第253話 じゅうたいだもんげ あんせいにな?
いつもコメントや誤字指摘、☆レビューやフォローありがとうございます。
もう少しでまた一区切り、のんびりとお付き合いください
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さて、ダンジョンアタックも終わり俺は今ベッドに色々な意味で縛り付けられている。
やはり生きていたとはいえあのモンスター、灼熱のヘルカイトだったか? あれの破滅のブレスが直撃して完全に無事とは言えず、怪我こそは治ったものの、全く力も入らずにいた。
衰弱してるって訳でもないが、いや? 衰弱なのか?
何にせよ身体を動かすのもきっつい。痛みはそこまでないんだが全身が凄まじく重くてほぼ寝たきり状態だ。気合入れれば起き上がれるのでトイレは流石に自分で行けるがな。
今はサイレーン達がかわるがわるやってきて俺の看病をしてくれている。
さっきまでは流川とスピネルも来てくれてたぞ。あからさまにほっとしてやがったな流川の奴。本当にいい友人を持ったよ俺は。
スピネルも俺の手を握って早く元気になってほしいって言ってくれたし、ありがたいこった。
テルクシノエーの方は俺と違って疲労とかがなかったので、普通に看病に回ったり炊事などを普通にやってくれている。あれほどの激戦の後なのに本当に助かるよな。
一応精神的にはかなり余裕があるので話は聞かせてもらったが、流川達は先を越されて普通に撤退してきたそうだ。誰も怪我っていう怪我もしてないんだからやはり流川は俺達の一歩上に居るな。
山崎達は撤退ではなく被害甚大だったので戻ってきたらしい。なんでも他のプレイヤー達とかち合って不意打ち喰らったそうだ。そいつらは全員撃破したみたいだが、誰も止めを刺せずに逃げ出されたらしい。
んで、山崎達もそれぞれが疲労困憊、回復薬の新島の魔法の力が枯渇して、怪我も万全回復できなかったのでこれ以上は無理だと判断して撤退したそうだ。
まさか他のプレイヤーに襲われるとはな。一応理由としてはそこにかなり豪華な宝箱があって相手が後から来たが所有権を宣言して、断ったら襲い掛かってきたらしい。
いやいやいや、宝箱は先に見つけたもんが普通貰うもんじゃねぇの? なんて思ったが、相手としてもかなりのレアものが入ってるだろう宝箱、ボスを倒すつもりがなければ少しでも稼いでおきたかったのだろうが、そういう奴等も居るんだな。
もしかしたらプレイヤーキラーだったかもしれないとは言ってたが、俺等はそう言うのに出会わなかったからまだマシだったかもしれん。
「マスター、喉渇いてない?」
「これ以上飲んだら吐きそうなんでいいです」
「ん」
甲斐甲斐しく俺の看病を続けるサイレーン。ことある毎に飲み物を飲ませようとしたり、身体をマッサージといいつつ触って来る。
後遺症のせいかあまり触られても感触がわからないのが辛い!! 本当に辛い!
にしても報酬がヤバイみたいだが、みたら心労で倒れるんじゃないかって言われてしまい明日辺りに回復したら見る事になってる。
ディーヴァも分配云々は俺が回復したらでいいって事で一度帰ったそうだ。俺が回復次第教えてもらった連絡先に連絡することになってる。
それにしてもだ、まさかの片桐とハトメヒトがMVPだったなぁ。
まさか俺の代わりに俺を操作するとか普通に考えて前代未聞な事やらかしてたよなあいつ。更に俺以上に俺の状態わかってたみたいだし。あのふわふわ浮いてる奴レーザー出せたんだな・・・知らんかったわ俺自身。
あの正直何故回避できてるのか分からなかった攻撃を俺以上に容易く回避してたしなぁ。あいつeスポーツでプロになれるんじゃねぇか? なんか片桐が言うには俺をゲームキャラみたいに操作してたって話だし。
そうかー、俺コントローラーで動くんだなー・・・
見た目がロボットっぽくなるだけで人間だと思ってたけど、機械だったんだなあの時の俺とサイレーン。トランスブーストって何なんだろうなほんと。
そしてあの夢の中に出てきたあいつ。
俺が生きてたのは、ブレスが逸れたからって話だったが、多分それもあるけどそれ以上にあいつが何か託してくれたから生きてたんだろう。
前の時も今回の時も、俺はいつも誰かに助けてもらってるな。
「どうしたの? マスター?」
「ん、あぁ・・・俺は良い縁に恵まれたな、ってさ」
「・・・そか。マスターの仲間は頼りになるものね。まさかリバティもあそこまで出来るとは思ってなかった」
「あぁ、俺達が生き残れたのは片桐の覚醒のお陰だ。そしてハトメヒトだな・・・ハトメヒトはどうしてる?」
「さっきショコラに巻きずしにされてからつるされて燻されてたよ?」
「何があったの!?」
思わず飛び上がりそうになったが、身体がまともに動かないので僅かに頭が上がるだけだった。いや、何をどうすればそんな訳の分からない状況になるんだよ。
ショコラ、許してやってくれ。色々あれだが今回のMVPの一人だから。うん、一応。でもハトメヒトの事だから多分自業自得なんだろうなとも思う。
「あいつは近くにいなくても話題に事欠かんなぁ」
「ふふ、だね。ほんと賑やかで、そして私達の中で一番諦めてなかった」
「サイレーン・・・」
「私、絶望してた、もうだめかもって諦めかけてた」
ぽつりとつぶやくサイレーン。
あれは仕方ないだろう。俺達のレベルで戦う様な相手じゃあなかったし、俺達より強いディーヴァですら諦めて動けなかったんだ。俺だって半ばやけっぱちで気合入れてなかったら震えて動けなかっただろうしな。
でも、俺の考えてる以上にサイレーンにとっちゃあの時の事は自分で許せなかったんだろう。
「マスターのソウルギアなのに、マスターより先に諦めちゃって・・・ごめんなさい・・・」
「何言ってんだ。ソウルギアとか関係ねぇよ」
「マスター・・・」
「怖いもんは誰だって怖いんだ。あんな状況になってもちゃんとお前は立ち上がった。俺に力を貸してくれた。それで十分、それだけでお前は俺を助けてくれたよ」
「・・・・っ!!」
何かを耐える様に顔を俯かせるサイレーン。
あえて俺はそれを見ない。ぽたりと水滴が落ちる音が聞こえても、俺はただ真上を見ていた。体が動くなら抱きしめてやりたかったが、今の何もできない俺に出来る事は、泣いてるあいつが落ち着くのを待ってやる事だけしか出来ない。
「傍にいてくれればいい。お前さんは俺のソウルギアで、家族なんだ。それだけで十分さ」
「ん・・・マスター、私。マスターのソウルギアで、よかった」
「あぁ、俺もお前達が俺のソウルギアで、幸せだよ」
心の底からそう思う。
俺は本当に良い縁に恵まれてるよ。
―253話了
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短いですが今日はこの辺りで
リアルの事で精神的に大変ですががんばるのです。
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