第2話
俺は意を決して船外へと出た。幸いにと言うべきか放射線の量も大丈夫とある。
鬱蒼とした森だ。木々の幹は太くて樹齢がどのくらいなのか検討もつかない。まぁそう言うのは学者様の分野なので、どうでもいいのだが。
「さて、それじゃあ行くか」
俺は森を歩く。見慣れない植物が延々と広がっている。
途中には小動物や小さな昆虫の姿が見られる程度。取り敢えず今の所は危険に感じるような動物や昆虫は見られない。
俺は、アーフゼロから送られた座標を目指して歩き続けた。夜は野営をして過ごす。
・・・・・
二日目。
小川を見つけた。検査キットで調べると普通の水で飲むのに問題ないと出た。俺はそれで喉を潤す。
桃のような果物も見つけた。検査キットの結果は同様に問題ないと出た。食べてみる。その際にガリッと種を噛み砕いてしまった。口の中で血の味が広がる。ペッと吐き出して改めて果肉部分を食す。美味い。
「何なんだ? このあまりに都合のいい環境は?」
そう。人間にとってあまりに都合のいい環境。地球と酷似しているからっていくら何でも……
不思議は不思議だが、いまのところ、それで助かっているのだから文句を言っても仕方がない。
しばらく休憩しているとアーフゼロから通信があった。
「こちらアーフゼロ。ジェイク。無事か?」
俺は皮肉を交えて返す。
「あぁ。ちょっと口の中を切ったが、それ以外は無事だぜ。退屈で死にそうなくらいだぜ」
「はっは。そうか。それは羨ましい」
「ん? そっちは忙しいのか?」
「あぁ大変だぜ。なんせ遭難者が居て、救助をしないといけないからな」
おっと。皮肉が返ってきた。
「あっはっは。それは悪かったな」
「いいさ。これも仕事だ」
冗談を言い合う程度に通信士とは仲良くなった。俺は続けて通信士に問う。
「そこにメイジャンは居るか?」
「あぁ、いるぜ。今、変わるから待ってくれ」
「すまんな」
そして恋人との一時の会話だけの逢瀬。
「ジェイク。調子はどう?」
「あぁ。問題ない。順調そのものだ」
「そう。良かった」
「そっちはどうだ? 調査はうまく進んでいるか?」
「えぇ。順調よ」
「そうか……」
「……あぁジェイク。早く会いたいわ」
「俺もだよ」
「愛してるわジェイク」
「俺もだ。愛してるよ。メイジャン」
そこで通信が切れる。俺は元気を取り戻し、再び歩き出すのだった。
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