第4話 夏の星座をご案内3(情報収集はがっつりと)
「このまま視線を右横にずらして、北の空のひしゃくの形が見つけられたかな?」
「え、ひしゃくがわかんない??
神社で手を清めるところにある、水をすくう道具だよ」
「なんていえばいいんだろう??
『ひしゃく』は『ひしゃく』なのよぉぉ」
「水汲み? そう、それそれ!」
「大きい方は北斗七星。おおくま座ね」
「ん? 北斗七星とおおくま座は違うのか? って、
同じだよ。おおくま座の中に北斗七星があるの。
逆かな? おおくま座の一部が北斗七星?」
「おおくま座って、不思議なんだよね~。プラネタリウムで見ると、このおおくま座もこぐま座もしっぽが長いの」
// くすと笑う。
「神様が天にあげるときにしっぽをつかんで投げたから伸びちゃったっていう説があるんだよ。
そこまでこじつけてまで熊にしなくてもいいのにね。
そうだね。ネコでもリスでもよさそうだよね」
// くくっとツボに入って若いが止まらない。
「え、私が声を出して笑うのがめずらしい?」
「そうかな? そうだね……。
折角、また同じクラスになったのに、君とは会話らしい会話は、ほとんどしたことなかったね……」
//しょんぼり。
//気を取り直して。
「うん。今日はいっぱい話そう!」
「君は、ネコ派、犬派?
そういえば、犬飼ってたよね?
まだ元気? 名前、なんていうの?」
「は? クマ??
犬なのに名前が、クマ??」
「子犬の時、黒くてコロコロしててクマみたいだったから?
それって、君の名付けでしょ?」
「やっぱり……そいうとこ、昔からブレないよね」
「小学校の時も、君は飼育委員で飼ってた白いウサギにもクモってつけてた。
ウサギなのに蜘蛛って、みんな笑ってたけどふわふわの雲のことだよね?」
「あと、金魚にもイチゴって。くすくす。君のネーミングセンス変わってるけど、嫌いじゃないよ。
かわいいって思ってた……」
//2人 照れて沈黙。
//SE 虫の声。
「……星の話の続きが聞きたい?
そ、そうだね。続き行こうね」
「えっと、北極星ってどれだかわかる?
あれあれ。
あれが北極星だよ。北の空で動かない星で昔から航海の目印に使われていたのよ」
「このくらい、星がいっぱいだと逆に見つけるの難しいよね」
「こぐま座のしっぽの先の星なんだけど。ちがう、ううん、それじゃなくて……」
//SE 場所を移動する音。
//彼の後方に移動。後ろから彼の手を取る。
「後ろからごめんね。
手を借りるよ。うーんと、これなんだけど……? わかる?」
「あの、小さな星だよ?」
//耳元でささやくように。
「ほえっ!? 私の手、熱い? 熱中症じゃないかって?
そんなことないよ。ないない。
ちゃんとお水飲んでるって」
「ちょっと、緊張してるっていうか……。
いや、だって、その、うーっ~」
「暑いから! 暑いだけだよ!」
// 手でぱたぱたとあおぐ。
// 彼の手に触れてドキドキして体温があがっただけ。
「私のことはいいからちゃんと北極星、覚えて!」
//照れ隠しで大声で。
「じゃないと、またあの時みたいに、迷子になっちゃうよ?」
//小声で意味深に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます