第71話 フライドチキンって食べると幸せになるよね。

今日も残業でした、そろそろRTAが失敗しそうで怖いです。

そしていつも皆さん閲覧ありがとうございます。沢山見てもらえて

とても嬉しいです。これからも頑張らないとですね。

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 謎のゴスロリ少女に連れられてフライドチキンの食べ放題にやってきた俺達。

 

 奢りなのは有難いんだが、俺はともかく彼女はこれからたくさん食べても大丈夫なのかと聞いた所、ちゃんと食べないと全力が出せないんです、兵糧は大事とか言っていた。君はこれからどこに何しに行くんだ・・・


 出てきたフライドチキンは様々な形でどれも美味しそうだ。俺は足の骨付き肉であるドラムが好きなんだが、あんまり賛同者はいなかったんだよな。俺はあれの高級感が結構大好きなんだが、仕事場の同僚曰く「量が少ない」「骨が邪魔」と散々な評価だった。


 俺としてはその骨付き部分の肉が美味いんだがなぁ、軟骨とかもコリコリしてて美味いしさ、お陰で取り合いにはならないんだけどな。


「お兄さん遠慮しないで良いんですよ? ほら、これ大きいです」


「遠慮なんかしてないって。俺はこの部位が好きなんだよ」


「なん・・・ですと・・・? 大丈夫ですか?」


「なんでだよ!?」


 何故好きな部位にドラムを選んだだけで心配されなくてはいかんのか。


 そんな彼女はサイ(腰)を美味しそうに頬張っている。


 改めてみると絵面が凄いな・・・見た目神秘的なゴスロリ少女がフライドチキンを食べている光景。ふと辺りを見れば客達がチラチラとこっちを見ているのが分かる。


 みせもんじゃねぇぞ? と少し細めで見てやると驚いたように振り向くのをやめた様だ。


「ん~。やっぱり美味しいですね。あと、別に気にしてないですよ?」


「そうか? まぁ、いいんだけどな」


 というか俺が客を牽制してたの気づいてたのか。察しが良いんだな。


「見られるのもわかっててこんな格好してるんですしね。これで見るなってのは通らないですよ」


「あー、そんなもんか」


「はい、そんなもんです」


 そういうと再び次のフライドチキンに手を伸ばしていく。


 食べる度に嬉しそうになる表情を見ればとても美味しいんだろうと思えるな。


 俺も次のフライドチキンを手に取って食べる。うん、やはり美味いな。俺はケーキ好きの甘党だが、こういうのが嫌いって訳じゃあない、寧ろ大好きだ。とはいえ体の事を考えてあんまり食べる事は少ないんだけどな。


 まだ30前ではあるが、それでも成人病ってのは容赦なく襲ってくる。酷い話になると小学校位の子供の時点で糖尿病になるって話も聞いたからな。徹底的にとは言わないが、ちゃんと節制はしてるんだよ。それでなくてもケーキはかなりの頻度で食べてるからな、糖分はかなり気を付けている。


 今だとテルクシノエーがその辺りの食事バランスを考えて料理してくれてるから本当に助かってるわ。後は間食さえしなけりゃ食べすぎておかしくなることもないしな。


「あ、そうそう。改めてありがとうございました。あそこでお兄さんにエンカウントしなかったら他の場所で道に迷ってたかもしれないです」


「地図アプリ使って道に迷うってのは相当だよなぁ」 


「天は人に三物を与えないって本当ですね。僕にも可愛さと愛され体質以外は手に入らなかったようです」


「それを言うなら二物なんだが・・・まぁ、可愛いのは確かだな」


 俺の目の前にいるゴスロリ少女は100人人が居れば80人以上は可愛いとか可愛らしいとか言うほどの美少女だ。顔も整ってるし鼻筋も綺麗だ、目は赤いがカラコンでも入れてるんだろうかね。見た目と相まって日本人離れした魅力がある。


 周りの客達、特に男連中がチラチラとみてるのも物珍しいとか、こんな場所にゴスロリが? とか以上に美少女を見て目の保養をしてるって感じなんだろうな。


 一部彼女連れ? の男がそのせいで言い争ってる姿が見えたが自業自得である。


「何にせよ食べ終わったらコンビニまでは送ってやるから、そこからは色々聞いてみてくれ」


「ですねぇ。そこまでついたら目的地は結構有名な所ですから大丈夫ですよ」

 

「そうか、そりゃあよかった」


「はい、お兄さんのお陰です、あむ・・・うん、美味しい♪」 


 後はお互いに食べる事に集中した。


 折角の奢りで食べ放題なんだし、ここは沢山食べておくべきだろう。元々昼は適当にコンビニでおにぎりでも買おうかと思ってたからな。人助けして美味い食い物が食べられるのなら、美味しく頂かなくては損だ。


 次に手に取ったのはウイング。


 こいつも少々食べにくい部分だが、その分勿論味が凝縮されて美味いんだよな。後この部分は事務員のおばちゃん方に人気だったわ。なんでもコラーゲン云々とかで。俺はその辺に気にした事ないんだけどな。


「んー、やっぱりキールが一番美味しいですねぇ」 


「その部位は人気だよな、俺も割と好きだ」


 キールは胸部分の肉だ。聞きなれないかもしれないが分かりやすく言うと鳥の胸肉部分の事だな。なんでもフライドチキンの部位で一番人気が高い部位らしい。俺の大好きなドラム部分は一番人気がなかったが・・・


「おー。分かってるじゃあないですか。軟骨部分も美味しく食べられますし、ジューシーさとあっさり目の味もいいですよね」


「わかるわかる」


「ちなみにリブは苦手です。食べ辛いですしちょっと脂っこいんですよねぇ」


「通りでパクパク食べてる割りには手を付けてなかった訳だ」


 リブ(あばら)部分は好き嫌いが別れる部分だな。あの脂っこいのが好きだって人もいるし、彼女の様にそれが苦手って人もいる。後あばら部分だから骨も多くて、食べ辛いって人もそれなりにいるようだ。


 俺は好きな部分だがな。てか全部分大好きなんだがね。その中でドラムが一番好きなだけって事で。


「という訳でこの部分はお兄さんにフォーユー」


「ええぃ掴んで渡すな。食べるから」


「可愛い僕に手ずから渡されるって嬉しいイベントだと思いませんか?」


「思いませんね」


「えー」


 まったくこの少女は、割と悪戯娘だなこれは、確信犯的ににししと笑っている姿もこれまた似合っているのが小憎らしい。


「そだ。お兄さんってケーキ作れるんですね~。パティシエの人なんです?」 


「いや、単純に趣味だな。とはいえプロに負けないレベルには美味しいケーキが作れる自信があるぞ?」


「いいなー。僕甘いのも好きなんですよねぇ」


 うむ、女性は甘いもの好きが多いからな。やはり甘味は世界を救うのだよ、特にケーキがあればみんな笑顔。誕生日にはケーキ、クリスマスにもケーキ、いっそ正月だってケーキを食べればいいと思うんだ。というか俺は食べてる。


「お兄さん、ここは僕に今からケーキを作るべきですよ? 好感度が2点上がります」 


「そんな時間ある訳ないだろうに。後2点ってなんだよ、最高点はいくらだよ?」


「5000点で僕と手を繋げますね」


「どういう計算なんだよ」


 この愉快すぎるゴスロリ誰か何とかしてください。会話してるだけで笑えてくるんだが?


「あ、そろそろなくなる。お兄さんお替りはいかが?」


「あー、もう少し行けるな」


「ですよね、そう言ってくれると思ってました。どんどん行きましょう!」


 そう言うやいなや皿を持ってチキンを取りに向かって行った。

 

 こりゃ結構長丁場になりそうだ。











「もう食えん・・・」


「いや~、美味しかったですね。デザートのソフトクリームも頼んじゃいました」


「俺以上に食ってたのによく入ったなそれ・・・」


「甘いものは別腹、良い言葉ですよね」


 腹ごなしがてら目的地のコンビニまでのんびりと歩いている俺達。


 結局俺達は制限時間一杯まで食べてだべっていた。


 お互いに馬鹿話や軽い世間話をしつつ、気が付いたらあっという間に時間になっていたのだ。彼女の会話は色々楽しくて、結構聞き入ってしまったが、時々突っ込み所も多くて、それが更に会話を賑やかにさせていた。


「しかし悪いな奢ってもらって」


「いえいえいーえ。道案内してくれたんですし、僕も食べたかったんですから気になさらずに」


「後ろ向きに歩くなって、転ぶぞ?」


 俺の方を向きながら後ろ向きに歩く姿が様になっている。


「はーい。うーん、気遣いの人ですねお兄さんは」


「当たり前の事だろ、周りに人が居たら迷惑だしな」


「おっと、そうでしたね。では隣同士で歩きましょう!」


 既にコンビニの看板は見えて来ている、あと少し歩けば目的地に到着だ。


 ちなみに今現在を持ってお互いに自己紹介とかはしていなかった。なんと言うかナンパみたいな感じがして聞きにくいって言うのもあったし、相手も聞いてこなかったからこれはこれでいいのかもしれん。


 たまに聞く一期一会って奴だな。楽しい時間を過ごさせてもらったし、腹も膨れたし、悪い時間じゃあなかった。


 そんなことを考えているうちについに目的地のコンビニに到着する。


「あー、ついちゃいましたね。残念ですがデートはここで終わりです」


「デートではないがな」


「おお、最後までつれないなー、もしかして彼女います?」


「いたらつれて来てるんだよなぁ」


 彼女と言うか、家族に等しいソウルギア達はいるんだがね。


「おや、見る目ないですねー。お兄さん髪の毛生やしたらいい感じにワイルドで格好良さそうですのに」


「髪の毛なぁ・・・ちょっと考えてたがそろそろ剃るのやめようかなって思ってたわ」


「あ、若ハゲじゃあなかったんですね。良かった髪の毛は救われたんだ」


「こんのゴスロリ娘野郎め・・・」


「あー、こんな可愛い僕に野郎とかは禁句ですよ? マイナス1点です」


 にこりと笑いながら、彼女はコンビニに向かっていく。


 俺は勿論ここで終わりだ、彼女を見送ったら車に乗って帰らんとな。


「ありがとうございました。本当に助かりましたよ」


「気にしなくていいさ、俺も美味い物奢ってもらったからな」


「そですかそですか。それじゃ、またどこかで会う事があれば!!」


 また会う日があれば、か。


 連絡も取り合ってないし、お互いに名前も知らない間柄だが、もしそんな事があれば、それはそれで賑やかな事になりそうだな。


「そうだな、その時はケーキでもごちそうしてやるよ」


「おっと、良い言葉を頂きましたね。楽しみにしてますよー。それでは」


 コンビニの中に入っていく彼女を見送り、俺は少しいい気分で車に戻ったのだった。





―71話了。



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フライドチキン、おいしいですよね。

ふと食べたくなったせいか今回のお話が結構膨らみました。

そして1話まるまるただデートしてただけという(何

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