第203話 片桐未来 コミュ障をどうにかしたい その3

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 部屋に来たサイレーンにジュースを用意して、とりあえずは休憩。


 これから私のコミュ障改善計画の為に相談する事になるけど、改めてみると本当に可愛いよなぁ。私じゃあ逆立ちしても敵いそうにない美人って感じ。


 テレビや動画で人気のアイドルすら余裕で霞んで見える位にサイレーンは綺麗で可愛い。黙ってたら神秘的な感覚がするし、こんな場所にいるような女性じゃあないよなぁって思う。


 口を開いたら途端に俗っぽくなるけどね。


「未来はオレンジジュース好きなんだね」


「ん、よく飲むけど好きって言うか、普段それ飲んでるから変えられないっていうか」


「それは好きって事だと思うよ?」


「そかな?」


「そだよ」


 最近サイレーンは私の事を苗字やリバティじゃなくて、名前で呼ぶようになった。初めの方は少し違和感みたいなのがあったけど、今はそんなに悪くない。


 後はテルクシノエー辺りが怒った時に言う位かな。普段は片桐さんとかリバティとか言うし。ショコラとクレアはリバティ呼びか、「かたっち」とか色んなあだ名をつけてくる。大体毎日、下手すりゃその日の内に色々変わるからもうあの二人は諦めてる。


 友樹は片桐呼びかな。ミッション中はリバティって呼んでくるけどね。


「んー・・・コミュ障をなんとかしたい、かぁ」


「何か、ほら、えーと・・・案とかある?」


「せやなー・・・」


 サイレーンの方を少しだけ見て言う私。


 相手の目を~は少しできるけど、サイレーンの目を見てると何か吸い込まれそうで怖くなって直ぐ下を向いてしまう。慣れて来てはいるけど、やっぱりまだ他人は怖いから・・・


「マスターをはじめ、私やテルクシノエー、クレア達と普通に会話出来てるけど、ほかはダメって奴だね?」


「ぅー・・・まぁ、そんな感じ」


「私は専門家とかじゃあないから、手伝えても少しだけなんだけど・・・そうだね」


 人差し指を顎に当てて上を向いてうーんと考えだすサイレーン。


 なんだろう、その姿がもう既にあざといというか、これが女子力ってやつなんだろうか。私の場合女子力じゃなくて、女死力だからなぁ。いや、最低限の炊事洗濯は出来るから違うかもだけど。


 でもサイレーンに相談してよかったかもしれない。私のむちゃぶり相談にもちゃんと考えてくれてるから。これがどうでもいい相手とかだったらそもそも相談にも応じてくれないだろうし、友樹をはじめソウルギア全員良い奴でほんと助かってるよ。


「思いつくのは、私達で慣れてくって所かな、未来って実は私達とも話すの結構苦手でしょ?」


「うっ・・・」


 図星を刺された。


 サイレーンの言う通り、サイレーン達にはとても助かってるし、感謝もしてるし、友人だとも思っているけど。それでも長時間ずっととか、顔を突き合わせて会話とかは出来る気がしない。他人と違って近くにいるのもダメって訳じゃあないけど、それでもゲームとかで遊んでない限りは一緒にいるだけで情緒不安定になってくるし、息苦しくなってくるし、視野が狭くなってくる。


 彼女達が嫌いって訳じゃあない。でも、今までの事があって他人がダメなんだよ・・・そんな事彼女達が思ってないとわかってても、裏で私の事を嫌ってるかもしれない、うざいと思ってるかもしれない、そう考えてしまう。


 あぁ、コミュ障なんだなぁ私って改めて思う。さっき調べたコミュ障の改善のあれも結局は自分で勝手に思い込んでただけ。


 私は他人が怖いんだ。


 子供の頃から相手が怖くて、家族からは見捨てられて、結局何処にもなじめなくて引き籠って生きる事しか出来なかった。プレイヤーになんかなりたくなかったけど、ならなかったら多分人生詰んでた。よくて泡に落ちてて、悪かったら自殺してたかな。


 誰にも頼れないし、頼っても助けてくれる人もいない。


 ゲーム、アニメ、漫画、ネット、それだけが私を癒してくれた。私の領域に侵入せず、私に干渉せず、私を楽しませてくれた。だから私はそれに溺れて、手遅れに近い所まできちゃってた。


「・・・・ぅ」


「大丈夫だよ未来。私はその程度で貴女を嫌いにならないから」


「さ、サイレーン・・・」


 サイレーンの声はとても優しさが含まれている声だった。距離を詰めたりもしてこない、過度に干渉もしてこない。私にとってとても気が楽なる場所で、ゆっくりと話し掛けてくれる。


 友樹もそんな感じだ。ぶっきらぼうだし、見た目は怖いけど、サイレーンみたいに優しいし、私をちゃんと理解してくれて、分かってくれてる。


 だから友樹やサイレーン達の前では、私は、私として居られるんだ。


「行き成り治すなんて、奇跡とかでも使わないと無理だけど、でも、未来が治したいって考えてるのならきっと、それは治ってきてる証拠だと思うよ?」


「・・・治って・・・?」


「ん。だって、コミュ障で誰にも近づきたくないとか思ってたら、治そうとか相談とかしないよ。きっと楽な方に逃げると思う。だけど未来はそれじゃだめだって、わかって、こうやってどうしようか相談しにきた」


「・・・ぅ」


「その時点でほら、未来は一歩前に進んだよ」


「っ・・・!!」


 ・・・サイレーンが私を褒めてくれた。こんな、スタートにも立ててない私に、スタートに行こうとした事を褒めてくれた。嘲る為の誉め言葉じゃあなくて、心の底から私を認めて、頑張ったねって褒めてくれる言葉を。


 私は家族にも学校でも褒められた事なんてなかった。出来損ないって思われて、腫れ物の様に扱われて、なら私もお前等なんかに関わるかって拒絶して。


「いつか、私もサイレーンみたいに、なれるかな?」


「ほほぅ、つまり未来もマスターとのエロに目覚めたか」


「・・・・なんでそうなるよ!?」


「ふふり。皆まで言わんでよかとです。実はね? マスターのマスターはそれはもう凶悪な・・・」


「ぶっとばすぞ!?」


「ん。そうそう、そうやって少しずつ感情を出していけば、きっと直ぐコミュ障なんて治っちゃうよ」


「うぐっ・・・さ、サイレーンめぇ・・!」


 こいつはぁ・・・見た目美少女で不思議ちゃんの癖になんでこうもシモ方面ってかエロ方面に持っていくかなぁ。いや、私も大人だしそう言うのは理解もしてるけど、つかエロゲーとかは割と集めてるけど・・・いやいやいやいや、それはいいんだ。


 サイレーンの場合あけっぴろげすぎるんだよなぁ・・・! 


「まったく・・・このエロ娘が・・・」


「エロ娘ですが何か」 


「否定しねぇし・・・あのさ、話きいてくれてありがと・・・」


「ん」


 頷いて笑うサイレーンの顔を、少しだけ勇気を出して真っすぐ見つめる。


 そこには輝くような彼女の笑顔があった。


 私もいつかは、サイレーンみたいな心のそこから笑えるようになりたいな。 


―203話了


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かぜひきました

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