時計

みにぱぷる

時計

目を覚まして私は、久々に、時計を確認するため、下を見た。

ボロボロで、欠けている部分すら見られるその時計だが、どこか愛嬌がある。

今の時間は...55分か。ああ、長く寝てしまったようだ。

今年は何年だ?私はカレンダーを捲る。2007年。

今日の予定は何かあったっけ。再び私はカレンダーを見る。今日の日付の欄には何も書かれていない、予定はないようだ。

予定もないので、私は暇潰しに散歩に行くことにした。

どれぐらい時間が経ったか。ぼんやりと散歩をして私は帰ってきた。

そして、手を洗う勢いで何気なく下を見る。

あの古ぼけた時計は相変わらずそこにあった。

時刻は...54分か。

そのまま、流れ作業でカレンダーにも目を通す。2010年。

こんなに時間が経ってしまっていたのか。

私は時間の経つスピードの速さに驚きつつ、その驚きを誤魔化すために昼寝をする。

しかし、ゆっくり寝ようと思ったのだが、何だか体がむずむずして私は起き上がった。

時刻は0分少し前だろうか、時計の針が正午の位置のすぐ左を指している。正確には59分59秒9999…とでも表せるのだろうか。

そして、カレンダーを見る。2024年。

またこんなに時間が経ってしまっている。まあこんなものか。

私は、そう思いつつ溜息をつく。

なぜ、人間はこの時計を進めてしまうのか。これが進まなければ私は何もしなくていいのに。何もしたくない。

しかし、時刻は59分59秒9999…を指している。私は再び溜息をつく。

世界終末時計には従うしかない。

神という仕事は何とも重たいものだ、と思い、後ろめたさを覚えながら、私は人間を滅ぼす。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

時計 みにぱぷる @mistery-ramune

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ