第28話 冒険者会議 議事録 その二
【第六十三回 冒険者会議 議事録】
冒険者1
⇒ザルツ帝国が擁立した勇者について情報を募りたい。仮面の勇者三人組と聞いているが……。
冒険者2
⇒現在、三つの説がある。一つは帝国が勇者召喚魔法を発動した。
冒険者3
⇒もう一つは、リザーズの召喚者が偽物勇者を演じている。
冒険者4
⇒最後は、王国の勇者が帝国に亡命した……。
冒険者5
⇒有力なのは一番最後の説だ。勇者が暮らす高級宿の給仕の話によると、ずっと行方不明の勇者がいるそうだ。
冒険者6
⇒王家の動きは……?
冒険者7
⇒沈黙を守っている。
冒険者8
⇒もし本当に勇者が亡命したとなると、いい笑い者だ。
冒険者9
⇒いずれにせよ、アルマ神国の聖女次第だな。聖女と勇者が合わさって初めて魔王討伐が現実のものとなる。
冒険者10
⇒しかしまだアルマ神国は聖女を擁立出来ていない。アルマ神の神託がないのか。それとも神国が聖女を確保出来ていないのか。
冒険者11
⇒遅すぎる。何か事情がありそうだな。
冒険者12
⇒過去には神託によって選ばれた聖女が母親の胎の中だったこともある。
冒険者13
⇒まだ生まれていないということか。
冒険者14
⇒もしくは、既に死んだ……?
冒険者15
⇒発言には気をつけるように。
冒険者16
⇒ベリンガムのリザーズ討伐失敗の理由は明らかになったのか?
冒険者17
⇒ベリンガムからも冒険者ギルドからも依然、情報は出てこない。莫大な違約金を払ったことは確かだが……。
冒険者18
⇒ベリンガムは先日王都を去ったそうだ。
冒険者19
⇒盗賊王コルウィルに恐れをなしたか……。
冒険者20
⇒コルウィルについて情報は?
冒険者21
⇒酒場で聞いた情報によると、コルウィルは巨人と人間のハーフで身長が2メル半もあるらしい。
冒険者22
⇒俺の聞いた話と違うな。コルウィルは実は女エルフで、弓の名手らしい。
冒険者23
⇒いや違う。コルウィルはそもそも人ではなくオオトカゲだ。
冒険者24
⇒錯綜しているな。誰かリザーズの拠点を探りに行っていないのか?
冒険者25
⇒拠点の位置は明らかになっているが、近づいて戻って来た者はいないらしい。
冒険者26
⇒最近はリザーズが商人を襲うことは減っている。無理に奴等にかかわる必要はない。
冒険者27
⇒このところ、商人の動きが活発だ。帝国からの行商人が増えている。
冒険者28
⇒香辛料を大量に仕入れているそうだ。
冒険者29
⇒帝国産の武器は入ってきていないのか?
冒険者30
⇒入ってきているが、そこまで品の良いものはない。ドワーフ自治区の武器は相変わらず輸出制限されているようだ。
冒険者31
⇒やはり帝国に行って買うしかないかぁ……。
冒険者32
⇒王家と対立している貴族の領地に帝国から武器が大量に流れているという噂がある。
冒険者33
⇒帝国が内乱を促していると……!?
冒険者34
⇒リザーズや勇者の件もあり、帝国側が王国に揺さぶりを掛けているのは明白だ。
冒険者35
⇒この大陸、荒れるな。冒険者から傭兵に鞍替えするか……。
冒険者36
⇒ところでリリナナは何処へ行った? 王都で姿を見なくなったが。
冒険者37
⇒不明だ。
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