ぽっちゃり無双 ～まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強＆飯テロ異世界生活を満喫しちゃう！～

第136話 ポテトを布教しちゃう、ぽっちゃり

「最後に塩を適量振りかけて……よし！　これで完成だー！」

「ぷるーん！」

　ジャガイモを揚げ終え、完成したポテトを見て歓喜の叫びをあげる。

　わたしの前にあるのは、ダークグレーのトレイに乗せられた半円形のポテトたち。

　カラッと揚げられたポテトと表面にまぶした塩がとても美味しそうだ。

　わたしは早速、ポテトを一つつまんでみる。

「それじゃあ、ちょっと食べてみよう！　いただきま～す！」

　いい感じに揚がったポテトをパクッ、と一口で頬張った。

　口に入れた瞬間、じゅわっとした油を舌の上で感じる。

　そしてそのまま噛むと、表面がカラッと揚がったポテトが崩れてホクホクの中身が出てきた。

　口の中でほぐれるポテトと、それに絡みつくジューシーな油がたまらない！

「んんんん～～～！　やっぱポテト美味しいぃいいい！！」

　すかさずわたしは二つ目、三つ目のポテトを口に入れた。

　我ながら塩加減も絶妙で本当にいくらでも食べられそうなほど美味しい。

　マジでやめられない美味さだよ！

　パクパクとポテトを食べていると、ハッと隣にいたサラの存在に気がついた。

　いけないいけない。

　ポテトが美味しすぎてつい夢中になって食べまくっちゃったけど、今回のポテト作りに多大な貢献をしてくれたのはサラだ。

　材料はわたしが持っていたけど、サラが鍋とかを生み出してくれなかったらポテトを作ることはできなかったからね。

　深く感謝しなければならない。

　だからわたしは、サラにポテトを一つ近づけてみた。

「このポテトすっごく美味しいよ！　サラも一口食べてみて！」

「ぷるん！」

　ポテトをつまみながらサラに近づけると、じゅわわわっとスライムボディに呑まれていった。

　サラの中でしゅわしゅわと弾けながら咀嚼されるポテトを見ながら、わたしは感想をたずねる。

「どう？　美味しい？」

「ぷるーん！　ぷるーん！」

　サラはテーブルの上で何度もジャンプして喜びを表してくれた。

　良かった！

　どうやらサラもこのポテトがとっても気に入ったみたいだ！

　このジャンキーな美味しさはスライムにも共通みたいで嬉しく思う。

「サラもどんどん食べていいからね！　ほら、あーん！」

「ぷるーん！」

　二個、三個と追加のポテトを食べさせてあげると、サラは可愛らしく喜びを表現してくれる。

　こんなに喜んでくれるとわたしも嬉しいよ。

　それと、わたしもまたお腹が減ってくる。

　わたしももう少しつまも～っと。

　サラと一緒に大きなトレイに盛られたポテトをパクパクと食べていると、ふらふらとナターリャちゃんがやって来た。

「とってもいい匂～い！　コロネお姉ちゃん、なに作ってるの～？」

「おっ、ナターリャちゃん！　匂いに釣られてやって来たみたいだね」

「んん～？　その茶色くて丸ッこいのなに？」

「これはポテトって言うんだよ」

「ポテト？」

「そう。ジャガイモを好きな形に切って、油で揚げた料理。これには軽く塩もまぶしてるから、一度食べちゃったら病みつきになるよ！　ナターリャちゃん、それでも食べてみたいかい？」

「や、病みつきに……！？　う、うん！　ちょっぴり不安もあるけど、コロネお姉ちゃんとサラちゃんがそんなに幸せそうに食べてるんだったら、きっととっても美味しい料理なんだよね！　ナターリャ、食べてみたい！」

　ナターリャちゃんは、ふんす！　と両手を握って覚悟を決めた。

　そこまで言うなら仕方ない。

　ナターリャちゃんにも、このポテトに魅了されて貰おうじゃないか！

　わたしはトレイをテーブルの上に滑らせ、ナターリャちゃんの目の前にポテトを送る。

「どうぞナターリャちゃん。一つパクッと」

「わ、わかった！」

　ナターリャちゃんはポテトを一つつまんで顔の前まで持っていく。

　じっとポテトを見つめた後、意を決するようにパクリと食べた。

　その瞬間、ナターリャちゃんの目が見開かれる。

「～～～～！！！　コ、コロネお姉ちゃん、なにこれ！？　美味しいー！！」

「ふふふ、ナターリャちゃん。それがポテトというもなだよ」

「ポ、ポテト！？　初めて聞いた食べ物だけど、ポテト美味しい～！」

「ほらほら、ポテトはたくさんあるから、いっぱい食べていいよ！」

「ありがとうコロネお姉ちゃん！　それじゃあ、もう一つ……」

　ナターリャちゃんは笑顔でトレイに手を伸ばし、パクパクとポテトを食べ始めた。

　もうすっかりポテトのとりこのようだ。

　わたしは異世界でまた一人ポテトの美味しさをを布教できたことに喜びを感じながら、ポテトを頬張るナターリャちゃんを微笑ましく見つめていた。