勇者コージは王に謁見する

さっきの石と檻で囲まれた

魔法陣の部屋は【召喚の間】と呼ばれ

凶暴で知性の無い大型の生物が

召喚された際に空間ごと閉鎖出来るように

地下に作られていたらしい。


まずは王様に会って欲しいとのことなので

地下から地上に出るために

螺旋状になっている階段を上る。


移動する途中で色々質問してみたが

とりあえず案内してくれるのが

アリシアという名前の王女様

って事がわかった。


アリシアは整った顔立ちで

まるで女優さんみたいだ。


学校のクラスで1番かわいいと

言われてチヤホヤされてた娘と比べても

雲泥の差だ。


まるでアイドルグループの

センターの娘と表に出れない候補生

くらいかそれよりも差がある。



ふと、『勇者として活躍出来ればこんな娘と

結婚とかできるのかな?』みたいな

考えがフツフツと浮かぶ。





しばらく階段を上ると

急に目の前が明るくなる。



階段の途中は松明みたいなもの

が点々と置かれていたが

全体的に薄暗いので、

目がすぐには対応出来なかった。



徐々に目が慣れるとそこには

ゲームで見たことあるような

豪華絢爛なお城の風景が広がっている。




「おぉ…すげぇ…」



思わず声に出る。



「こちらです」



アリシアの案内でさらにお城の中を

ズンズンと歩く。


気がつくと後ろからついてきてた

黒いローブを着た連中がいなくなっていた。



代わりに鎧を着た連中が

鎧や剣をガチャガチャ鳴らしながら

ついてきていた。



「こちらです」



アリシアが案内してくれた先に

一際大きな扉があり、

その扉の先に王様が待っているらしい。


鎧の兵士が合図をすると扉が開かれ

中に案内された。



中はこれまたゲームでよくある

【謁見の間】

みたいな空間が広がっていた。


部屋の奥には立派な椅子があり、

そこには宝石をふんだんに使った

冠を被った偉そうな茶髪のオッサンと

同じく宝石を散りばめたドレスで着飾った

赤髪のオバサンが座っていた。


おそらくあの二人がに

王様と王妃様だろう。



「異世界勇者を連れてまいりました」



アリシアがそう告げてそっと

こちらの横に寄り添う。


そして


「異世界の方はこの国の礼儀作法は

存じ上げないと思いますので

そのままでよろしいですよ。」


とそっと耳打ちしてくれた。


それに合わせるように王様も


「皆の者。

この者は異世界からの召喚者故

多少の無礼は不問とする。」


そう言うと周りに居た鎧を着た兵士は

一同に剣を前後に動かしカチャカチャと

鳴らす。


「わかりました」の合図だろうか?


それにしても動きがまるで

プログラミングされた機械のように

動作一つ一つが寸分の狂いもない。



それだけ兵士の統率力が高い証拠だろう。



そんなこちらの気持ちを知ってか

不敵な笑みを浮かべた

王様と思われるオッサンは


「まずはいくつか聞かせてもらう。

嘘偽り無く答えよ。」


と口から発した後

ニヤリと笑う。

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