第19話 こういう世界観で日常が続くのはきっとフラグ

7000PVを突破しました。もしかしたら来月には1万PVも夢ではないかもしれません。本当に有難い事です。自分で見返すと至らない所ばかりで修正したい所ですが、

その修正箇所は解っていても、どのような文章にすればよいのかと寧ろ時間が止まるのが難点ですね。これからも少しでも楽しんでもらえるように頑張ります。

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「テルクシノエー。そっちはどうだ?」


「はい。もうすぐ完成です。美味しくできたと思いますよご主人様」


「お、そりゃ楽しみだ。こっちももうすぐ出来るぞ」


「はい。サイレーンお皿用意してくれる?」


 休養を取って更に3日ほど過ぎた。


 今はミッション等も来ていないし、日々出来る事をやって過ごしている。朝は体を休めるためにゆったりとして、昼は前に向かった人の少ない森の中で戦闘の訓練。夜はメールや電話で流川とこれからについての事や、これから手に入れるだろうスキルやガチャ等はどうすればいいかという相談だ。


「うごごごごごご、私にも料理のスキルがあればマスターと仲良し夫婦みたいなシーンが・・・!」 


 謎な表情で悔しがるサイレーン。あれからテルクシノエーに料理を教えてもらったが、どうにもだめだった。ここまでくると才能かもしれない。


「お皿用意かんりょーであります、マスター。姑」


「誰が姑よ」


「きっと空耳だよ。テルク姑ェー」


「無理やり感満載だな。うーっし食べるベ食べるべ、頂きます!!」


 朝から最早恒例になっている寸劇を見ながら料理を並べていく。


 今日は俺とテルクシノエーでちょっと豪華な朝食だ。昨日は鍛錬で全員疲れたんで朝からガッツリ行こうと頑張ってみた。そうこうしている間に二人も寸劇が終わったようでそれぞれ座布団に座って準備完了し三人で朝食をとる。


「ん。マスターの作ったこれ美味しい」


「そいつは良かった。昨日の内に漬け込んでおいた甲斐があったよ」


「ご主人様、こちらもどうぞ」


 この数日で慣れた光景。朝からこんなに賑やかな時間を送れるのは嬉しいもんだな。俺も家庭を持っていれば結構前からこういう光景を見ることが出来てたかもだが、この仕事してると基本出会いが無いからなぁ。基本的に飲みにとか出かけないし。


 美味い料理に舌鼓っての打ちながら今日はどうする等の他愛もない会話が続く。俺が貰った休みも次の日曜まで―残り数日だ。それまでにこれからをどうするか決断しなくてはならない。ある程度は考えはまとまったが、答えを出すのはもう少しだけかかりそうだ。


「そう言えばふと思ったのですが」 


「ん、どうした?」


「いえ。ご主人様がレベル2になった時に私が出てきたと言う事は、もしかしたらレベル3になった時にもまたほかの子が出てきそうですね」


 テルクシノエーが思案顔で言う。


 確かに俺のレベルが上がった時に彼女が新しいソウルギアとして現れた以上。次にレベルが上がったらまた新しいソウルギアが出てくる可能性は高い。


「出来れば次は前衛系が出てきてほしいね。私もテルクシノエーも完全後方支援系だし」


 サイレーンの言葉に俺も思わず頷いた。


 出てくる人型ソウルギアがまた女性かどうかはまだ分からないが、出来れば次も出て来てくれるなら俺と一緒に戦えるか、最低でも前衛で戦えない二人を護れる様な存在が出て来てほしいと思う。


 そして出来ればまた美女とかだと俺が嬉しい・・・のだが、女性ばかり増えても俺の肩身が狭くなりそうなので男が出たとしてもなんとかやっていけると思う。流川の所のジェミニの少年みたいに、いい関係を築けるといいのだが。


 色々思いを馳せるが、レベル3にあげるにはポイントはまだ全然足りないし、確定で出てくるという訳でもない。捕らぬ狸の皮算用とも言うし、今はそうなるかもしれない程度に考えておこうと思う。


「私も一応は魔法攻撃は出来るけど前衛は厳しいのよね。何かあればご主人様の肉盾にはなれるけど。サイレーンが居るし」


「出来る限りやめてくれ、女性に庇われて生き残るとか、後で復活出来るとわかっててもトラウマになりそうだ」


「ぜ、善処します」


 そもそもできればミッションなんてやりたくないんだけどな。


 生き残る為にはやらないといけないとはいえ、毎回死にかけるような戦いなんてしたくない。あの絶叫青年みたいに復讐心に駆られて毎回参加してそうな感じになるには、俺も流石に若くないしなぁ。いや、実際似たような体験したらわからんが。


「できれば普通に生活しつつ、適度にだらけてたいもんだ」


「私もマスターと一緒にのんびりするのが好きかな」


 俺もそう願いたいが次のミッションは近づいている、今度のミッションも流川が付き合ってくれるだろうが、果たして生き残れるか。


 レベルも2になったとはいえ、まだ参加はたったの1回だし、流川の協力付きでの比較的楽な奴だった。


 防衛系のミッションや討伐系のミッション等もある中で、これからどうやってミッションをこなしていくかが大事になるだろう。


 いずれは流川が居ない状態でのミッションもあるかもしれない。


 誰かが死んでしまってピンチになる戦いもあるかもしれない。


 前回のように誰も死なずに楽にクリアなんて気軽に考えるべきじゃあないよな。


「ふぅ、ごちそうさん。そういえば今日流川って大事な営業で一日遠出してるんだったな。電話やメールは控えておいた方が良いか」


 昨日の内に流川から、今日は連絡が取れないかもと伝えられている。


「んじゃ、とりあえず少し休んで、その後出かけるか――」




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 それは突然やってきた。


 夜になり鍛錬も終えて戻ってきた俺達が、それぞれ休憩していると突如スマホからけたたましいアラーム音が鳴り響いた。


 この時間にセットしているアラームはない。


 つまりこれはセットしているソウルギアのアプリの通知だと言う事だ。直ぐにスマホを開くとそこにはこう書かれている。


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―緊急MISSION発生! 緊急MISSION発生!

―参加は自由であり、不参加も個人の自由である。

―クリアポイント【30000ポイント】

―これを参加して生き残ったプレイヤーで分割

―止めを刺したプレイヤーは更に3000ポイント獲得

―MISSION内容

―●●某所にて【イレギュラーナンバー】が発生。

―急いで倒さなくては周辺の人間に被害が発生するだろう。

―君達は正義感でそれを倒しに行ってもいいしポイントの為に向かってもいい

―そして、これは割り振りタイプのミッションだお互いに殺しあっても構わない

―それでは諸君、健闘を祈る。

──────────────────────────────────────

 

「き、緊急ミッション?!」


「マスター! これこの近くだ・・・!!」


 それには詳細なマップと今回のミッション内容が記載されていた。


 【イレギュラー】という放置していると「外に出る」タイプの大型モンスターを討伐しろというミッション。3万というポイントもとんでもないが、一番の問題はサイレーンが言うように、開催場所が俺達の住んでいるこの町を対象にしている事だった。


「・・・ご主人様。私は不参加を提案します」


「テルクシノエー?? あ、そうかこれ参加しなくてもいいミッションなんだよね」


 苦い表情でテルクシノエーが不参加を打診してきた。


 更に彼女は続ける。


「今回のミッション。形式を見るにPKが来る可能性がとても高いです。今回の討伐に置いては敵はモンスターだけではないと思います。開催場所もとても広く、積極的に参加していなくても遠くから此方を確認している可能性もあるタイプのミッションです」


「あ、そか、PKが・・・後、これってクリアポイントは割り振りしてって」


「PKではなくても終わった後に参加していた体でポイントを狙ってくる輩もいるかもしれないわ。それに今は流川さん。彼も来れない。この状態でほぼ初心者の私達が参加するのは無謀と思われます」


 確かに、テルクシノエーの言う通りだった。


 小賢しい参加者や此方を積極的に狙ってくるPKにとっては、今回の様なミッションはとてもやりやすいものだろう。そっち側の思考で考えると、参加者が必死こいてモンスターを討伐している姿を横目に、疲労したのを横取りしたり、そのままPKしてしまえば丸儲けという奴だ。


 だが――――


「いや、参加する。参加しなくちゃならん」


「ご主人様・・・!?」


 開催場所が近すぎた。そこは俺の住んでいる家は勿論、俺の世話になった同僚や親方、そして気のいい後輩が暮らしている場所が丸ごと対象だった。俺が参加した程度でどうにかなるかと言われればそれまでだが、だからと言ってモンスターの討伐に失敗してモンスターが外に出てしまったら、あいつらは全員――


「そうか、マスター。会社の人達が心配なんだね? それにこの家もつぶされちゃうかもしれないし、逃げるとなると大変だもんね」


 俺の考えを察したサイレーンが言う。


「マスターが戦うのなら私はそれを手伝うだけ。それがソウルギア、それが私の存在意義。テルクシノエーはどうするの?」


「私はご主人様さえ無事ならそれでいいの、他の存在なんてどうでもいいわ」


 基本的に礼儀正しく優しいテルクシノエーだが、その優しさは俺とサイレーンにしか向けられていない。それがソウルギアと言えばそれまでなのだろう。


「ですが。それがご主人様の望みでしたら私がご主人様の敵を壊し、狂わせましょう」


「悪いなテルクシノエー。自分の命の危険を考えるならお前さんの言う通りなんだが世話になった人もいる以上そうも言ってられん」


 こんな事を言えるのはレベルが上がって強くなったからだろうな。レベル1だったら結局逃げてた可能性が高い。これが傲慢になるって事なのかもしれんが、それでも誰かを護りたいと考える事自体はきっと悪い事ではないと思うんだ。


 俺をこういう風に育ててくれたのはじいちゃんとばあちゃんだから。俺が逃げてしまったら、二人はほっとするかもしれないが、きっと悲しい表情もしてしまうだろう、そんな事を考えてしまう。


「いいえ。それが愛しいご主人様の願いなら総てを懸けて手伝うまでです」


「むむむ・・・! テルクシノエーってば露骨に信頼度ポイント稼ごうとしてるね!?」


「信頼度ポイントて・・・」


 こんな時でもサイレーンはユーモアを忘れないと言うかなんというか。


「レベル2になったんだし、これ最悪は逃げてもデメリットないみたいだからがんばるよ! マスター期待しててね!」


「あぁ、頼りにしてるよ二人とも」


 行く前に出来れば忙しいだろう流川には連絡はしないでおきたかったがこればかりはそうも言ってられない。俺自身は参加するつもりだが、流川が強制的に不参加を押してきた場合は俺も冷静になって考える必要があるだろうしな――


 何にせよ―――


「長い夜に、なるんだろうな今日は」


 俺はそう愚痴りながら流川に電話をかけたのだった――



―19話了



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使いやすい場面転換表記、地の文の整理。色々難しいですが少しずつ覚えて理解して

応用できればなぁ、と思います。 そして主人公特有の無謀行為。

何故無謀行為をするのか、それは「そうしないと話が進まない」と言う

悲しい理由があるからです・・・!(マテ

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