第197話 まぁ、最初ですからね!!
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まだ忙しいので毎日投稿は厳しいですが、少しずつ少しずつ。
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周辺には複数のおぞましさを感じさせる塊―【コア】が浮かび心臓の様に鼓動を続けていく。
血が滴るように液体の様なものが地面にべちゃりと嫌な音を立て、粘液が激しく胎動し、そこから新たなモンスターが生まれていく。
小型の餓鬼のようなモンスターから、狼の様に見えるもの、現実にはありえないファンタジーの世界に居るような気持ちの悪いモンスターと、その種類は様々だ。
出現した時から役目を果たさんとばかりにそれらは周囲に居るプレイヤーを目掛け餌を貪るかの様に襲い掛かってくいく。だが・・・この場に居るプレイヤー達はその全てが初心者の壁を超えたプレイヤー達。
迫りくるモンスターに怯える事もなく、寧ろモンスター以上の勢いで駆逐していく。
その中でひと際、モンスター達を駆逐していく一人のプレイヤーの姿を誰もが捉えていた。
強化されている彼等の目にも追えないようなスピードで大地を駆け、壁を蹴り空中を跳躍し敵陣に踊りでて刃を振るう。その一撃一撃は堅いモンスターには致命的にはならないものの、攻撃されたモンスターが一行動動く前に何連もの連撃を浴びせ、止めとばかりに変えの利く刃を敵の口内に突き刺し止めを刺した。
「おおおおおおおおおおおおおっ!」
大物を倒したアクセルが咆哮を上げる。それに呼応するかのように飛び掛かってくるモンスター達にあっという間に覆いつくされる、が。
「邪ぁああ魔だあああああああ!!」
全身を押しつぶされ、切り裂かれ、突き刺され、噛まれた筈の体には一切の傷がついておらず、周辺の困惑しているモンスター達をスキルの一撃で全て薙ぎ払っていく。
全てのモンスターを吹き飛ばし絶命させ再びコア目掛け突撃していくアクセルの姿に、一部のプレイヤーは共闘している相手と言えど驚愕と恐怖を感じずにいられなかった。
「あいつ、防具の効果があるからってやりすぎだっつの!」
アクセルに追随するかのようにスクナヒコナが支援魔法と防御魔法を連続で発動させる。全体に効果のある支援魔法は他のプレイヤー達にも自動で発動していた。強力なバフ効果を得たプレイヤー達も、続けとばかりにモンスター達を蹴散らしていく。
「アクセルさん・・・やべぇっすね」
スクナヒコナを護るように偃月状のソウルギアを構えていたハルペーが苦笑しながら言う。スクナヒコナも頭が痛いとばかりに頭を抑えているのだから、彼がやりたい放題やっているのは間違いないだろう。
「まー、こいつら全滅させないと外にでるしなぁ。討伐報酬もそれなりに美味いし仕方ねぇさ」
「俺じゃあまだ無理だなぁ、あれは」
「真似すんな真似すんな。アレはあいつが生き返ったらぼっこぼこにしてもらえばいい。それに・・・」
「あー・・・」
「サイレーンちゃん達に比べれば、アクセルはまだマシだ」
冷や汗をかきながら、今では同じソウルギア同士でもあるサイレーンを見ていた。
※
歌が響いていた。
悲しくも強さを感じられるような歌詞が、澄んだ歌声と容赦のない旋律が、周囲を地獄に変えて行く。
周囲にあるコアもまるで自分から壊れていくように、少しずつ消滅していく。
その中心にいるのはサイレーン。
彼女が自分で作った歌をスキルを掛け合わせた事で今まではただ、声を出す事で発動させていたそれを【一つの歌】として発動させる事で、今まで以上の効果を齎していた。
周りの、歌が届く範囲の全てのモンスターは発現した瞬間にその歌によって自壊していく。低レベルのモンスターでは最早生まれては死ぬだけの存在に成り果てていた。ある程度レベルの高いモンスターであろうとも直ぐに歌に聞き惚れ、ゆっくりと自壊していく。表情こそ分からないが周りのモンスター全ては苦しむことなく、寧ろ満足そうに自壊し崩れていく様は、まさに天使の歌と言っても良いかもしれない。
しかしそれでも耐えきるモンスターや、そもそも音が聞こえないモンスター等も生まれてくる、それらに対しては隣にいるテルクシノエーが周りを把握し、事細かに支指示を出す事で、本格的に動き出す前に全て処理していた。
周りのプレイヤーがその歌声に関心と同時に恐怖している姿が見える。一部、後暗い背景を持つプレイヤーに至っては、近寄るまいとその効果範囲からさっさと離れていた。
「ふむ・・・あれと、あれと、あれか・・・」
「助かるわ、ハトメヒト」
何かしらにチェックを入れているハトメヒトに指示を飛ばしながらも余裕を見せているテルクシノエーが話しかける。
「何、この中で我が一番暇であるから故。それはそうと、かなり大胆にやっているが、わざとであるな?」
「えぇ。最初が肝心なのよ・・・全く見も知らぬプレイヤー達が居る、この最序盤こそ―」
―こちらに敵対するかもしれない仮想敵を探す事が出来る
そして同時にこちらの手の内をある程度見せる事で、それを主力だと思わせる事。本命などを隠し切る為に今回はあえて御堂には護衛と援護を頼んである。
御堂の事を詳しく知っているプレイヤーはどうやら周りにはほとんど見当たらない。だからこそ周りのプレイヤーの誰が敵で誰が味方で誰が中立なのか分からない以上、奥の手などは出来る限り隠しておくべきだ。
同時に「こちらに手を出せば面倒になる」と思わせる程度の実力も必要になる。だからこそサイレーンには全力で動いてもらい、周辺をミューズ、後は合流してきた仲間達で対応している。
此方を確認していた幾人かのプレイヤーは既にハトメヒトが確認している。彼女はその辺りの情報収集を見た目と性格とは裏腹に得意としており、そこから調べていき、注意すべき存在か否かを判断していくのだ。
一番初めの、普通に戦うしかなかった頃の御堂達ではない。
仲間も手段も増えた以上、これまで以上に彼女にはやらなくてはいけない事が多いのだ。
「それにしても・・・まだ特殊エネミーが出て来てないわね」
「左様。我的には恐らくそろそろであろうな。レベルは恐らく――」
ハトメヒトの言葉を遮る様に、遠くの方で悲痛な叫び声と咆哮が響いた。
「テルクシノエー殿。さて、どうするか?」
「大丈夫よ、既にあの人たちが向かっている。それで十分」
「うむ、ならば我等はここでリンボーダンスを踊りながらロウリュを行おうではないか。者ども竹やりを持てぃ!!」
高らかに宣言したハトメヒトがその両手になんか巨大な分度器と土木作業で使うアルミスタッフと言う測量機を持ってわちゃわちゃと擬音が付きそうなお子様走りで駆け寄っていく。
そのままモンスターに50メートル1分程度の速度で向かっていき、辿り着く頃にはモンスターはサイレーンの歌で自壊してしまうので、次なる敵に向かって再び走り出して、到着する頃にはまた間に合わないといった事を、5回ほどやった後、満足そうに額の汗を拭う仕草で戻ってきた。
「今年の敢闘賞はこれで頂いたと思うのだが」
「それでもらえるなら幼児でも貰えます」
「みー」
「なにが「みー」ですか。ほら遊んでないでサイレーンの補助を」
「承った。(さて、ディザスターも恐らくここからであろう、開幕から誰彼死んでもらいたくはないのでな、我が主は誰よりも心優しい故)」
いつの間にか持っていたアルミスタッフと分度器は消え失せ、両手には小さい本当に小さな銃が二丁握られていた。
―197話了
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もう猛吹雪と積雪はやめてください・・・
またそのせいで明日お仕事が大変な事に・・・
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