第82話 予想外過ぎて、本番前に狼狽えるってありますよね

今日も閲覧ありがとうございます。

日々ネタがないので、脊髄反射で言葉を探して羅列して文章にしているあさねこです。

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 ミッションを明日に控えた今日、夜に全員で集まる事になった。


 集合場所は流川のセーフハウス、という訳にも行かないので深夜でもやっている料亭に全員が集まる事になった。


 車を走らせて目的に付くと既に他のメンバーも待っていた様なのでさっさと店の中に入る。結構いい時間だが、この店は23時位迄はやっているそうなので問題なかったそうだ。


 プレイヤーもこれだけいると壮観だが、大多数は家のメンバーが占めてる、というか俺のソウルギアが人員圧迫している。顕現召喚しているので、入店した時に店員や客が大体にしてテルクシノエーをガン見していた。


 そしてそこからぞろぞろと出てくる美女や美少女、何の集まりだと言わんばかりだが気にしないでほしい。


 俺達は店の一室を借りてそこに集まっている。


 まずは俺と俺のソウルギア。


 流川とジェミニ。


 佐伯少年とスピネル、アクセルとリバティ。


 アクセルが連れてきたハルペーとバンカー、あと坊さん・・・羅漢と言うらしい。このメンバーの中で普通に坊さんの格好で来たもんだからどよめきも酷かったな。


 折角こういう店に来たのだからと、料理も既に頼んである。酒は無しな。これから大事な話があるのに酔っぱらってられん。


 と言うより未成年も少なからずいるしな。佐伯少年は高校生だし、スピネルとバンカーはまだ中学生だ。スピネルはともかくバンカーをこんな時間に呼び出して大丈夫なのかと思ったが問題ないようでなによりだ。まぁ、そうでなくては夜のミッションなんて参加できないだろうしな、どうにかやってるんだろう。


「ふむ、前回の功労者に呼んでもらえるとはプレイヤー冥利につきる、かな」


「あー、羅漢さんでいいか?」


「構わないよ、今日はいい話を持ってきてもらって感謝している。俺も次のミッションで悩んでいてね」


 運ばれてきた料理をつつきながらそれぞれから話を聞いている。彼等も今回のラストミッションは出来れば一緒に戦えるプレイヤーを求めていたらしい。


 羅漢は知り合いであるガーディアンを誘おうとしていたのだが、どうやらマスターが重い風邪になってしまったらしく、今回は非参加になったそうだ。彼女、いや彼女のマスターはソウルギアであるガーディアンが基本全てのミッションに参加しているので、今回の1回程度は休んでも問題ないらしい。


 彼女には前回も前々回もと世話になったんで出来れば誘いたかったが、あの位の子供の病気ってのは無理をさせれば悪化してしまうからな、今回は諦めるしかないだろう。


 ハルペーはレベル2らしいがアクセルがお墨付きを出すほどには強いらしいので俺としては問題ない。今は一緒に戦える仲間が多い方が良いからな。プレイヤーキラーの事もあるからな。


 バンカーはアクセルと連絡を取り合う様になっていたようで、実は既にちょくちょく連絡はしあっていたらしい。なので今回の誘いは即OKだったそうだ。アクセルもアクセルでこの辺りのプレイヤーに結構顔が広いよな。


「でだ。そろそろ俺にくっつくのやめようぜ?」 


「あぅあぅあぅあぅ・・・」


 青い顔で俺の傍から離れようとしないリバティ。最近はスピネルや佐伯少年、流川にはある程度普通に接する事が出来る様になっていたが、やはり他の人が来ると全くダメらしい。コミュ障+対人恐怖症だから仕方ないっちゃ仕方ないないんだが。


 一応アクセルにも朝のあいさつ程度は出来るが、それ以上は無理との事。ソウルギアであるサイレーン達なら結構余裕で会話出来てるんだがな。あとゲーム中はそっちに集中してるのか、本来の性格っぽい賑やかな所が出ている。


 既に各々話し相手が出来ているようで、羅漢は流川や佐伯少年、スピネルと。アクセルはバンカーとハルペーとそれぞれ楽しく談笑している。


 俺? 俺はリバティのお守りですよ。ガーディアンが来てれば少し位話す事もあったが、今回未参加じゃあ仕方ないよな。


「まったく。もう少し慣れる練習をしなさい」 


「でもテルクシノエーのかーちゃん」


「誰が貴女の母親よ・・・」


 家の家事をほぼ一人で担い、基本的に人当たりの良いテルクシノエーにはリバティも結構懐いている。だがかーちゃんはないだろうかーちゃんは。確かに家で家事をしている姿は若奥様って感じがして素晴らしいが。


 サイレーンは年ごとの娘でクレアとショコラはギャルになった姉? スピネルが末っ子でアクセルが兄貴分って所か。意外と家族っぽいな。


「そうだよ? テルクシノエーはお母さんっていうよりはママの方があってると思う」 


「サイレーン??」


「かーちゃんじゃ肝っ玉系になっちゃうし、こう背徳感溢れるママってのも良いと思うんだ」


 あぁうん、わかる。


「ご主人様も頷かないで下さい!?」 


 顔を真っ赤にして否定するテルクシノエーが可愛い。


 ぼそっと「でも、それなら旦那様はご主人様で・・・」とか言っちゃうのが更に可愛い。なんだよこれ最高かよ? 


「うー・・・で、でもこれだけ居たらなんとかなりそうだよな??」


「なりそうっていうか、しなくちゃいけないんだけどな。頼りにしてるぞ?」


「う、うん頑張る。あ、でもちゃんと守ってくれよな?? 私弱いんだから」


「俺は基本前に出るから、サイレーン達から離れない様にしててくれ。何かあれば教える感じで頼む」


「そ、それくらいなら任せろっ」


 我が意を得たりと言わんばかりに満面の笑みで頷く彼女。後列で応援するだけでいいのが嬉しいらしい。まぁ、リバティに正面切って戦えとは流石に俺も言えないからな、基本的に戦闘が全然だめだったし。一応ソウルギア展開しての鍛錬もやってみたんだが、完全後方支援のサイレーンにすら体術で負けたからなぁ。


 まず攻撃時に目を閉じてるから接近戦は無理だし、後列で射撃を任せるしかないんだがそれならマシン・ザ・リバティの力を使って武器のバフを随時かけてもらったり周辺を見てもらってる方がよほど役に立ってくれる。


「テルクシノエー、サイレーン、ショコラは悪いけど、これ頼むわ」


「これっ!? ケーキ屋が私をコレ扱いした!?」


「寧ろこれ扱いで済んでよかったと思いなさい」


 戦力として期待出来ないリバティをそれでも参加させてミッションをクリアさせてやろうとしてるんだから、精いっぱい頑張ってもらわんと困る。


「リバティは戦闘よりそれ以外のネット関連の方が役に立ってくれるからなぁ。出来ればそっちオンリーで居てもらいたいんだが」


「私も出来ればそれがいいんだよなぁ・・・でも参加しないとやばいし」


「とりあえず今回のミッションが終われば次のシーズンまでは開くんだ。それまでは必死に頑張れ、俺達も何とかしてやるからさ」


「・・・え? シーズン終わったら解散するのか・・・?」 


 先ほどまで笑顔だったリバティの表情が急に曇っていく。


「なんでそうなる。自分から離れない限りは俺達はこのメンバーでやっていく予定だよ」


 いつまでも流川のセーフハウスに厄介になる訳にはいかないから、ポイントがたまったら俺は俺でセーフハウスみたいな所を買う予定ではいるが、それもまだまだ先の話だろうし、暫くは流川の所に厄介になる事になるだろうな。


 アクセルは俺にポイントを返し切るまではずっと俺達と一緒に居るって言うし、スピネルは流川から追い出されない限りはずっと流川の所に居るだろう。佐伯少年は高校卒業したら、流川のもとで本格的にプレイヤーとして戦うつもりらしい、一応カバーストーリーらしいものを作って、家族には表向き普通の仕事をしてるって事にするそうだ。


 リバティはリバティで彼女が望むなら好きにすればいいって感じだな。


「そ、そか・・・よかった」


「リバティ。実はヒロインキャラ狙ってる・・・??」


「なんでだよ!?」


 サイレーンに言われて声を荒げるリバティ。


「ま、また一人になったらミッションを頑張れる気がしないし、き、気心がしれてるケーキ屋やみんなとなら次のシーズンも、ほ、ほら? 頑張れそうだしさ」


「ふーむ、どう思いますか現場のショコラさん」 


「そうですね、まーちゃんに対する好感度の高さがひしひしと伝わってくるかな」


「やはりそう思いますか。クレアさんはどう思いますか?」


「あんた等なにやってんの・・・?」


 どこからともなくマイクを取り出してインタビューっぽい事をやり始めるサイレーンとショコラをクレアがこれ以上無いほど白い目で見ている。その凍てつくような瞳はまるで絶対零度だ。


 あの目で見られたらリバティじゃなくても怖いな。現にリバティはまた情けない声を出しながら俺にひっついてくるし。


 にしても俺の周りに女性しかいない。眼福だし嬉しい状況でしかないんだが、少々居心地が悪い。これを素で気にしないハーレム主人公のメンタルってどうなってるんだろうな。俺は目のやり場にすら困ってるんだが。


 アクセル達に混ざりに行きたいんだが、そうするとリバティが更に怯えるから動こうにも動けないんだよなぁ。


「シーズンがおわったらあれだな? リバティのメンタル強靭化計画を立てるか」


「マスター。人間には出来ない事ってあるんだよ・・・?」


 俺の肩をぽんと叩いてフルフルと首を振るサイレーン。


「私のメンタルってそのレベルなの!?」


 サイレーンに諭すように言われた俺の姿を見て驚愕するリバティ。


 うん割とそんな気がしてるよ。だが一応ゲーム辺りを交えていけばそう言うのが大好きなリバティなら上手く会話とか出来る様になる気がするんだよな。俺に対しては普通に話せるようになったのもゲームアプリの話のお陰だし。


 アクセルと佐伯少年はやってないのでこれは論外である。流川は俺が誘ったから少しやってたみたいだが、その程度じゃリバティの食指は動かない模様。


 「低レベルには用はないから」とドヤ顔でのたまってたのでついデコピンしてしまったが、あのドヤ顔に対してのデコピンは割と許されてもいい気がする。


「ご主人様に対しては普通に話せるようになってきたし、私達ならある程度大丈夫、そこから少しずつ慣れて行くしかないわね」


「てかリバティって男性だめだよね? ごしゅ以外の男に全く近づかないじゃん」


「あー、流川さんもだめだったね」


 最初の時は流川に縋りつく勢いだったみたいだが、今は流川に対しても普通のキョドってるんだよな。あの目の動き方とぎこちなさはまさしくコミュ障の人間そのものだった。相手がアクセルだと雰囲気が怖いんですぐ逃げだすんだよな。流川はその辺対応が優しいからある程度は持つが、直ぐにだめになるし。


「まーちゃん愛されてるぅ♪」


「懐かれてるとも言うね。ほら、猫みたいな感じ??」


「違うからな!? そういうんじゃないから!? ケーキ屋! 違うからな!?」


「そこまで否定されるとそれはそれで悲しいんだが??」


「うぇ!? べ、べべべ、別にき、嫌いって訳じゃあないぞ!? ケーキ屋はほら、ゲームとか一緒にやってくれるし、優しいし、見た目怖いけど見慣れてきたし・・ケーキ美味しいから・・・と、友達! 友達だな!」


 何だろうなこの可愛い生き物。


 あたふたしてる姿を俺達全員が生暖かい目で見てる。出来れば彼女を死なせたくはないな。


 俺は少し笑みを浮かべた後、リバティの頭を・・・グリグリし始めた。


「あだだだだ!? け、けーきやぁ!?」


「見た目怖いは余計だ。こいつは愛の鞭である」


「よーしごしゅ、あーしの鞭使う?」


「や、やめろぉーーーー!?」


 明日、明日の戦いが終われば暫くは安全だ。


 その為にも全員で生き残らないとな。


 

―82話了




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次回よりついにシーズンラストのミッション開始です。

レイドボスバトル。果たしてどうなるでしょうか?

プレイヤーキラーリジェクションは、ディーヴァは来るのでしょうか?

あさねこは特に考えてないので、明日の執筆時に考えます。


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