第35話

「さてと、十分休めただろうしそろそろはじめるか」


「はい」


「俺は受けるの嫌いだからお前が受けろよ」


「わかりました」


アレンは木刀で先輩の振るう木刀を受け止める。


何度か受け止めると先輩が言ってくる。


「やっぱお前、いいセンスしてるわ」


「そうですか?」


「最初のうちは受け止めそこねるもんだぜ」


「痛そうだから嫌ですね」


「手加減はいらなそうだから本気でいくぜ」


先ほどよりも早い一撃がとんでくる。


アレンはなんとかそれを防ぐ。


アレンは自由自在に打ち込んでくる先輩の木刀を受け止め続けた。








1時間ほどして先輩が手を止める。


「はぁはぁ。こんなもんでいいだろ」


アレンも息を荒くしている。


「ありがとうございました」


アレンはどかっと座り込む。


相変わらず先輩達の溜まり場の方からはパンパンという音がしていた。


先輩は井戸に移動すると服を脱いで水を浴びている。


「お前も浴びたらどうだ?」


「そうですね」


アレンも井戸に移動して服を脱ぎ水を浴びる。


何度か繰り返しさっぱりしたところで先輩達の溜まり場から出てきたアリアと目があった。


アレンは慌てて体を隠す。


「私、母屋の方で汗流してくるね」


そう言ってアリアは足早に去っていく。


「お前、何恥ずかしがってるんだよ」


「先輩は堂々としすぎです」


「初々しいねぇ。それじゃ、俺は戻るからな」


そう言って先輩は体を拭いて服を着ると溜まり場に戻っていった。


アレンも体を拭いて服を着る。








アレンが座って休んでいるとアリアが戻ってくる。


「さっきはごめん」


「んっ?何のこと・・・?」


アリアはわからなかったようで首をかしげている。


「服着てなかったから・・・」


「あぁ・・・。先輩達ので見慣れてるから大丈夫」


「そうなんだ・・・」


考えてみれば先輩達も水浴びぐらいするはずでそれを見てしまうこともあるだろう。


そう考えれば先ほどの先輩の態度も納得だ。


「隣いい?」


「うん・・・」


アリアはアレンの隣に座って寄りかかってくる。


「アリア?」


「こうしてると落ち着く・・・」


アレンは逆に心臓がバクバクしてくる。


ふんわりとアリアの匂いがしてくる。


隣にいるアリアを見ればすやすやと寝息をたてていた。








様子を見に先輩が溜まり場から出てくる。


「なんだ?嬢ちゃん寝てんのか」


「はい。起こしますか?」


「俺らちょっと出かけてくるからそのまま寝かしといてやれよ」


「わかりました」


先輩は戻りしばらくすると先輩達が出かけて行った。

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