第4話 16時28分


「うわ…これお前たちがやったのか」

「そうだぜ?お前がノロノロ運転してる間にせっせっとやらせてもらったんだ」

「だから、ごめんって」


 別荘の内装は外観と同じく西洋風で、廊下には高そうな絵画や壺があり、謎の甲冑が存在感を放っていた。

 宇治治と六角が案内してくれた応接室にも、高級そうな家具や骨董品などが置かれている。

 そして顔の形にくりぬいたカボチャや蝋燭。骸骨のルームランプなども置かれ、すっかりハロウィン一色に装飾されているではないか。


「晴岩くん、びっくりしたでしょ?ハロウィンだからさ、これくらいやらないと!」

 宇治治は笑ってそう言うと魔女が持つような木の杖を持ってくるくると回る。

 いや、本当かわいいやつだよお前は。


 10月31日の今日、俺たちは蛇九の別荘でハロウィンパーティをやる計画を立てていた。

 ハロウィンパーティといっても、5人でやるパーティなんてたかが知れてるし、バカ騒ぎできる理由と場所があれば何でも良いというのがメンバー全員の相違だと思う。

 まあ、宇治治のコスプレ姿が見たいという気持ちもないわけではないのだが。


「そう言えば蛇九と因崎の奴ら、全然戻って来ないな」

 六角がソファにだらしなく座りながらため息をつく。


「ん?買い出しでも行ってるのか?」

「いや、それは蛇九が済ませてくれたんだけどよ。お前が来る1時間くらい前に蛇九が因崎に『見せたいものがあるから俺の部屋に来い』って言って、連れて行っちまったんだよ」

「みせたいもの?あーあれか?」

「うん、多分恐竜の本とかじゃない?二人とも好きだもんねぇ…」


 蛇九と因崎には共通した趣味があった。

 それが宇治治の言う『恐竜』なのだが、二人は趣味というよりは学者になれるんじゃないかって言うくらいマニアックな知識を沢山もっていた。

 二人はたまに俺たちにもその話を熱弁してくれるのだが、ついていけないことがほとんどだった。


「二人で熱く語りすぎて時間を忘れてるんだろ、呼びに行ってみるか」

「そうだな、大遅刻の晴岩クンが来たことだし、そろそろ呼びに行こうか」

 六角がソファからにやにやしながら立ち上がる。


「はいはいすみませんでしたー」


 こいつの悪いところは人の過ちをずっと引きずっていじってくるところだ。

 俺はしつこいぞ!と怒ろうとも思ったが一番悪いのは自分なのでやめることにした。

 それよりも蛇九と因崎を呼んでこなくては。

 折角のハロウィンパーティなのに。

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