第60話

「はぁ・・・。久しぶりに疲れたな」

先輩達はそれぞれ休憩をはじめる。

それを見てユーリは冷たく言い放つ。

「これぐらいで疲れるとは修練をサボっている証拠だ」

「そうは言ってもな・・・」

「文句を言うな。アレン君を見てみろ」

アレンは1人、黙々と素振りを続けていた。

「あいつと俺らを比べるなよ」

「そうそう。天才と比べられてもな」

「天才?違うな。日々、努力した結果だよ」

「確かにこいつは呆れるほどに真面目だよ。でも、数日で斬鉄剣は習得する。無の境地も使う。俺らとは全然違う」

「はぁ・・・。素振りにはリーリッド流の基礎が詰まってる。私はアレン君が技術を習得するペースが早くても驚かない」

「そうは言ってもな・・・。俺らだって努力したんだぜ?」

「私が何も知らないとでも?道主から話は聞いてるんだ」

先輩達は思うところがあるのか反論できずにいる。

アレンが入門した時点で先輩達はまともに修練をしていなかった。

アレンの位置からは聞こえない声量でユーリが先輩達に何かを言っている。

それを聞いた先輩達は再び素振りをはじめた。




夕方となり今日の修練を終わる。

先輩達はユーリと話があると言って溜まり場の方に消えていった。

「アリア。お疲れ様」

「アレンもお疲れ様」

母屋へと戻り2人で水を浴びて夕食の準備をする。

夕食も食べ終わり2人でのんびりして過ごす。

今日は夜の修練はお休みとのことで早めに寝ることにした。




翌日、自然と目が覚める。

朝日が顔を出したタイミングで今日はいいことがありそうだ。

アレンが顔を洗って戻るとアリアが起きたところだった。

「おはよう。疲れは取れた?」

「うん。ばっちしだよ」

それを聞いてアレンはほっとした。

修練漬けでいつもアリアが疲れていたように見えたからだ。

「今、朝ご飯の準備するね」

「ありがとう」

2人で朝食を食べ時間になるまで話をして過ごす。

話題は自然とユーリの話になった。

ユーリは休暇を取っているらしくしばらくこの街で過ごすそうだ。

その間、ずっとは無理だが修練の様子を見てくれるとのことだった。




時間となりアリアと共に道場の前に向かう。

そこには先輩達を連れたユーリが待っていた。

アレンとアリアもそこに混じって素振りをはじめた。

ユーリが先輩達の素振りにダメ出しをしている。

先輩達は文句も言わずにそれを受け入れていた。

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