いけいけ勇者様20

最上司叉

第1話

魔族の女がこなくなってはや1ヶ月が経とうとしていた。


コンコン


誰かが家のドアを叩いた。


「はーい」


女は洗濯物を干すのをやめて慌てて玄関に向かう。


玄関のドアに近づきながら女は聞いた。


「どなたですか?」


「突然の訪問お許しください」


「?」


女は分からずドアを開けた。


「いつもお嬢様がお世話になっております」


「お嬢様?」


「左様でございます」


女はピンとこなかった。


「つきましてはこちらお嬢様の結婚式の招待状でございます」


女は訳が分からないまま受け取るとそこに書かれた名前に驚いた。


「魔王ちゃんの婚約者のスト…ゴホン」


「?」


執事は不思議そうな顔をしている。


「あの子結婚するんですか?」


「左様でございます」


「?」


女は訳が分からない。


だって今の今まで魔王ちゃんの婚約者のことが好きで追いかけ回していたのにいきなり結婚?


謎すぎる。


「あの…聞いていいですか?あの子どうしていきなり結婚するんですか?」


「つい先日お見合いを致しまして、子供を授かりましたので結婚というはこびになりました」


「子供!!」


「左様でございます」


女は訳が分からない。


何でいきなり見合いをしたのかましてや子供まで。


考えてもしょうがない。


「分かりました、わざわざありがとうございました」


「それでは失礼いたします」


執事は帰っていった。


女は執事を見送ると慌てて家の中に入り皆を呼ぶ。


「大変!!皆急いできて」


「どうしたの?」


皆訳が分からないままリビングに集まった。


「大変!!魔族の女結婚するって!!」


『えー!!』


皆が一斉に驚いた。


「なんで急に?」


「子供を授かったって!!」


『えー!!』


またまた皆一斉に驚いた。


魔王が慌てて聞いてきた。


「魔族の女は私の婚約者のことが好きだったんじゃないの?」


「俺もそう思ってた」


魔王の婚約者は凄い喜んでいる。


魔王は困惑していた。


婚約者を魔族の女に譲って結婚しなくても良いかなとか考えていたからだ。


「結婚式はいつなんだ?」


俺は女に聞いた。


「1週間後」


「そうか」


「皆で祝福しにいくか…」


「そうだね…」


皆乗り気じゃなかった。


別に魔族の女と仲がいいわけでもないからだ。


まぁこれで厄介事が減るから皆嬉しそうではあった。


魔王1人を除いては。


ひとしきり話したら皆部屋へ戻っていった。


「魔王」


俺は呼び止めていた。


「なに?」


「どうかしたのか?」


「なんでもない…」


「そうか…」


俺は魔王が浮かない顔をしているのが分かっていたがそれ以上は聞けなかった。

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