人物が眠っていた。
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