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  • 初めまして。
    この度は『熟読&批評します』企画にご参加いただき、ありがとうございました。
    主催者の島流しにされた男爵イモです。

    現時点で公開されている内容は、一通り拝読致しました。総じて作品のレベルは高く、文章面だけで見れば書店に並んでいる作品と比較しても遜色のないものだと思います。内容面では多数の伏線やオリジナリティ溢れる設定が駆使されており、読者を引き込む力は強い印象でした。そう思い、なにげなくPV数を拝見したところで目を疑いました。あまりに過小評価されている、と。作品に対して個人的に気になった点は後述しますが、それもWeb小説では目を瞑ってもらえる程度のもののはずです。評価の星の数だけでいえば、三桁に達していても納得の完成度である気がするのですが。どうしてこの界隈の人間に受け入れてもらえないのか、皆目見当がつきません。それほど、底力は計り知れない作品という印象を受けました。

    その他、作者様の時代考証や兵法への造詣の深さには感服致しました。ネットで漁った情報を切り貼りしたのではなく、その土地の空気感や文化が一つ一つの表現から紡ぎ出されており、現実味を帯びたものとして伝わってきました。付け焼刃ではない世界観の仕上げ方は、作家目線でも非常に勉強になりました。また兵法に関しては、第2章で顕著に表れていたかと思います。山の狢たちとの戦闘と取引。首領のやり口から展開の行く末には察しがつきましたが、そこまでの誘導は自然かつ丁寧だったように思います。クトゥルグの狡猾さと、ルール無用の殺伐としたリアルな世界観がいい味を出していました。そうした一連の流れには臨場感があり、まるでその出来事を追体験したかのような読後感へ誘われました。表現力においては、まさに圧巻の一言です。

    それでは続いて気になった点を述べていこうと思いますが、その前に一点だけ触れておきます。作品タグに公募名があったので、それに関する話です。余計なお世話かもしれませんが、スニーカー大賞に挑むには本作は字数オーバーとなっています。応募要項にある作品の文字数制限は、最大でも約16万字だったはずです。これでは選考で読まれる前に弾かれてしまいます。また本作を拝読した限り、スニーカー大賞とは毛色が違うようにも感じられました。本作はどちらかといえば硬派で、中高生の求める像とは異なるといいますか。文章面においては、明らかに中高生には受けないと思います。全体的に表現が硬く、活字慣れしていない人は目が滑ってしまうかもしれません。そういった意味では、本作は新潮社の『日本ファンタジーノベル大賞』の方が適していると考えられます。あちらはファンタジーでも、高めの年齢層を相手にしているので。

    さて、それでは本題に入っていきます。
    本作の気になった点について、それぞれ番号を振りました。
    ➀雰囲気と台詞のミスマッチ
    ➁群像劇のデメリット
    ➂物語の到達点
    それぞれに分けて、述べていこうと思います。

    まずは➀から。
    こちらは前述したように硬めの文章に対して、登場人物の台詞が妙にコミカルであることが引っ掛かりました。公募の毛色を考慮してのことかとも思いましたが、作品の雰囲気を壊しているようにも見受けられます。その要因となっている台詞の特徴は、台詞の末尾に付くハートマークやチルダ(~)。そして、登場人物が驚いた際に用いる大袈裟な反応など。例:「ひゃうああっっ!?」これらの表現が本作に必要かと問われれば、答えは否でしょう。暗めの雰囲気を中和する目的があったとしても、過剰すぎる印象です。お姫様抱っこや、ジュニとリダのくだり(猫の絵が怪作に)は構わないと思いますが、台詞は大人しめに調整されてはいかがでしょうか。その代わりに、地の文で登場人物の心境を補足するなど。そうすれば作品の雰囲気を壊さずに、和やかな場面を挿入できるのではと考えました。

    そして、次は➁。
    本作は群像劇の形が採用されていたことと思います。これは➂の問題とも密接に関わっているのですが、群像劇には物語を停滞させるという負の側面があります。メリットとしては物語自体に深みを持たせることが挙げられる一方、その進行速度に反して多くの文字数を消費することになります。これでは物語が間延びしてしまい、「いつまで経っても作品がまとまらない」ということを招きます。現に本作は18万字を使った段階で、物語はまだ「起」ないしは「承」の色が濃いです。本作のスケール(2~30万字で完結or100万字に達する)はわかりませんが、早い段階から物語を圧縮することを意識してみてください。特に公募の世界では「いかに少ない文字数で、物語をまとめられるか」も求められるスキルです。情景描写の簡略化、スポットを当てる人物の厳選など。作品を構成する要素の取捨選択をしつつ、物語を柔軟に展開していただければと思います。

    続いては➂、本作の主旨に関する内容です。
    群像劇形式ということも相まって、本作は核心へと至るまでの道のりが長いものになっています。18万字という文字数は、一つの物語を完結させるに足る量です。これを使って尚、物語が続いているということは、ある意味では危険な状態といえます。それは読者の離脱数の加速。幸い本作は作者様の技術力によって物語の中弛みを隠せていますが、それもやがては時間の問題になっていきます。読者が「一向に主人公に転機が訪れない」、「話の風呂敷を広げすぎているんじゃないか」と思い始めたら、それは危険なサインです。飽きてきた、ということと同義なのですから。そうなった場合、作品本来の面白さも損なわれてしまいます。膨らみすぎた作品は次第に作者の自己満足となり、ついには作者自身も飽きてしまう。そうしたことは往々にして起こり得ることです。ですので、物語の着地地点は早いうちから定められた方がよいでしょう。本作でいうなら帰霊石の謎や、サフィとシドルクの関係。これらはあまり先延ばしにせず、一つ一つ核心へと至るパズルピースを作中で集めていくような構成を心掛けていただくことが肝要です。ただでさえ群像劇形式による文字数の消費が激しいので、この辺りは是非ともご一考いただければ幸いです。

    最後に、気づいた範囲で誤字脱字の報告を。
    2-11より:少なくとも、今までの所業は悪霊のどれですから→悪霊のそれ?
    2-12より:もしも敗れた時は、自分もろとも敵将に矢の雨射掛けよ。→矢の雨を
    2-15より:こめかみが射抜いていた。→こめかみをor射抜かれていた

    以上になります。
    もし批評に関してご不明な点や不備があれば、私の近況ノート『11/3開催 自主企画専用ページ』にて対応致します。ご要望に応じて批評内容の解説も致しますので、気軽にお申し付けください。ここで述べたことが、少しでも作者様のお役に立ったのなら幸いです。

    作者からの返信

    ご通読、並びにご講評いただき、本当にありがとうございます。
    返信等は企画ページにとの事でしたので、ご講評いただいた点に関する仔細はそちらに記載させていただき、こちらでは御礼まで申し上げます。

  • 渾天に昇る ②への応援コメント

    切ないお話でした。
    外の世界を知って色々思うサフィさんが凛々しくて、とても好感が持てます。
    凄く雰囲気が好きな話の展開で、先も読ませていただきたいと思います。
    とても好みだったので、コメントを残してしまいました!

    作者からの返信

    ご感想、とても励みになります。
    自分のキャラクターの名前や性格を認知して頂けて、思っていた何倍も嬉しいです。
    ご期待を裏切らないように書いていきますので、どうか今後ともお付き合い願います。