第100話 ポイントバブル、あわわわわわわわ

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今日も閲覧ありがとうございます。今日でついに100話

漸く100日の毎日投稿が達成したという事ですね、まだまだ先は

長いですが頑張っていこうと思います。

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 合体トランスブーストについてはあれから10分後に自動的に解除された。それは助かったんだが、そこからが問題だった。


 俺もサイレーンも解除された途端に全く動けなくなったのだ。意識は失わなかったが、全身の力が入らない感じでなんにもできない状態になっていた。サイレーンは流石に一度解除して休ませる事にしたが、俺はそうはいかない。


 ミッションも終了し他のプレイヤーに万が一狙われでもしたらと言う事で俺達は急いでセーフハウスに戻る事になった。


 まさかこの歳になって誰かに背負われて移動する事になるとはな・・・正直恥ずかしいが、こればかりはどうしようもない。因みに運んでくれたのは佐伯少年である。力持ちだからな、仕方ないな。


 色々あったラストミッションだったが、これで次のシーズンまでの半年はミッションがない、暫くの間の命のやり取りがない時間を手に入れた。


 プレイヤーキラーについての問題もあるが、俺達というか流川を目の敵にしていたリジェクションはもういないからな。強いて言えば仕事で流川を襲ったプレイヤーキラーだが、そちらも依頼者は多分リジェクションという事で、暫くは大丈夫だと思う。


 不可思議なレイドボスから始まってイベントが多すぎたミッションだったが、なんとか俺と俺の仲間達は全員生き残ってくれたのが嬉しかったよ。


 リジェクションがレイドボスになった時、あっという間に10人以上のプレイヤーが殺されたからな。あの中には俺達に匹敵する様な奴もきっといたかもしれないのに、それでも簡単に死ぬ。俺達もあのソウルギアが守ってくれてなかったらこの場所にはもういなかった。


 本当に、これからが忙しくなりそうだ。


 






◇◆◇◆◇◆◇◆








―翌日



 結局その日は全員疲れ果てて泥の様に眠ってしまった。


 俺の方も少しは回復出来てようで起き上がって動く程度には回復している。朝方にサイレーンも召喚したが、彼女も全快には程遠いが普段の生活位は問題ない様だ。


 佐伯少年とバンカーはあの状態でもリアルをちゃんと優先出来たようで、一度ここに戻ってきたあと流川に送られてそれぞれ自宅に帰っている。


 ハルペーはアクセルが連れてきたのと一人暮らしという事で、暫くはここで過ごす事にしたようだ。朝からポイントを使って何をしようかと元気いっぱいで羨ましいことだね。


 サイレーンも彼女達の自室で回復中らしい。しきりに「マスターと合法的にイチャつけるチャンスがうごごごご」とかやっててテルクシノエーが呆れてたとかなんとか。あいつらしいよ本当に。


「御堂君、体の方は大丈夫ですか?」


「あぁ、体が少しだるい以外は問題ないな。多分あれを使うと体力やら気力やら全部消費するって奴なんだろ」


 今俺は自室で休んでいる。


 飯はテルクシノエーが持ってきてくれたのでちゃんと食べている。体がだるいだけで食欲とかは普通だったので問題なく食べる事が出来た。あいつの料理は美味いからな食べる余裕があってなによりだ。


「成程、スキルにはそういうものを多いと聞きますからね。ですが一応、病院で見てもらいましょう」


 病院か・・・仕事してた時はインフルやらの予防接種とかそういう時以外行った事ないんだよな。馬鹿は風邪ひかないというか、病院にかかるほどの病気にはこれまでかかった事がない。


 そのせいか病院に行くというのがちょっと億劫なのだが、今回ばかりはちゃんと言っておくべきかねぇ。しかしスキルでおかしくなりましたとかは言えんし、そこは道後鎌したもんか。


「何にせよ・・・終わったなぁ」 


「そうですね。御堂君はほぼ終わりからの参戦でしたが、大変でしたでしょう」


「寧ろ何回も死にかけたわ」


 クソみたいなデスゲームに巻き込まれたせいで俺の人生は急転直下。


 小さい頃に憧れたものが沢山あるとはいえ、今更この歳でこれは本当にきついもんがある。だが、後悔はしてない・・・なんて言えないが、あの時に戻れ、とも言いにくい。


 巻き込まれた結果、サイレーン達に出会えた。


 彼女達に出会えた事はこのクソッタレなゲームの中で唯一、嬉しいと思えた事だ。もし彼女達をすべて失う代わりに、あの日に戻れてこれを回避できると言われても、俺はそれを断るんだろうな、と思うほどには。


 それに仲間も出来たしなぁ。今更やりなおしとかは出来ねぇよ。


「所でアクセル達の姿が見えないんだが?」


「アクセル君は自室でレベル上昇と蘇生薬を使うことを考えるので籠るそうです」


「そうか、上手く蘇生できるといいな」


「リバティさんはまだ起きてませんね。スピネルさんとハルペー君は同じく自室です早くの朝食を食べてそれぞれレベルアップや必要な事をするそうですよ」


 レベルアップか・・・そう言えな4万ポイントももらえたんだよな。ほかにもチケットも貰えたし、このポイントはレベル上げとスキル上げに使わせてもらうか。


「流川もレベル5にするのか?」


「えぇ、このままでは地力で劣りますからね。レベル5になれば一握りの上位陣に入れるそうですし」


「レベル4の時点で十分強いしなぁ」


「まだまだですよ。小賢しく戦っているからそう見えているだけです」


 その小賢しい戦いってのが実際にはそうできるもんじゃないんだよ。


 命を懸けた戦いの中で冷静さを保ち続けて、自分の命もベットして出来る限りの最善を尽くす・・・なんて言うのは簡単だが、俺には絶対できる気がしない。


「頼りにしてるよ、次のシーズンもな」 


「えぇ、僕の方も御堂君を頼りにさせてもらいます」


 こいつの言葉はその場凌ぎの出まかせじゃあないからなぁ。


 期待が重いというかなんというか。


 だが、頼られたからには頑張らなくちゃあねぇ。そうじゃなきゃ男が廃るって奴だろう。


「でだ・・・俺もレベル4にするつもりなんだが・・・」


 俺が神妙に答えると流川も俺が何を言いたいのか直ぐに察する。


「やっぱり・・・増えるよな?」


「おそらくほぼ100%で増えると思いますよ? 武器が増えるソウルギアは1レベルごとに増えると聞きますからね」


 サイレーン、テルクシノエー、ミューズと来て、レベル4になったら次は誰が来るのか、まさかの男が来たらどうしようと思うが、それはそれで友人や親友にはなれると思いたい。絶対にアッチのケの奴は出てこないでほしい、俺はノーマルなので。


 新しい子が増えるのは嬉しいんだが、現在の4人でも割といっぱいいっぱいなのに俺に制御しきれるんだろうかとも思う。


 まぁ、あいつらは基本的に俺を立ててくれるし、いい子ばかりなんだがな。強いて言えば全員肉食系ってだけで。俺、次のシーズンまでに食われるんじゃなかろうか・・・


 いや、俺としてはあんな子に好かれるのは嬉しいし、そういうのも割と大歓迎なんだが、こう心の猶予ってのが欲しいんですよ、伊達に恋人いない歴=年齢じゃねぇよ。


 佐伯少年やハルペーが俺を見て羨ましいだの嫉妬のエネルギーだの言ってるが、大変なんだぞ? 


「また増えたらその、すまんが色々頼む」


「大丈夫ですよ、部屋はまだ空いてますし。いっそ全員同じ部屋なんて?」


「やめて? やめて!?」


「ははは、冗談ですよ。さて・・・もしよかったら聞かせてもらえますか? 昨日のあれについて」


 ニヤリと笑った流川だったが、直ぐに真剣な表情に切り替わる。


 聞きたい内容はトランスブーストについての事だろう。俺も流川には聞いてもらいたかったので直ぐに内容を話す事にした。


 あのタイミングで女神ハトメヒトの声が聞こえてきた事や、トランスブーストというスキルがただの一点物スキルではなさそうだと言う事。


 前にしようした時に夢か何かで出てきた奴の事や、ハトメヒトとの関係。


 あいつがレイドボスとして出てきた理由など。


 正直説明するのは苦手なので、ところどころ詰まったりしていたが、なんとか全てを伝えられた。


 全ての説明を終えると流川はしばらく考えてみたいと部屋に戻っていった。


 俺も話疲れたから一眠りしようかと思ったが、コンコンと遠慮がちにドアが叩かれる。


「開いてるぞ?」 


 俺がそう言うとドアが開く。入ってきたのはリバティだった。


「だ、大丈夫かケーキ屋??」


「あぁ、ちょっとだるいだけだ。あのスキルは要検証だな」


 合体出来るのがサイレーンだけなのか、それとも全員出来るのか? もしくはソウルギア全員とも合体できるのかと、試さなくちゃいけない事は沢山ある。


 時間は出来たんだしゆっくり検証していくつもりだ。何にせよ試すのはレベル上げてガチャひいて、スキル上げてからになるけどな。


 あー、髪の毛伸ばすかなぁ。


「そ、そか・・・よかった。あ、ここ座っていいか?」


「好きにしていいぞ?」


「ん・・・」


 リバティはそう言うと近くにあった座布団の上に座る。

 

 普通に胡坐をかいて座ってる所がリバティだなぁと思えてなんとなく笑ってしまった。


「な、なんだよぉ・・・? な、なんか変か?」


「い、いやなんでもねぇよ。で? どうしたんだ?」


「・・・・あ、あのさ・・・昨日」


 目をあっちこっちに動かしているリバティ。コミュ障だからなぁ、会話するのも本来は難しいだろうに、俺には最近段々と遠慮が無くなってきたが、仲良くやれてる証拠なのかもしれんね。


「・・・か、庇ってくれて、あ、ありがとね・・・」


「あー、あれか。気にするなって。結局あのソウルギアが助けてくれなかったら意味なかった行動だしなぁ」


「で、でも。私をかばってくれただろ・・・そういうの、いままでなかったから」


 コミュ障ってのは生来のものって訳じゃあない。生活環境や対人関係がうまくいかなくてなるものだ。俺も俺でコミュ強って訳でもないしな。そう言うのは佐伯少年とか流川が割と当てはまる。


 サイレーンとクレアにショコラ辺りはコミュ強者だな、間違いない。


「・・・・未来」


「ん?」


「片桐未来・・・わ、私の本名・・・ケーキ屋は御堂・・・なんていうんだ?」


「みらい・・・か。あ、あぁ、俺は、友樹。友樹だ、基本誰も呼ばないんだけどな」


 前に働いてた場所でも大体御堂としか呼ばれてなかったしなぁ。


「しかしまたなんで急に?」


「ぁ、えーとその・・・こ、これからシーズンオフ、だろ? 流石にま、街中までリバティとケーキ屋は、ダメだと思って」


「そりゃそうだ」


 思えば流川と佐伯少年以外、誰の苗字も知らなかったな俺。それでどうにかなる状況だったし、リアルと分けてたってのもあるが。


 片桐未来・・・か。


「良い名前だと思うぞ?」


「そ・・・そうか? そか・・・」


「後は名前負けしない様に頑張るしかないな」


「うあー! そこでそれを言うなよー!?」


 がー! と騒ぎ出すリバティ。片桐を見て漸く束の間の平和を手に入れたんだと俺は少しだけ心が楽になった。



―100話了


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ついに100話を突破出来ました。

これも偏に見て下さる皆さんのおかげです。

これからも頑張っていきますね。

リバティの本名、どこかで書いた気がするけど思い出せないあさねこ

もし違ってたらご指摘のほどを(人任せ

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