第19話 温泉街ホスピン

 どうしてこうなった?……お風呂は嫌なので反対したけども、多数決となって私以外全員(テイムモンスターと言う数の暴力でねじ伏せようとしたら裏切られた)が温泉街行きに賛成で絶賛温泉街に向けて進んでいる。汚れなんてクリーンでどうにでもなるし、何も問題ないはずなのにどうして皆温泉に行きたがるんだろう?



「リンセちゃんがどんどん不機嫌そうになってますね」

「リンセちゃん、お風呂嫌いだから……」

「……なんか臭い」

「あー……硫黄かな?ま、まぁ、匂いは独特だけど肌や髪には良いから。お肌スベスベ、髪艶々になるよ?」

「髪……毛が艶々?」

「そそ、つまりもふもふ度もアップ間違いなし!」

「早く行こう」

(明らかに馬車の速度が上がりましたね)

(そりゃテイムモンスターの毛並みが良くなるからね)

(え?えぇと、リンセちゃんは?)

(カラスの行水じゃないかな?リンセちゃんのお風呂嫌いはなかなかの頑固だからね)

 


 っと、なんだかんだで見えてきた……けど、マイお姉ちゃんが先に良い宿を確保してくると徒歩の列に行って先に街の中に行ってしまった。まぁ、こっちは馬車だし、のんびりと馬車の列に加わって街に入れば良いだけだしね。列もそんなに長くなさそうだし、直ぐに街に入れそう。



「お?来た来た。こっちこっち!」

「ん。テイムモンスター同室の大部屋か個別の部屋取れた?」

「もっちろん、皆で泊まれる大部屋よ!」

「じゃ、馬売ってくる」

「いやいや、温泉でしょ?」

「?馬売って狩りしてお金稼いでくる」

「いやいや、せっかく温泉街に来たんだから温泉を堪能してからでも……」

「とりあえず、ギルドで素材売ってくる」



 というわけで、着いて直ぐにお風呂に入るという事態は回避出来た。お風呂なんて別に1日の終わり近くでも良いわけだし、汚れはクリーンで落ちるのだから問題ない。さっさとギルドで素材を売って狩りに行こう。所持金も一番持ってた時に比べたら少ないしね。



「いい湯だけど、リンセちゃんには逃げられたなぁ」

「逃げられましたねぇ」

「でも、お昼からお風呂に入って良いの?」

「良いの良いの。こういう贅沢は、たまにするから良いんだから」

「そうですよ。リンセちゃんなんて、普通に水で体を清めたりせずにクリーンで済ませるか、何もしないの2択なんですから」

「でもクリーンって便利ですよ?」

「使える人はそれで済ませる人が多いのは分かりますよ?節約にもなりますから。でも、お風呂でしか得られないものもあるんです!」

「それにしても……リンセお姉ちゃん遅いですね?」

「多分、夕方には帰って来るでしょ」

「で、そのまま夕飯で後は部屋でのんびり過ごしそうですね」

「一緒にお風呂はその時に説得するしかないね」



 というわけで、予想通りに夕方に帰って来て、夕飯を無事に食べ終えたリンセちゃんを皆で捕まえてお風呂です!なんか皆の手入れとか言ってますが、ここはテイムモンスターと一緒にお風呂に入れる旅館です。部屋にも一応在りますが、今回、大浴場の一つを貸し切りで取ってるので問題なし!太っ腹なマイさんに感謝ですね♪



「さぁ、そういう訳なので観念して下さい!」

「まぁ、インナーはどうしても脱げないし、着て入る文化というか仕様なのは良いとして、リンセちゃん装備着てないから直ぐ入れる格好なのは失念してたわ」

「うぅ~」

「リンセお姉ちゃんもあわあわタイムです♪」

「リンセちゃんのテイムモンスター達は皆素直に洗われているのに、当のリンセちゃんがこれだと示しつかないでしょ?」

「うぅぅ……」

「はーい、あわあわして泡を洗い流したらお風呂に入ろうねぇ♪」

「むぅ……」

「さぁ、10秒数えたら出て良いからね?」

「1……10っ!」

「いやいや、ちゃんと数えないとダメですよ!?」

「はい、逃げないでもう一回、最初からちゃんと数えようね?」

「むぅぅ……」

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