痛みには敏感なままでいい
製品が発売されるまでに不具合を見つけられなかったとき、不具合の重さにかかわらず、きっとあなたの心は痛みを感じるだろう。自責や後悔、他者からの責任追及。ときには、思いもよらずかけられた優しい言葉で、胸が張り裂けそうになるかもしれない。もう嫌だ、逃げ出したい、戦えない。翌日も仕事かと思うと、夜が永遠に続き、朝など来なければいいのに、と願うかもしれない。月も星もない、真っ暗な夜だ。
もしあなたがそこまで打ちひしがれたのなら、どうかその感情を誇りに思ってほしい。よりよい品質を求め、プロフェッショナルとしてのプライドをもち、すべての力を尽くしたからこそ、それだけ心が痛むのだ。その痛みは、あなたが本当に品質管理の重要性を理解した証だ。
何度だってつらい思いをするだろう。しかし、あなたが痛みに慣れず、忘れない限り、あなたの仕事はプロフェッショナルの域にあり続ける。そして、必ず訪れる「いつか」に、きっとお客さまの満足を勝ち取るだろう。痛みには敏感なままでいいのだ。
技術の進歩により製品のつくりは複雑さを増していく。品質管理の仕事は、ブラックボックスの原理解明にチャレンジするのと似ているだろう。どうアクションを起こすと、どう反応が返ってくるのか、仮説を立てて実験する。内部構造が満足に理解できなくても、やるしかないのだ。不具合という反応が返ってこなくなるまで、ひたすらにやるのだ。
あらゆる不具合を取り除くことなどできはしない。だからこそ、立ち向かう人が必要なのだ。痛みを知りながらそれでもおそれずに、ひとりでも多くの仲間とともに行動できる人が、品質管理の現場に求められている。
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