第2話

・・・悩みがあります。聞いて。


「数学が解けない・・・」


この学校、ハードル高すぎません?


解き方も教えてくれないし、最初から応用の応用をだしてくるんだよ!!


こんな問題、解けないって!


男子の一部は苦戦しているみたいだったけど、女子は表情一つ動かさないで授業を聞いてる。


問題用紙を見て唸る。


試行錯誤したけど、結果、無理。


無理無理。


殿下のことは、今のところ大丈夫そう。


3日間、挨拶もしてない。


同じクラスなのに。


ただ、問題は学力なのだ・・・


家には帰りたくないし、問題は解けないし。


がらん、とした教室。


先生がいるわけもなく。


「はあ」


ため息をついた。


思い切り、うつぷせる。


「・・・ティアラ嬢」


突然話しかけられてびくりとする。


この声は、殿下だ。


・・・寝たふり大作戦。


ゆさぶられたら、殿下に起こされるなんて感激ですっ!とでも言っておくか。


「解き方を教えようか?」


まさかそう言われるとはわからなくて、反射的に顔を上げる。


「!」


ガバッ、と起きた私を見て殿下は目を丸くする。


・・・その目は、さすがに傷つく。


目が物語っていますよー。


陰口より、傷つきます。


そんでもって、めっちゃはずいです・・・。


思わず殿下を見上げていた視線を横にそらす。


う、わあ、気まずい気まずい・・・。


殿下、固まってないで何か言ってください。


お願いします。


沈黙敗れるようなネタないし、アピれる気もしなくなってきた・・・。


「・・・隣いいかな」


「あ、はい」


今更ド緊張。


「問題、解けないの?」


口を開けず、こくこくとうなずく。


これはまずい。


なにかアピらないと・・・。


「これはね、」


そう言って一つ一つ丁寧に教えてくれたんで、さすがにアピる気もなくなる。


私は納得して、解けなかった問題をすらすらと解く。


「殿下、」


すごい!ありがとうございます!という言葉をなんとか抑える。


「何?」


するどい目で問われて、一生懸命言った。


「でん・・・ウィーク様にに教えてもらうなんて光栄です。ありがとうございましたっ」


甘える声が出せたかは微妙。


私は問題をバッグに入れて、帰りたくなかった家に、ダッシュで帰った。

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