チートなはずの権能が「不殺」だった俺は状態異常を活かしての全自動レベルアップする
わわわわっふる
転生したらダンジョンマスターだった件
とある異世界では稀に別世界からの転移・転生者が現れる。 ’来訪者’ そうよばれる彼らは勇者としてこの世界に呼び出されるのである。それに呼応する様に、対の存在としてダンジョンマスター、通称魔王が現れる。
長年に渡る戦いを生き抜いた勇者を人々は救世主と呼んだ。その対となるものを大魔王と呼んだ。
現在この世界には7人の救世主がいる。彼らはそれぞれ自分の権能となる能力を所有していた。
謙遜の権能、慈悲の権能、忍耐の権能、勤勉の権能、
異世界からこの世界へ来る時に与えられる固有の能力を権能という。さらに彼らは己の分身とも言える聖遺物を呼び出す。聖遺物は破壊不可能で召喚した本人しか使うことが出来ない。それぞれ聖遺物にも形があり、片手剣、槍、鎖、杖、本…など形は様々である。
そのうちの1人、勤勉の名を冠する救世主は新たな魔王の誕生を知覚した。
「新たな魔王が誕生しましたね...」
それを聞き謙遜が重々しく口を開く。
「今更新たな魔王ごとき気にしている場合では無いであろう。今は大魔王討伐の作戦会議中のはずだ」
1番新人である純潔はどこか遠くを見つめながら自分に言い聞かせるように言った。
「そうですね、大魔王との戦いに備えないと...」
救世主と呼ばれる存在の対になるものとして大魔王と呼ばれる存在が居る。
彼らもまたそれぞれの権能となる能力を所有しているのである。
傲慢の権能、憤怒の権能、嫉妬の権能、怠惰の権能、強欲の権能、暴食の権能、色欲の権能
権能という固有能力に加え、それぞれダンジョンを与えられる。ダンジョンとはダンジョンコアを心臓とする魔王と一心同体の迷宮である。聖遺物を持つ勇者に対抗するために与えられる、言わば武器のようなものだ。ダンジョンコアが破壊されるとダンジョンは崩壊する。それによって魔王が死ぬことは無いが戦場で武器を捨てるような真似を進んでやる者は居ないだろう。
「新しい魔王なのじゃ...」
深淵の中に迷路が広がり、その奥深くで一人の大魔王が静かに立ち尽くしていた。その瞳には不可思議な輝きを宿しており、その微かな息遣いが静かな迷宮に響いていた。
その魔王は、言葉とは裏腹に心底つまらないと言うように目を伏せ、形容しがたい力、覇気とでも言うべきか。身体から溢れるオーラは、迷宮の壁を揺らしていた。
そして、周囲を見回し、深いため息をついた。序列1位のその魔王は、日常に何を求めていたのだろうか。神秘的な存在感は、迷宮の中に漂う不思議な雰囲気を一層引き立たせていた。
///
「ここは……?」思考が混沌としている中、俺は目の前の景色を眺める。暗がりの中に広がる広大な空間。地面にはレンガのような物が敷き詰められ、壁には謎の銘板が掲げられていた。そして、その空間の中央には一つの球体が浮かんでいた。それはまるで、鏡のように光を反射していた。
すると、突然俺の身体はその球体に引き寄せられるようにして動いた。そして、球体に触れた瞬間流れてくる膨大な知識の奔流によって俺は意識を失ってしまった。
「俺は...寝ていた?...っ...頭が...」
どうやら俺は元いた世界、つまり地球とは別の世界へダンジョンマスターとして生を受けてしまったらしい。
「え、俺ダンジョンマスターになったの?!なんかテンション上がってきた!!」
ダンジョンマスターとは人類に仇為す者である。ダンジョンにはダンジョンポイント、通称DPがある。
ダンジョンに侵入する者の殺害、討伐。もしくは地脈からの回収によってDPを稼ぎ、それをモンスターと交換したり、自分のステータスの強化をしたりなど色々な所で使えるらしい。このコアによって。
「転生したらダンジョンマスターだった?!最強になるしかないでしょ!!」
謎の空間に浮かぶ球体、通称ダンジョンコアはDPの貯蓄機能、モンスターとの交換機能等ダンジョン運営を補助するために作られた物らしい。
「えーと..ふむふむ...ステータスオープン!!」
__________________________
名称:未定
性別:男
経験:1Lv
称号:来訪者 新人ダンジョンマスター
肉体強度:F
権能:不殺
不殺のダンジョン
攻略難易度:F
DP:100
所有するモンスター:0
このダンジョンの地下に地脈は通っていないため地脈からDPを集めることは不可能です。
「気になることは沢山あるが...権能と言うのは転生・転移時に与えられる唯一無二の能力だよな...不殺ってなんだ?」
不殺…生物を殺すことが出来ない。
未解放(DP100で解放)
未解放(DP1000で解放)
未解放(DP10000で解放)
……
「え!?俺の権能弱?!不殺とかどう考えても勇者側のスキルだろ!!」
早くも最強への道は遠ざかっていた。
これが後に悪逆非道で外道。不殺の大魔王と呼ばれ恐れられる青年のスタートである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます