空と私のメランコリック

よこやまみかん

第1話 世界のカラクリ

攻撃する雨、抵抗する木々。この戦いは今のところ木がまだ耐えてるな。こんな狭い閉鎖空間で私はそんなことばかり考えていた。スマートフォンの使用時間が制限されているせいでオフホワイトのカーテンの間から顔を覗かせて外を見ることしかできない。前を向くと、吸い込まれそうなほど白い蛍光灯の明かりと、主張するように赤い十字が堂々と書かれた液体の入った袋が見える。そこから伸びた管は、私の右腕に刺さっていた。もうこの生活は何回目かな。私は生まれつき体が弱かった。気をつけていたのに、高校3年の初夏にして風邪を引いてしまった。何かあったら大変だからと、病院での入院生活が始まった。私、すごく元気なんだけど。全く大げさなんじゃ…。なんて言ってたらベッドに横になっていた。言ったそばから倒れたらしい。よく考えたら体が熱いし寒気もする。ざっと38.6度ってところか。熱なんて出すのは日常茶飯事だから今どのくらい熱があるのかは簡単にではあるがわかるようになった。これはこれで自分の特技なんじゃないかと勝手に得意に思っている。なんて不名誉な特技だ。自分自身に突っ込む。そんなことしても自分の運命ってのは変わらないらしい。どれだけ願っても、世界ってのは神のルールには絶対って決まりがあるらしい。


私の体は、あと1年もすれば言うことを聞かなくなる。2ヶ月前、そう医師に告げられた。

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