第27話 試験Ⅱ後編

俺達は近くにある森林を使って隠れているとヒゲ教官が大股に歩き出してきた。


「まったく最近の若い者が一回全員にお灸が必要だな」


そうして取り出したのはいつも使っている鞭とは違ってその鞭は赤黒く紐の部分は刃が付いておりこれを食らうとかなり痛そうだが油断しているか大股に歩いていると突如何かが踏んだ音がした瞬間に地面が爆発してヒゲ教官が吹き飛ばされてしまった。


「ギャー!?」


その叫び声は森中に響き他の皆まで聞こえていた。


「如何やら成功したようだな」

「私達も続けていくよ!」

『『オウ!』』


この作戦を行うまで少し遡る。


~「花蓮カレンのマーリンさんだけじゃなく豪錬ゴウレンのアグニスさんまでココに来るなんてもしかしたらヒゲ教官を追い出せるかもしれないぞ」

「マジか!」


そうして耳を近くに寄せて聞く。


「最初にまず俺達が大量の火炎闘術フレイミーズ火炎地雷フレイムレマンスを大量に設置するぞ」

「けどそれだと追い出すどころか普通にヒゲ教官が死ぬぞ」


俺はそう言うがロムニーの話は続く。


「普通はそうなるがあのヒゲ教官は魔法使いじゃ無いのに魔物を大量に殲滅したことで国から認められて教官と刻印が刻まれた鞭を与えられたんだ」

「刻印ってなんだ?」


聞いた事が無い単語を聞くとロイドが教えてくれた。


「刻印って言うのは魔法使いじゃなくても刻まれている効果によって魔物を倒せる事が出来るがその代りに長年勤めている聖職者以外刻む事が出来ないためあまり刻印入りの武器が少なく我を与える人材が兵士だけだ」

「そういえば今ある刻印は何個あるんだ?」


そう聞くとロイスが知っている範疇で教えてくれた。


[刻印

刻印…古代に魔物を打ち倒すために武器に魔力を込めて特殊能力や加護を得られる

物理威力増加Ⅰ~Ⅴ…武器の力に反比例して魔物にダメージを与える

属性威力増加Ⅰ~Ⅴ…武器に宿る属性の力に反比例して魔物にダメージを与える

物理威力低下Ⅰ~Ⅴ…防具の力に反比例して魔物のダメージを減らす

属性威力低下Ⅰ~Ⅴ…防具に宿る属性の力に反比例して魔物のダメージを減らす

属性付与エンチャント…自身の武器に属性を付与する〈なお属性威力増加を組み合わせると威力がさらに増加する〉

茨の鎧…防具に見えない茨を纏い魔物のダメージを比例して反射する

招雷…投擲具に雷を呼び出す福音が刻まれており魔物に当たると天気に関係なく雷が降り注ぐ

猛毒之蛇ヒュドラ…死の猛毒を吹き出す邪蛇の刻印で魔物に攻撃すると必ず即死する猛毒に蝕む

雷霆之王インドラ…万雷の投擲具を所持する雷神の刻印で魔物に攻撃すると大量の雷が降り注ぎ黒焦げとなる

白氷之姫アナスタシア…氷結の国に住む女王の刻印で魔物に攻撃すると氷河の如くの吹雪に見舞われ氷像になる

獄炎之裁判官エンマ…悪人を裁く魔神の刻印で魔物に攻撃すると太陽に等しい業火に焼き尽くされ灰となる

石化之魔鳥コカトリス…見たものを石に帰る魔鳥の刻印で魔物に攻撃すると徐々に体が石になり石像に変化する]


人通り聞いたがあのヒゲ教官が聞いた刻印が刻まれている武器を所持しているとは思っていないがとにかく作戦を教えるために他の人を読んで作戦の内容を聞かせた~


さっきの話を聞いていた事で心配する必要がなくなったと思いながら疾風隠れエアストハイドを解除してヒゲ教官に近づいてみると少し服がボロボロになっているがちゃんと生きていた。


「まさかこれは貴様が仕掛けたのか!」

「俺だけじゃありませんよ、ヒゲ教官」


そう言うとヒゲ教官の顔が本で見た事しかないがサルみたいに赤くなって叫び出す。


「貴様は何を考えているのか分かっているのか! 危うく私が死ぬところだったぞ!」

「大丈夫です! 教官の脳と同じ考えです!」


ヒゲ教官の事をバカにすると当の本人はさらに顔を赤くして叫び出す。


「如何やら貴様は死にたいようだな!」


ヒゲ教官が叫ぶと同時に赤黒い鞭を振り下ろし俺は横に避けるとさっきいた場所に火柱が立ち上がる。


「何だその刻印は!? ただの刻印じゃ無いだろ!」


ヒゲ教官が持つ赤黒い鞭に付与されている刻印は何かと聞くと最悪の超えた聞いてしまった。


「特別に答えてやろう、この鞭は王都が作り出した魔物の肉体と人肉で出来た刻印火炎之悪霊イフリートと呼ばれる我が最強の武器だ!」

「何!?」


道理で以上に赤黒い上になぜか怨霊に似た何かが漂っていたのはこの刻印によって見えていたのかと思うと心の内側から何かどす黒い感情が溢れ出そうになった。

だが何とか冷静になるとヒゲ教官は卑しい笑みを浮かべて近寄ろうとして、何とか自身の自慢の運動能力で逃げだすが俺の逃げる姿を見て大笑いしながら走ってくる。


「ハッハッハ! 逃げても無駄だ!」


自分で言うのは何だと思っているが、訓練生の中で一番早い俺に追いつくのはきっと火炎之悪霊イフリートの他に何かの刻印によって能力が強化されていると思いつつ走り出すが、鞭の範囲内に入ってしまいヒゲ教官が勝ったかのような表情で鞭を振るう。


「貴様の負けだ! このごみカスがー!」


ヒゲ教官の勝ち誇った顔が見えてもうだめかと思いきや横からかなり太めの丸太が飛んできてヒゲ教官の脇腹に叩き込みそのまま吹き飛ばされた。


「ようやく縄を切って、遅すぎだろロバート」

「しょうが無いだろ、その代りちゃんと狙いを定めたからチャラにしろよ?」


木の後ろに隠れているロイスに話しているとヒゲ教官が脇腹を抑えながら立ってきた。


「その声はロバート貴様!」

「すいませんねヒゲ教官いやクズ教官! あんたの支配は終わりだ!」

「何だとこの苦労も知らない尻の青いクソガキの分際で!」

「確かに俺達はまだ青いがあんたとは違って俺達は他者を生贄にしない!」


ロバートがそう叫んだと同時に疾風の矢エアストアロウを放つ構えを見たヒゲ教官もといクズ教官の顔色が青ざめる。


「まっまさか―」

「そうだ、あんたの刻印は火炎之悪霊イフリートだけじゃなく魔道防御ⅢいやⅡですよね?」

「何故そのことを!」

「少し盗み聞きをしたんだ」


さらにクズ教官の顔色がさらに青ざめ今までの鬱憤がここで発散されると少し笑みがこぼれてしまうが少しだけ耐えるとクズ教官が命乞いを始める。


「悪かった! 今までの悪事に染めた事を反省するから見逃してくれ!」

「と言っているが皆は如何だ?」


ロバートが皆に聞くとこれぞまさしく罵詈雑言の嵐であったもちろん俺も罵詈雑言の嵐に参加している。


「ふざけんな! クソチキン野郎!」

「女の子にセクハラしているのによくそんな都合いい言葉を言えますね!」

「正直言って最低ですよ!」

『そうだぞスケベおやじ!』

『死ねよこのエロ爺!』


自分を助けようする者がいない事に気がづいたクズ教官が急いで逃げだそうとしたが即座に荒縄に結ばれた。


「嫌だ! 死にたくない!」


普段の横暴さがかけ離れてスカッとする気持ちが出ているが急いでこいつをぶちのめすために疾風の矢エアストアロウを詠唱して放つ構えを取るとロイスがクズ教官に近づてこういう。


「残念でしたねクソ野郎」


ロバートが離れたと同時に俺達は疾風の矢エアストアロウを放ちクズ教官の体に撃ち抜くと。


「グギャー!?」


意地汚い叫び声が森の中に響き出す。

それから数分経ってクズ教官を縛り付けたままに森から出て元の場所に戻るとマーリンさんとアグニスさんが驚いた顔で固まって、事情をすべて説明するとマーリンさんはクズ教官を見ると汚物を見るよう目に変わりあまり見たくないなと思っていると兵士がやってきてクズ教官を運び出すが少し気になる事がある。


「クズ教官ってこの後どうなるんですか?」

「アイツは二度とフザケタまねができないように刻印付きの武器と名誉を剥奪されて一章諸語壁の外で暮らす羽目になるな」


俺は少しだけクズ教官に同情をしているとロバートに呼び出される。


「如何したんだ?」

「お前さっき僕の名前ちゃんと呼んでいただろ?」

「バレてた?」

「バレバレだ」


誤魔化そうとしてももはや逃げられないと悟り名前を間違える理由を言う。


「それはお前の言う通りにもし魔物を全滅できなかったらと思うと俺は―」

「すまん」

「へ?」

「あとからショウってやつに聞いたけどよお前のお袋幼い時に魔物に食い殺されただろ?」

「アア」


それは魔物をせん滅するためのきっかけであるためで知られる時った笑うだろうなと思っていたらちゃんと謝罪する奴だとこっちも謝る。


「こっちもわざと名前を間違えてすまん!」

「もう名前を言い間違えるなよ」


そう言って俺とロバートは食堂に向かって付くとアーサーとショウ達だけではなく他の人から質問攻めされたが何とか収めて夕食を取って自部屋のベッドに横たわるとリブロムが聞いてくる。


「お前まさか……」

「仲直りしたよ」

「そうか、けどこの仕事柄必ず別れが来るからいつでも覚悟しておけよ」

「分かったよ」


そう答えるとランプを消して就寝する。

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