第17話 インターバルインターバルインターバル

 立て続けにイベントなどがあるお話を見るとハラハラドキドキして楽しいですよね

ただ、それがあまりにも続くとダレてしまったり、胃もたれ(比喩表現)したりもします。一つのイベント後には1話~数話程度は日常話や伏線回を混ぜ込むといい感じで次に期待出来たりすると思います。問題は大体そういうお話は飛ばされる事が多いという事でしょうか(汗 

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 レベルの上がった翌日。身体能力が高まったから体も大丈夫とはならず、サイレーンの回復スキルを使ってもらって無理やり疲労を回復してもらった。なんだか危ない薬をやったんじゃないかレベルでスッキリしているので、常習性とかあったら恐ろしいかもしれんな。


 必死に命を懸けて戦った翌日にいつも通りに振舞って仕事をするってのは存外難しかった。今日は一日仕事も対応もぎこちなくて、同僚や後輩に少し心配されてしまった。


 流石に「昨日化け物と殺し合いをしてました」なんて言える訳もないので、体調不良だと誤魔化しておいたが、この調子でミッションをやりつつ日常生活をはたして送れるんだろうか、そう考えながら家に帰宅した所、テルクシノエーからこれからについての提案を受ける事になった。


「次のミッションである程度の端数ポイントを手に入れたら、一時的に仕事を休職する事を視野に入れた方が良いかもしれません」


「休職かぁ。言うのは簡単なんだが問題はやめた後の再就職とかなんだよな」


 今の時代、すぐに転職が難しい世の中だ。色々な資格があっても実際に転職活動に赴けばまともな仕事なんてそうそう見つからない。見つかったとしても給料が安い、拘束時間がブラック過ぎてやってられない。あからさまに搾取するしか考えてない、そういう仕事が多く見つかる。ちゃんとした会社なんて見つかる方が稀だ。見つかっても俺みたいなガテンの兄ちゃんが受かる可能性なんて皆無だろう。


 どのみちこれから冬が来る。そうなれば俺等の仕事は一時的に少なくなったりするので失業手当の為に一時失業をしたり、他の場所に出稼ぎに行ったりが多くなる。俺は貯金に応じて出稼ぎに行ったり、失業手当をもらって一月程度のんびり休んでオタ活動をしたりと色々やっていた。俺達の様なタイプは会社の社員と違ってその辺割と緩くて自由なのだ。その分保障もそれなりにしかないがな。


 俺は今の会社の親方に、正規社員にならないかと誘われてる。それなりに長くやってるし、仕事は結構できる方だ。必要な資格も大体取り切ったし、重機を使っての作業も割とお手の物。まだ数回だけだが現場代理人とか現場監督も経験がある、もうやりたくないが。

 

 あれやるとほんと帰りが遅くなるんだよ。他の作業員全員帰ってるのに、俺はその日に撮った現場の写真とかを纏めたり、役場にあげる書類とかパソコンで作ったり、20時~22時とかざらだったぞ? 給料は結構もらえたがあれはほんときっついわ。


「一応、親方に理由を離せば長期の失業は貰えると思うが、問題はその後だよな。また戻れるならいいが、時間掛け過ぎたら流石にもう雇ってもらえないか、給料は下がるだろうし」


 だが、テルクシノエーの言う事もわかる。

 今の俺だと、日常とミッションでの生死を掛けた戦いを両立するのは難しい。疲労などはサイレーンが居るから回復できるが、精神的な疲労は流石に回復しきれない。こんな日々が続けば、精神的におかしくなっちまう可能性があるのは確かだ。


「ある程度のポイントを換金すれば生活するための資金は賄えます。今は生き残るために此方を優先させる事も重要ではないかと思いまして」


「ん、でもテルクシノエー? あまり無駄遣いしたらレベルアップやスキルとか必要な物買えなくなるんじゃないかな?」


「必要経費と割り切る事も大事よサイレーン。それに生きて行く上での生活費だけならば年に数百ポイントで十分賄えるわ。その程度ならミッション参加時の討伐でもらえるポイント辺りで集められると思うの」


 ミッションのクリア報酬のポイントは結構多い。これらはレベルアップやスキル購入、武具購入に充て、雑魚モンスターを討伐したときにもらえる数ポイント等を使うようにしようって事だ。塵も積もれば山となるとは言うが、倒して1~5ポイント程度なら確かにそれらを生活費に回して、仕事を辞めて普段の時間を多くとれば、精神的にも余裕は出来るだろうし、鍛錬なども行える―そうテルクシノエーが言う。


「現状、仕事と戦いの両立は難しい時期だと思います。それならば今はいっそ仕事より命を優先し生活面をポイントで賄って生き残る術を探す。如何でしょうご主人様」


「テルクシノエーの言う通りかもな。肉体的な疲労はサイレーンが何とかしてくれたが、それ以外は俺もメンタルやられてる感じがする。この調子なら普段の仕事に支障が出るかもだし、というか実際に出たしな」


 寧ろこんな状態でミッションに挑んだら流川が居たとしても次は死ぬ可能性がある。相手は此方のコンディションなんて気にしてくれないのだ。確実に殺しに来る相手に調子が悪いから今日はやめてくださいなんて通じる訳はない。


「わかった。今はどっちみちポイントが厳しいから無理だが、次のミッションである程度、ポイントの余裕が出来たら親方に話通してくるわ」


「不躾な提案、申し訳ありませんご主人様」


「いや、俺の事を気にかけてくれたんだろ? ありがとな」


 俺が素直に感謝の言葉を言うと、テルクシノエーがはにかんだ笑顔を見せた。破壊力がまじで半端ない。今は服装がある程度普通になっているとはいえ、見た目も容姿もどこぞのサキュバスですか? と言わんばかりの美女が見せるそんな仕草にノックアウト寸前だ。


「わ、私も! 私もマスターが心配だからね!!」 


「大丈夫だって。サイレーンの気持ちもわかってるよ。ありがとな」


「ん。ありがとマスター。お互いの気持ちも分かった所でベッドに行こう」


「お前そのフレーズ気に入ったんだろ」


「ん♪」


 うちの子達は本当に個性が凄いね―――















「所でマスター? スキルってどんなの売ってるんだろう?」


「あー・・・そういえばまだ見てないな」


 夕食を終え―――作ったのは俺とテルクシノエーである。サイレーンは野菜を洗ってくれましたが何か? ふとテレビを見ていたサイレーンが俺に近寄りながら聞いてきた。


 スキル。俺が覚えているソウルギアもスキルで、二人が覚えているスキルもそうだが、それ以外にもポイントを使えばゲームの様に俺達に新しいスキルをセットできるのだ。早速調べてみると、色々あって目移りしそうになる。


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 ◇コモンスキル:低ポイントで購入できる基礎スキル、効果量は低い


 ◇レアスキル:コモン以上の効果があるスキル。様々なものがある。


 ◇Sレアスキル:セットできる個数は少ないが、強力なものが多い。


 ◇SSレアスキル:ソウルギア、プレイヤーともに1個制限だが、超強力


 ◇Lレアスキル:ガチャの大当たり、もしくは特別ミッションの報酬。隔絶した性能を持つが、ソウルギアにしかセットできず、1個制限

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「なぁ・・・なんかガチャって書いてるんだが」


「か、書かれてますね」


「ディザスターって俗世に染まり過ぎてるね。人間を駒にしつつ弄んでるなぁ」


 コモンスキルとかレアスキルの時点でなんか怪しいとは思っていたが、スキルはポイントで購入する以外にも一定のポイントを消費してガチャが出来るようだ。それもよくある、【1回300ポイント】【10連3000ポイント】とガチャアプリのよくある設定過ぎる。強いて言えば1ポイント1万円なので、単発300万円とかふざけた金額になってるが。


 他には普通にポイントを支払ってスキルも購入出来た。こちらはレアリティ毎に値段が大体決まってるようだ。一部急激に高額なのもあるが。


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 ◇コモンスキル:10~100ポイント


 ◇レアスキル:100~500ポイント


 ◇Sレアスキル:1000~10000ポイント


 ◇SSレアスキル:30000ポイント以上

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 Lレアは購入不可、と言うかそもそも購入欄に載ってないようだ。この値段を見れば確かにワンチャン狙えるガチャを選ぶ奴もいるかもしれない。ガチャページを見る限りレア1個は最低保証らしいが、確率が結構酷いぞこれ。


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コモン:60%

レア:26%

Sレア:11%

SSレア:2.8%

Lレア:0.2%

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「3000万円突っ込んで、6割コモンとか馬鹿にしてるだろ」


「流石ディザスター汚いね、超汚い」


「射幸心を煽りまくってますね。これに引っかかる人も恐らくいるでしょう。レベルを上げさせない為か、それとも単純にディザスターがガチャを入れたかっただけなのか」


 俺はディザスターはただの愉快犯だと思ってるから、後者だと思う。というかLレア、恐らくレジェンドレアって意味だろうが、確率が1%も無いってどこのオンラインゲームの超レア確率なんだよ。流石にこれ狙いで毎回3000万円も払えねぇよ。馬鹿にしすぎだろ。これもしかしたらピックアップガチャとか出してくるんじゃねぇの? ありえそうだな。


「でも私達100ポイントも残ってないからガチャは回せないね」


「回したくねぇからそれでいいです」


 命を懸けたガチャとか舐めてんのか。ちなみにSSレアスキルは売ってるから見てみるか―――


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【SSレアスキル購入ページ】


【死からの生還】購入:55000P

パッシブスキル。

マスター死亡時1度限り効果が発動。全ステータスを1P【永久消費】して

その死亡をキャンセルし、全回復させ【安全な場所】に移動させる。

この時そのミッションを【特殊回避】することが出来る。この場合そのミッションは

参加扱いとなり、追加で参加する必要はなくなる。ただしクリア報酬は貰えない。


【六迅奏龍蓮華】購入:33000P 必要:剣

アクションスキル。

このスキルに使用回数はないが、発動時生命力を消費する。

敵単体を超神速の【6回】攻撃。確実にクリティカルする。

【五爪雛芥子】【極双竜蓮華】からの派生時、この攻撃は【絶対命中】する。

1ヒット毎に【16%】の確率で捕縛 麻痺 スタン 混乱をランダムで付与する。

攻撃成功時、1ターンに1度だけ【蓮華】に無条件で派生しても良い。

この次の派生攻撃は絶対命中する。


【レディアントブレイカー】購入:30000P 必要:武器

アクションスキル。

1ミッション中、最大2回まで使用可能。

武器の性能を最大限発動させ、【パワー+10】回連続で攻撃する。

この攻撃は常に【防御無視】となる。但し発動終了後に装備している武器は

【自動的に破壊】される。これは武器タイプのソウルギアも同様である。


【ハイドエクシード】購入:150000P

アクションスキル。

このスキルに使用回数はないが、発動中常に生命力を消費する。

自身の存在感を周囲に溶け込ませあらゆるものから隠れ移動できるスキル。

発動後【完全隠密・極】状態になる。

これは自身よりレベルの高い存在か同スキル所持者にしか発見されない。

この時攻撃しても【クリティカル】した場合、絶対に発見されない。

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「やべぇのしかねぇ」


「ハイドエクシード。これをPKが手に入れてたらとんでもない事になるよ!?」


「死からの生還。確かにガチャで狙うにはどれも強力な効果ばかりですね」


 どれもこれも手に入れたら世界が変わるレベルのものばかりだった。他にも色々スキルが販売されてるが、どいつもこいつもアホみたいな値段と馬鹿みたいな効果を持つスキルだらけだ。これが確率3%前後で手に入るのならば、ある程度稼げているプレイヤーなら、積極的にガチャを回すことになるだろうな。命が掛かっている以上、強くなれる方法があるならそれを選ぶだろう。


 そして――


「そりゃあPKも出てくる訳だな」


「ですね。簡単に大量のポイントが狙える可能性がある。純粋に手に入れた力をプレイヤーに試してみたい。そう言った狂人も増えるでしょう。そういう人間を作るためにもガチャは必須、と言う事でしょうか」


 流川もガチャは回してるんだろうか? 今日はもう遅いから明日辺りに連絡して聞いてみるか。最悪は俺も生き残るためにガチャを回す必要が出てくるかもしれないしな。


「あー、これで俺がラノベの主人公だったら、10連で一発でLレア当てて、無双~とか出来るんだろうけどなぁ」


「マスター。そういう夢はきっと想像しても空しくなるだけだと思うよ?」


「言わないでくれサイレーン。十分理解してるから、てか運が良かったら巻き込まれてないしな?」


「ん、ごめんねマスター。お詫びに抱きしめてあげやう」 


 言うや否やサイレーンに抱きしめられる俺。前回とは違うずっと幸せ空間が俺を癒してくれた。

 


―17話了


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まだ1%ガチャじゃないだけ優しいのかもしれないと思う今日この頃です。

グラブルを遊んでる身としてはフェスの6%以外は信じてませんが!!(何

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