第65話

アリアはかなり疲れていたようで夕食を食べ終わるとすぐに眠ってしまった。

アレンは体力にまだ余裕があったので庭に出て剣舞を行う。

重点的に苦手意識を持っていた動作を繰り返す。

剣舞をしてみて思ったのは全体的な完成度が求められていることだった。

アレンが修練に精をだしているとユーリが訪ねてきた。

「こんな時間まで修練とは精がでるね」

「ユーリさんはどうしたんですか?」

「アリアちゃんのことが気になってね」

「アリアなら夕ご飯を食べたらすぐに寝ちゃいましたよ」

「ちゃんと休めてるならよかった」

「あれだけ疲労するなんてどんな状態だったんですか?」

「私は止めたんだがな・・・。あいつらが悪乗りしてな・・・」

どういう状況なのかは語りたくないようだった。

「罪滅ぼしというわけではないが君が強くなれるように協力しよう」

そう言ってユーリは木刀を構える。

アレンは実践経験が圧倒的に足りていない。

ユーリが相手をしてくれるならいい経験になるだろう。

「お胸をお借りします」

アレンとユーリは激しくぶつかり合う。

ユーリは先輩達と違いアレンを導くように木刀を振るう。

剣舞のおかげだろうかアレンは流れるように技を繋げることが出来るようになっていた。




アレンは荒く息をついている。

「今日のところはこれぐらいにしておこうか」

「ありがとうございました」

「正直、アリアちゃんが羨ましいよ」

ユーリはそんなことを言う。

「私がもっと若ければ君にアタックしていただろうね」

「ユーリさんも若いじゃないですか」

「そう言ってくれるのは嬉しいけれどね。おだてても何も出ないよ?」

「こうして指導してもらえるだけでもありがたいですから」

「さてと。私はそろそろ行くよ」

そう言ってユーリは去って行った。




アレンも水を浴びてから寝る為に母屋に戻る。

アリアは相変わらずすやすやと眠っていた。

アレンが横になると寝言で「大好き」と聞こえてくる。

アリアは一体どういう夢を見ているのだろうか。

修練の疲れだろうかアレンも気が付けば眠ってしまっていた。




アレンが目を覚ますと隣にアリアの姿はなかった。

外からバシャバシャと水の音が聞こえる。

井戸に向かうと水浴びをしているアリアの姿があった。

「アリア。おはよう」

「おはよう。アレン」

アレンも顔を洗うために近づく。

アリアの体を見ればあちらこちらに虫刺されのような痕があることに気づいた。

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