行政医療法人 国立軍事病院機構(NHO)

各担当者様宛



 いつもお世話になります。

 この度は、国家規模での重要案件だという現状にて各医院を代表し、添付資料と共に筆を執らせて頂いた次第です。


 私は○○総合医療センターの院長 大久保と申します。


 今年、八月に入り多くの患者が同じ症状にて当院でも入院をしております。その症状は全身、特に粘膜系統に多く発疹が見られ、それはまるで『天然痘』のように最初は感じられました。しかし、確認を致しました所『天然痘』ではなく『エムポックスサル痘』に近いのですが、致死率や毒性は天然痘に近く、約30%~50%の割合でウイルス血症にて全身に様々な合併症を起こします。


 今の所の措置としまして、血液透析にて殺菌と毒素を取り除くと一時的に回復はするものの、血液”だけ”をろ過しても皮下や臓器にまで浸食しているこのウイルスは数時間でまた全身に増殖します。

 他では免疫グロブリンを投与し抗生薬などを併用して症状を軽減出来たという他院での報告もございますが、どれも現状『延命』にしかなっておりません。


 このウイルスは新型であり、近いDNA構造は上記にも記したエムポックスに近く、接触感染及び経口感染にて拡大します。

 基本、遺伝子構造はサル痘ではありますが部分的に不自然な点がいくつかあります。これも先ほど延べさせて頂きましたが毒性やヒト体内での繁殖力は天然痘のそれに当てはまり、その他では人為的操作をしている点もいくつか見受けられます。何かそのような政策、意図がございましたらまたご報告頂ければ幸いです。


 攻撃性の部分は天然痘に付随している可能性があるとしまして、発生経路、感染元はサル痘と同じネズミ等のげっ歯類かと思われます。

 この感染の拡大の発生地「グランド・ゼロ」は当院が所在している○○県である可能性が高い状態です。○○県に生息しているネズミ、猫、イタチなどの検体もお送り致しますので是非DNA解析をお願いしたします。


 WHOもしくはソ連、アメリカのどちらかの天然痘保存国へも進言頂き、天然痘との正式な分析と、万が一ですが、その保存状態等の確認もお願いしたい。天然痘がなんらかの原因にて流出、もしくは中央アジア、インドにて健在なサル痘、そのどちらかの『突然変異』若しくは人為的遺伝子操作=バイオテロであることが懸念され、場合によっては国際問題、及びパンデミックも引き起こす場合は世界保健機関WHO案件へと発展しかねません。


 このウイルスがどこから発展したか、原因を突き止めておかなければ責任を世界から問われることになり得ます。


 当院も全面的にご協力致しますので、ご回答とご指示の程、何卒よろしくお願い致します。


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