第211話 はい、きんきゅーかいぎー
その日の夜、時間のある仲間全員に集まってもらった。
勿論理由は手に入ったレジェンドレアについてだ。自慢とかそう言うのではなく、手に入れたスキルについて色々話を聞きたいってのが理由の一つと、もう一つはこんなの当てておっかないからである。
皆も俺がレジェンドレアを当てたと聞いて困惑と大騒ぎだ。あの流川ですら見た事のないスキルだし騒ぎになるのも仕方ないだろう。これ一つあればミッションが大きく楽になるのだ。
「レジェンドレア、こうして実物を見る事になるとは」
「おにーさん、凄い所で運つかったねぇ~」
「俺も驚いたっての。ガチャ演出が出るようになったのもあれだが、いきなりこれだからな」
「でも、戦闘用じゃあない所におにーさん的な感じがするよねぇ~」
「言うな。俺もそう思うんだから」
今回手に入れたレジェンドレアもことダンジョアタックにおいては最強のスキルと言ってもいいだろう。これ一つで探索中の罠に関してはほぼ気にしなくてよくなるのだ、チートと言っても差し支えない。
とはいえそれはダンジョアタックのミッションだけの話で、それ以外ではそこまで強いスキルじゃあないのがネックだ。これが攻撃用とか支援用とか回復用のレジェンドレアだったら、今頃どうなってたことやら。
「で、でもこれなら私達安定してダンジョン行けるなっ!」
「だな。罠無効化は3回使えるみたいだし、俺とクレアショコラ以外に3人分の余裕ができる」
「それ、ほぼ全員っすよね。すげぇの当てたなぁ」
佐伯少年が俺のスマホを覗いて説明を見ている。彼は山崎達と向かうから探索役は山田辺りになるだろう。俺達の様に好きにスキルを弄って問題がないって訳でもないからな、これ一つあれば色々楽になるだろうし、出来ればほしいだろう。
「・・・これ、罠以外のスキルとかも使えるみたい・・・普通のミッションでも、役に立ちそう」
「そうなのか?」
「・・・ん。いくつか説明する」
スピネルは自分でも色々スキルについて勉強していて、更には流川からも学んでいる。更には片桐からサイトの閲覧方法などを学び自分で各種サイトや掲示板を巡ってスキルの使い方や応用方法を学んでいるようだ。
俺も一応色々覚えようとはしているが、スピネルみたいに我武者羅には出来なくてなぁ・・・途中で頭痛くなってくるし。
という訳でスピネルの講義が始まる。全員傾注だ。
レジェンドレア【神の右手】にはセット時に、追加でいくつかのスキルが疑似セットされて、普通のスキルとして使える様になっている。
その中の内、罠とは関係のないスキルがこれらだ。
【戦場把握】【空間把握】
【ポーションピッチャー】【クリティカルアート】
【アクションジャマー】【アクセラレーター】
戦場把握と空間把握、何が違うのかは文字からは今一判断できない。彼女が言うには、戦場把握は常時発動系のパッシブスキルで。
戦闘時の全ての状況を一度に把握して、敵の総数、敵の動き、仲間の居場所、隠れているならその敵の発見、など戦闘においての敵味方の状況を逐一確認する事が出来る。あくまでそれだけのスキルではあるが、だからこそ随時タイミングを選び、攻撃や防御、スキルの使用や撤退などの色々な行動がとれるようになるので、流川やテルクシノエー辺りがセットしていると便利だろう。
空間把握はその名前の通り、周辺の空間の全てを把握し確認できる。
天候を予測したりは基本として、此方はそのフィールドにセットされているオブジェクトがどういう物か、辺りにトラップがセットされているか、そう言った事を理解できるようになる。あくまで補助としての効果なので、感知にはトラップ感知、解除にはトラップ解除が必要になるが、スキルを発動させなくてもある程度怪しい場所を理解できるのは大きなアドバンテージになるだろう。
ポーションピッチャーは、持っている【ポーション】に類似する回復剤などを【確定して】対象に投げつける事が出来るスキルだ。それだけ聞くとだからなんだと思いたくなったが、これ・・・絶対に回避も無効化もされずに確定して当てられるのだ。
どれだけ距離が離れていても、目視範囲に届いてさえいればそこまでが射程距離として扱われる。魔法でも届かない距離に回復剤を投げ込んだりするにはとても便利だが、それ以上に【敵に向かっても確定して当たる】のが恐ろしい所だ。
購入出来る【ポーション】系には回復剤の他に補助効果をもったものや、ダメージを与えるもの、様々な毒の効果を持つ物もポーションとして存在する。
「成程な、シーフ系をやるならば戦闘力以外の所で貢献出来るという事か」
山崎が便利だなと言いながら頷いている。
避けられる事もなく確定して当たるスキルと考えれば滅茶苦茶ヤバイスキルなんじゃなかろうか・・・
「・・・次はクリティカルアート。これは多分、アクセルが使うと強いスキル。効果は【使用時次に行う攻撃は確定してクリティカルヒットする】という物」
「え、えーとさ? ゲームなら威力2倍とかだけど、リアルでクリティカルヒットって言われても、意味わかんねぇよ・・・?」
「・・・しろーとはだまってて」
「素人!?」
絶妙に舌ったらずな言葉のナイフを叩きつけるスピネル。直撃した片桐がそこまで言うかみたいな表情で落ち込んでいたが、それはどうでもいい。
だが俺もクリティカルヒットっと言われても意味がよくわからん。つまりあれか? 会心の一撃みたいな感じだろうか。
更にスピネルが続けると、クリティカルヒットの意味がようやく分かった。そりゃ恐ろしいわ・・・どうやらこのクリティカルヒットは【絶対に命中して相手のガードを半減か貫通する】という効果らしい。 そりゃやばいわ・・・ステータスと言う鎧や武器を身に着けているような俺達にとって、レジストやガードはかなり大事なステータスだ。これが低ければ、ダメージも多くなるし、高くなれば銃弾を受けようとも全部弾いたりできる。
だが、弾けなければ勿論それは肉体に直撃する訳で、そのガードを無効化か半減して与えられる絶対外れない一撃って、つまり「必ず殺す技」って事で必殺技だよな。
後【クリティカルアート】自体はまさかのSレアスキルで、割と安価で買えるのが恐ろしい。但し1日1回しか使えない制限ありだ。複数セットすればその回数は使えるらしいが。
「ガードってことは魔法じゃだめってことかぁ・・・ショコラじゃだめだね、使うならクレアの方かなぁ?」
「つってもあーしら、この時は探索系だから・・・あ、そか。神の右手だけで良いから他のスキル普通に突っ込めるんだ、ゃば・・・」
「やべぇな・・・」
「・・・ん、やばい。確かに戦闘系のレジェンドスキルじゃないけど、普段使いもっ結構できる。ケーキ屋さんは豪運」
「この前同じのを連続出しまくったからな・・・運が乱降下してそうだ」
「あぁ、あったな・・・」
「・・・次の説明、する――」
スピネル先生のスキル講座が再び再開された。
―211話了
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多分次回もスキル説明です、そしてチートスキルお目見えです。
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