第134話 どう見てもあれボスへの入り口ですね。

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正月気分もそろそろ終了、頑張って行かないとですね。

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―第5層 アクセルパーティ



 様々なパーティが悲喜交々の状態の中、アクセル達のパーティはかなり安定した進みを見せていた。


 出てくるモンスターは全て佐伯やレヴォリューション達があっという間に片づけてしまう。物理に耐性のあるモンスターが出たとしてもハルペーの物魔混合の一撃があれば問題なく倒し切れた。


 雑魚に至ってはバンカーが全て一撃で薙ぎ払っていく。ここばかりは御堂達とは違いほぼ全員熟練のプレイヤーと言う事で此方に軍配が上がる。片桐の様な長距離の探索等は出来なくてもそれ以外はスマートにまとまっていた。


 そして道中は少名毘古那のソウルギア効果で強化されたアクセルが道中の全ての罠を解除していく。一度の失敗もなく中級のトラップだろうと問題なくクリアしていた。


 道中で1回宝箱も発見し、中身はあまりいいものは入っていなかったが十分な利益は出せている。


「5層か・・・そろそろボスについてくれてもいいんだがなぁ」


 レヴォリューションが少しばかり疲れた表情で言う。


 実は既に5日近くダンジョンに滞在していたのだ。外とは時間の流れが違うとはいえ、これだけ長く滞在していると流石に外の事も気になるし、精神的に疲弊もしてくる。


 まだまだ撤退するには問題ない状況ではあるが、これ以上日数がかさむようならば諦めるしかない。幸い、新島が【帰還】の魔法を持っているので帰ろうと思えばすぐに帰還できる。


 彼等としてはソウルギアになっている新島が【帰還】を持っているのは二重の意味で幸運とも言えた。何せ万が一彼が死んだとしてもアクセルが生きている限りは再召喚出来る。途中でボスを倒すか出口を見つける迄帰還できないという半ば詰みの状態にはなりにくいのだ。


「女っ気もないしなぁ・・・あぁ、早くショコラちゃん達に会いたい」


「まぁ、進むしかないだろ。うちのリーダーはやる気だからな」


 新島の目線の先には菓子パンを食べて腹ごしらえをして居るアクセルの姿。


「食料はまだありますし、もう少し頑張ってみましょうよ」


「バンカーの言う通りだな。俺もまだまだ気合入ってるしよ!!」


「若い奴等は元気だねぇ」


「レヴォ君・・君僕と同い年だよ??」


 草臥れた老人みたいな事を言うレヴォリューションにツッコミをいれるバンカー。


「ちなみに聞きたいんスけど、これ他のパーティがボス倒したら俺等どうなるんだ??」


「・・・恐らくいつも通りミッションクリアの表示がアプリに流れて、普通に外に出られるようになると思う」


 何せ彼等もこのタイプのミッションは初めてなのだ、自分達がボスを倒せば一番早いが、これだけ日数が過ぎていれば他のパーティが先にボスを倒していても不思議ではない、その時に自分達がこの世界に閉じ込められたらと佐伯は少しだけ危惧していたようだ。


 現状ソウルギアGAMEのアプリはショップの利用と掲示板が閲覧できないだけで、他の機能は全て使えている、ミッションがクリアされれば何時もの様にイラつく文体のメッセージが流れてくるだろう。


 それが流れていないと言う事は、まだ誰もボスには到着していない、もしくは撃破されているかのどちらかだ。まだまだ諦めるには早すぎる。


「そろそろ向かうぞ、忘れ物はするなよ?」


 食べきった菓子パンの袋を律義にゴミ袋にしまい、アクセル達は再び探索を再開した。










 探索する事半日、徐々に太陽が沈み夕方になっていく時間。この階層はかなり広い天然の花畑の迷路みたいになっており、突如モンスターが奇襲をかけてくる以外は他の階層と比べて明るく探索しやすい場所だった。


 空には青い空と白い雲、そして太陽があるがそれ以上は生い茂った草花で覆われていて何も見えない。出てくるモンスターも足の生えたひまわりや自分の体をマシンガンの様に飛ばしてくるトウモロコシ、武士の様な姿で刀を構えて突撃してくる大根など、色々ふざけたモンスターが多いのが特徴だ。


 他にも人間大の蝶や、巨大なトンボなど、かなり豊富なモンスター達がそれなりの頻度で襲い掛かってくる。逆にトラップなどはあまり見当たらず、唯一みつけたトラップも先ほど解除し終わった所である。


「見た目はともかく、結構強くなってきやがったな」


「あぁ、佐伯の兄さんの言う通りだな。稀にレベル3クラスがまじってやがる」


「あの大根だよね? いきなり【チェストーーー!】って飛び掛かってきた時は驚いたよ」 


 アクセルの感知を飛び越えて・・・というより進んだ先に埋まっていた大根が突然地面から飛び出てきて、何かのワンシーンの如く侍鎧が周辺から何処からともなく現れ大根を包みこみ、侍だいこんになったのだ。


 あっけに取られてた所に、まるでどこぞの薩摩武士の如く猿叫を上げながら飛びかかってきたのには流石にバンカーもしりもちをついてしまった。


 そこは普通に佐伯がカバーに入り山田とレヴォリューションが秒殺したのだが、その実力は間違いなくレベル3付近に居るモンスターそのものだった。


「レベル3の大根とか・・・頭痛いんだが」


「そのうちレベル4のじゃがいもとか来そうだなぁ」


「そんなこと言うと本気で―――」


「モンスターが来るぞ!!」


 アクセルの怒号に全員の思考が戦闘に切り替わった。普段のんびりとしていても彼等は熟練のプレイヤーなのだ。それぞれがソウルギアを構え敵を注視する――


 そこには両の片手にそれぞれ大漁旗を持ち、細長い足の先には巨大なブーツが輝き、背中のは産地直送と書かれた旗を括りつけ胴体にらくがきの様な表情が描かれたじゃがいもが現れた。


「・・・レヴォ君が変なこと言うから・・・」


「え? 俺の所為なのか?」


 疲れたような表情で言うバンカーに汗を流しながら弱く反論するレヴォリューション。


「とりあえず倒そうぜ・・・?」 


 こちらもこちらで気が抜けた山田がハルペーを軽く振るい衝撃波を放った。


 物理属性を持つ斬撃がじゃがいもに襲い掛かるが、らくがきの顔が【フッ】と馬鹿にしたような表情に変わるやいなや、ばさりと大漁旗を振り翳し衝撃波を旗で包み込んでしまう。


【DASHIEKAO-----!!】


「のわぁっ!?  あぶねぇ!?」


 そのままばさりと振り下ろした大漁旗からはなんと、山田の放った衝撃が更なる威力を持って跳ね返ってきた。


 咄嗟に回避に成功したが、じゃがいもは両の大漁旗を目の前でバツ印の様に構え突撃してくる。目指すは佐伯を無視して攻撃してきた山田だ。


「させるかぁ!」


【ININA!?】


 じゃがいもの突撃を佐伯が同じく腕をクロスして受け止める。凄まじい衝撃が佐伯を襲うが同時に足を地面にたたきつけることで衝撃を地面に逃がすというよくわからない芸当で衝撃をやわらげ、そのまま押し出した。


 押し飛ばされたじゃがいもは空中で3回転半ひねりをしながら地面に着地する。ギャグか何かかと言いたくなるが、残念なことに相手の力量はレベル3以上の物だった。


「こいつら・・・強いぞ!?」


「って、あれ!?」


 バンカーが指差すと、じゃがいもの周りの地面がぼこぼこと蠢いているのが見える。そして急激にせりあがると、やはり大漁旗を両手に1本ずつ構えたじゃがいもが複数体現れた。一部じゃがいもというよりはサツマイモもいるが些細な問題である。背中の旗に【甘味はメロンの30倍】とか書かれているが気にしてはいけない。


「存在がギャグみたいな奴の癖に、強いとか・・・最近のディザスターおかしいだろ!」


 がなり立てる山田。


 勿論ハトメヒトの事を言っている。トンチキ過ぎるモンスターが出て来てもある程度落ち着いていられるのは彼女のお陰とも言えた。情緒がおかしくなりそうだが何とか戦える精神状態を維持できている。


 その隣ではアクセルが全体を注視して見まわす。まだ伏兵が現れる可能性もあるので、最悪は一度下がるかと考えていた所、じゃがいもたちの奥の方、余りにも不釣り合いな螺旋階段を発見した。


 今まで見かけた次への階段は何の装飾もされていない普通の階段だったが、目の雨のあれはどう見てもそれなり以上に装飾が施され、異様な気配を感じる。そして急遽現れた強敵。じゃがいもとはいえかなりの強敵が出てきた事を考えれば、可能性として考えられるのは一つ。


「全員でこいつを倒すぞ! この奥にボスへ続く階段がある! 油断せずに全力を出せ!!」 


「成程、見た目はともかく中ボスって奴かい」


 レヴォリューションがソウルギアで強化した武器を構えた。


 周りでもそれぞれが戦闘態勢をとる。


 目の前のじゃがいもたちはらくがきの様な顔をぐにゃりと歪ませ、意味不明な言葉を放つ。


【BUUSYONIUZYONNZIZAISHIYOYAIKINOSO!!!!】


【AAAAAATASUMANNSEGYOMOIGAZYAHASOKOREWAYAYAYA!!!!】


【TELTUSUNAEKAHIO!!】


 怒号?が響き渡る。


 最初に動いたのはバンカーだ。


「あああああああああああああああああ!」


 チャージを終えたマキシマムバンカーの一撃を目の前のじゃがいもに叩き込む。

 

 だがその一撃を間一髪横に転がる事で回避するじゃがいも。空を切ったマキシマムバンカーは凄まじい轟音と共に巨大な杭が衝撃波を放ちながら飛んでいく。


【ISYOLTUWA!!】


「っ! うわぁあああっ!」


 横薙ぎに払われた大漁旗が隙だらけのバンカーの横腹に食い込んだ。脇腹の骨の砕ける音を感じる間もなく、そのまま薙ぎ払われ吹き飛ばされる。


 意識はまだ失っていなかったので、地面にマキシマムバンカーを突き刺す事で威力を抑え吹き飛ぶのをある程度抑えたが、直ぐに立ち上がるのが難しいレベルのダメージを受けてしまった。


 チャンスとばかりに追撃を掛けようとするじゃがいもだが、佐伯が猛スピードのタックルを仕掛ける。


【AAAAAAAAGA!!】


「それ以上やらせるかよぉ! 【メガブレイカー】!!」


 右手にエネルギーが集中し青白い稲妻がスパークした。ソウルギアにあらかじめ刻まれたその一撃は少量の生命力と精神力を消費する事で、Sレアクラスの攻撃スキルに匹敵する強力無比な一撃を放つ。


 大漁旗で防御しようとしたじゃがいもだが、それよりも早く光速の一撃がらくがきの様な顔を貫き吹き飛ばした。地面にたたきつけられ、更に全身が焼け焦げていく。


「新島さん! バンカーをたのんます!」


「任せろ!! 後油断するな! そいつまだ倒れてないぞ!!」 


「っ!! やるじゃねぇか・・・じゃがいも野郎!!」


 吹き飛ばされ胴体を穿たれたじゃがいもだが、地面に大漁旗を突き刺しゆっくりとだが立ち上がる。見た目からは想像も出来ないほどの威圧を放ちながら、そのじゃがいもは更に咆哮を上げた―――


 

―134話了


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ふかしいも・・・たべたかったんです ※等と供述しており

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