第6話 夜の森で

 さて、わりとまだ明るい内に夕飯にしたので、暗くなって来て……寝るんですか。そうですか。え?見張りは?あ、音や気配で分かる?……もしかしてリンセ様野生児かなにかですか?……何故に、サポートAI にはスクショ機能が無いのでしょう?丸まって寝るリンセ様と狼達(と蛇)……良いですねぇ。



〈syuuu-……パクッ〉

「……ん」

《Gur ?》

「本当に起きましたね。というか、蛇さんが食べましたね……あの?リンセ様?もう少しテイムモンスターの名前なんとかなりませんか?そのまんますぎます」

「んぅ?…………カピタン(狼1、群れのボス)、ロボ(狼2)、ペロ(狼3)、ネグロ(狼4)、ボスケ(狼5)、デカサ(狼6)、ビボラ(蛇)」

「まぁ、前の狼1とか呼びよりはましですかね?……いや、あまり変わらないような?……どうしました?」

「……ん。テイム……アルコン」

「ナイトホークですね。梟並みに音を消して暗闇から襲って来るモンスターなのに、よく掴まえてからテイム、名付けまでいけましたね?」

「ん?……人間よりコミュニケーション楽」

「えぇ……」



 とまぁ、ここからは完全に夜型である、ナイトホークのアルコンさんが見張りで起き、朝になって(と言ってもまだ日が昇る前ですが)、軽く小川で水浴びしてから、火起こしをして(まぁ、火の番が居ないので消えますよね)、松明を作って(丁度良さそうなこん棒をアルコンさんが持って来ました)、出発準備完了です……リンセ様の頭の上に座るアルコンさんが以外にも可愛いです。ただ、ホークという名に恥じない大きさで、体長60センチは余裕でありそうですけど重くないんですかね?



 まぁ、テイムモンスターのお陰で、初心者の初めての野営としてはかなり良いスタートですね。普通の戦士系とか魔法使い系とかだと詰んでましたね。この調子で2日目も頑張って……2日目?リンセ様プレイ時間大丈夫ですかね?いえ、今から半日位なら現実で日付変更前です。多分。これ、言った方が良いですかね?



「リンセ様?プレイ時間大丈夫ですか?」

「Gau?……あ」

「あ-、街中以外でのログアウトは基本的にアウトです。ログアウトしてもプレイヤーキャラが残りますので。ただ、フィールドにはログアウト可能なセーフティーエリアが有ります。大体が小屋とか洞窟ですけどね。アルコンさんにちょっと頑張ってもらって、少し周りを上空から偵察してもらった方が良いかと思います」

「むぅ……行け」


 ふぅ、危ない危ない。サポートAI にあるまじき失態を犯す所でした。これでリンセ様がログアウトする時間までに、一応は安全な場所でログアウト出来れば問題ないですね!誰にもポンコツサポートAI なんて言わせませんよ!そんな事を言っている掲示板コメントは削除です!っと、今はリンセ様のサポートに徹しなければ。


「……よしよし」

「はわわっ!?リ、リ、リンセ様?いきなり頭を撫でないで下さいっ!」

「むぅ……リンセ」

「へ?……もしかして、様呼びが嫌ですか?いえ、しかし、サポートAIとプレイヤー様なので、そこの線引きは大事です」

「……リンセ」

「ぐっ……でも、ダメです」

「リンセ」

「うぅ……じゃ、じゃあ、リンセちゃんで」

「ん……アリア、よろ」



 なんか、何かに負けたような気がします。しかし、これはこれで良いですね。あ、因みに私は正式にはサポートAI アリア型21番です。所謂分身体?子機?のようなものです。……どこに向けて私は言っているんでしょう?

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