第15話 足止め

 セーフティエリアテントの効果で、私がログインするまでセーフティエリアが解ける事はないし、魔物避け効果というのも作動しており、モンスターをテントまで引き付けなければ、皆が安心して過ごせる安全圏が発生。そのお陰で、私を守るという事が一応は無くなり、それぞれ生態に合った時間帯で活動してもらった。もちろん、ドロップしたのが自動でインベントリに入る設定ではない。きちんと設定してからログアウトした。



 そして、現在はログインして何時ものご飯タイムを終え、街に向かって進んでいる最中である。モンスター?先を急いでいるので解体せずにドロップがインベントリに勝手に入る仕様に変更済み。移動優先でアルコンは私の頭、私とビボラ、ガトは木の上で木に居るモンスターを狩り、それ以外は地面を走ってエンカウントしたモンスターを狩っている。


「あ……森抜けた」

「いやぁ、やっと抜けたね。街はこの先だよ」

「?……上から見た時、平原なんて見えなかったけど?」

「あぁ、それ仕様らしいよ?街の位置を初期スポーンする時に覚えられないようにするためだって」

「確かに、見えてたらすぐ向かうし、大きい街も見かけなかった」

「そういえば聞き忘れてたけど、ワニの解体の仕方、どこで覚えたの?」

「?……向こうで暮らしてた時にワニを仕留めて持っていったら、皮とお肉半分で教えてもらった」

「え?いや、リアルでの話でしょ?それ、ぼったくられてない?と言うかお金は?」

「?リーダーと同じ事言う。持っていったのワニ1頭。アジトに運んだのワニの半身とワニ1頭。教えてもらうのに1頭持って行っただけ」

「へぇ。小さいリンセちゃんも頭良い……待って、どうやって仕留めて、どうやって運んだの?」

「?家族に仕留めてもらって、家族に運んでもらった」

「なるほど、家族……うん?リンセちゃん家族居たら家に来てなくない?」

「……家族もう居ない。犬に猫にピューマにアナk」

「待った、人間の家族って……」

「?アジトに仲間は居たけど家族じゃないし、あの国で家族って人間は居ないよ?」

「あー、うん、OK 。今日は一緒に寝ようかっ!」

「?……そんな年じゃないし。一緒に寝るならマドレの方が良い。マイお姉ちゃん寝相悪いし」

「いやいや、ちゃんと寝相良くなったから!お姉ちゃんを信じて一緒に寝てみよう?」

「……翌日が休みならね」




 とか、のんびり話ながら歩いていると、だんだん大きい壁が見えてきた。ん?何処から入る……あ、そっち。南西の方に門が有る……え?南西にあるのが南門?……苔と影だけじゃ、やはり大雑把にしか方角分からなかったかな?ゲームだからかな?方位磁石売ってるかな?え?マップ?……うん、無いね。チュートリアル終わってないからかな?



 とりあえず、南門で街に入る人の列に加わる。門は大きいけど、馬車用みたいで、その脇に小さい門が片方一つずつ。どうやら、小さい門は片方は入る用、もう片方が出る用みたい。と言うか、街道あったんだ。はじめて見た……?私、もしかして目立ってる?いやいや、テイムモンスターの証やらテイム石が、街にしか無いのが悪い。



「おい、お前!」

「……?」

「いや、お前だお前!魔物を大勢引き連れているお前だ!一般列に並ぶな!こっちに来い!」

「?なんで?」

「あー……リンセちゃん。この人の装備、この門の守衛さんである門衛さん。従った方が早く終わるよ」

「マイお姉ちゃんが言うなら従うけど……次、お前って言ったら、その口に石を入れて塞ぐし、上の人に言うよ?襲われたって」

「え……あ、いや、すまない。お、お……ついて来い!」

「初対面で初めて街を訪れる人を威圧する人、嫌い」

「ま、まぁまぁ。あ、お姉ちゃんは先に街の中入っちゃうね。と言うか、どう頑張っても、先に入っちゃうから」

「むぅ……」

「いや、お前も来いよ」

「えぇ!?私パーティーメンバーじゃないよ?」

「良いから来い!なんかこの子、怖いんだよ」

「あぁ……リンセちゃん、有言実行タイプだから」

「マジで?」

「マジマジ。しょうがないから保護者としてお姉ちゃんが同行しよう!」

「助かる。さ、詰所に行こうか」

「あれぇ?」

「??」

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