ばけもの子供の物語 迷R2
仲仁へび(旧:離久)
第1話
イラナイ子供を捨てる迷路。
それは、世界のどこかにある。
探そうとしなければ見つからない存在だけど。
でも、探そうとすれば、必ず見つかる。
そんな不思議な迷路。
そんな迷路に捨てられた子供は、その中をさまよう。
出口のない迷路を、ずっとぐるぐる歩かなければならない。
終わりはなくて、そこから出る事はできなくて。
永遠に、ずっと。死んでも出られない。
だから今、その迷路に捨てられたとある子供は、眼の光る女の子は、自分の末路を悟っていた。
けれど、両親は自分を愛していないと、ずっと前から気付いていたため、驚きも悲しみもなかった。
しかし、ただ死を待つのは退屈だった。
暇つぶしにその子供が迷路の中を歩いてみると、同じような境遇の子供達が大勢いた。
木の蔓を出せる少年。
羽の生えた少女。
人ではないものたちが、たくさんいた。
世界には、イラナイ子供がたくさんいるらしい。
イラナイのなら、どうして生んだのか。
それは、大人に聞いてみないと分からないが、捨てられると分かった時にはもう遅い。
疑問を抱いた頃には、迷路の中なのだから。
散々歩き回った子供は、迷路の奥で出会った。
自分と同じ、イラナイと言われた子供に。
蛇の髪を持った少年は「やあ」と手を上げた。
そして、「イラナイ大人」を捨てる迷路を作ろうよ、と述べて、手を差し出してきた。
目が光る子供は、全てがどうでもよかったが、「イラナイ大人」を捨てる迷路があったら、大人達がどんな反応をするのかと考えたら、興味が湧いてきた。
だから、伸ばされたその手を掴んだのだった。
数十年後「イラナイ人間」を捨てる迷路が出現し、その噂が世界にはやった。
噂は長い間形継がれていく。
しかしなぜか「イラナイ大人」ではなく、「イラナイ人間」としての噂だった。
大人しか捨てられない場所だというのに。
「噂をはやらせ続ける事も、なくす事ができるのも、大人だからねと」年の変わらない子供。蛇の髪の少年はそう言った。
ばけもの子供の物語 迷R2 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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