第49話

「ちゃんと作動してみたいだな」

「作動したって・・・。動作確認してなかったんですか?」

「ずっと使ってなかったからな」

「ありがたく使わせていただきます」

アレンはお礼を言ってから走り込みに向かった。




最初はそうでもなかったが適度な負荷とは言え重りをつけているわけで思った以上にきつい。

アレンは道場の前でゴロンと横になる。

素振りをしていた先輩が声をかけてくる。

「やっぱりそうなったか」

「はぁはぁ。結構きついですね」

「あいつも使い始めた時はそんなだったな」

「あいつ?」

「ユーリだよ。その魔道具は昔ユーリの奴が使ってたんだ」

「ユーリさんが・・・。僕が使ってもよかったんですか?」

先輩達はユーリさんに特別な感情を抱いている気がする。

「いいんだよ。道具ってのは使ってなんぼだからな」

そう言って先輩は素振りに戻っていった。

アレンも息が整ったところで走り込みに戻った。




休憩を挟みつつ夕方まで走り込みをしたアレンは井戸で汗を流してから母屋へと戻った。

アリアはまだ戻っていなかった。

重りの魔道具のせいか思った以上に疲労が溜まっている。

ごろんと寝そべると睡魔に襲われる。

うとうとしていたら扉が開く音がした。

扉の方を見ればアリアが入ってくるところだった。

「おかえり。アリア」

「た、ただいま」

「今、御飯の準備するね」

アレンはそう言って台所に移動した。


食事を2人で食べる。

普段は隣で食べるのに今日は少し距離がある・・・。

アリアをよく見れば震えており顔も少し赤いようだ。

「アリア。大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ・・・」

アレンは距離をつめてアリアのおでこを触る。

「ひゃ」

アリアがびっくりしたのか変な声をあげる。

「うん。熱はないみたいだね」

「びっくりした・・・。大丈夫だって言ったでしょ」

「ごめんごめん。でも、本当に大丈夫?なんだか様子がおかしいけど」

「少し疲れてるだけだから・・・」

「今日の修練は休んだほうがいいんじゃない?」

「大丈夫。先輩が絶対に来いって言ってたし・・・」

「無理しちゃダメだよ」

「うん。心配してくれてありがとね」




ご飯を食べ終わるとアリアは修練に向かってしまった。

アレンは横になるとすぐに睡魔に襲われる。

アリアのことが心配ではあるが睡魔に抗えず眠りについた。




翌朝、アレンは普段より少し早く目が覚めた。

隣を見ればすぅすぅとアリアが眠っている。

アリアを観察するが普段通りに見えた。

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